ロンドン(イギリス)で賃貸契約を結ぶ際に、見落としている点はありませんか。賃貸借契約は日本のものとほぼ同じだと思っていませんか。今日は、賃貸借契約を交わす際の注意点についてお話します。 賃貸借契約とは? ロンドンで賃貸借契約というのは、借主と貸主の間で交わされる契約のことです。英語では借主をテナント(Tenant)と呼び、貸主をランドロード(Landlord)と呼びます。賃貸借契約は、このテナントとランドロードの間で交わされる契約であり、不動産会社と交わす契約ではありません。ただ、契約書は、不動産会社が準備することが多く、賃貸物件に入居するまでは不動産会社が、契約の内容に関して説明したり、修正したりする義務があります。 契約の内容とは? 基本的に契約書の中身はいくつかの項目にわかれていますが、大雑把に説明しますと下のものとなります。 借主の義務 - Tenant’s obligation 貸主の義務 - Landlord’s obligation 敷金 - Deposit 解約通知、退去通告、通知の方法 - Notice 個人情報保護法 - GDPR 賃貸借契約書は通常12~15ページで、すべて英語(もちろん)なので、日本から来たばかりのひとには読むのは少し大変かもしれませんが、読まずにサインをして、あとから知りませんでしたというのは通用しません。そこで、ここだけは押さえておけば大丈夫という点を説明します。 契約書のなかでおさえておく条項 公共料金 - Utilities 公共料金に関してですが、まず支払う必要があるのかどうかを確認してください。賃貸物件によっては、電気、ガス、水道料金が含まれている場合もあります。それなのに契約書には公共料金の支払いは借主の義務だと書かれていた場合、数カ月後多額の請求が来ても文句は言えません。基本的に契約書は物件によってオーダーメイドされているのではなく、テンプレを使っている不動産会社がほとんどで、内容を変更するのを忘れてしまう不動産会社も多いのでご注意ください。 途中解約の条項 - Break Clause この条項に関していちばんトラブルが多いのではないでしょうか。通常、賃貸契約は最低12カ月の契約になっています。何も言わなければ12カ月間は、そこに住み続けなければいけません。何も問題がなければいいですが、ロンドンでそんな物件にあたることは70%ぐらいの確率です。ということは10人中3人は何かしらのトラブルに遭遇するということです。そんなときに、この途中解約の条項がなければ最悪です。以前、マンション(イギリスではフラットと呼びます)に住んでいたAさんが、入居3カ月ぐらいしてから隣に3人の学生が引っ越してきて連日連夜のパーティー、騒音に悩まされたAさんは退去を申し出たところこの途中解約の条項が入っていなかったため、それから9カ月間騒音に耐え生活を強いられました。騒音問題の対処法はこちらでご覧ください。 途中解約は最低6カ月と法律で定められており、6カ月以内の解約はできないことになっていますのでご注意ください。 途中解約は貸主からもできる 再度、途中解約の話になりますが、途中解約は借主側からではなく、貸主からも解約ができるようになっているのが通常です。つまり、もし貸主が借主のことが嫌いで出て行ってほしいとなった場合に、貸主から退去通知を受ける可能性もありますのでその点もご注意ください。 壁に絵や写真をかけるためのクギや画びょうをさしてもいいのか せっかく高い家賃を払って住むのですから、自分の家のように家族の写真やお気に入りの絵画を壁に飾りたいですよね。でも、通常の賃貸借契約書は壁などに絵画用のクギやフックを取りつけてはいけませんと記載されています。もし、壁に写真や絵画をかけたい場合は、貸主に書面にて許可をえなければいけません。 私の知っている家主さんのほとんどは、特に気にするひとはいませんが、なかには古い建物なので絶対にダメだという変わった家主もいますので’ご注意ください。 退去通知 退去する際ですが、12カ月契約の満期をむかえれば自動的に退去できるわけではありません。退去通知というものが必要となってきます。通常は1カ月前通知か、2カ月前通知となっています。注意しなければいけないのは、1カ月前の通知というのは、不動産会社もしくは貸主が通知を受け取った日から1カ月ということになります。毎月1日に家賃を支払っている場合、もしその月の末日に退去したいのであれば、末日に相手側に届くように通知しなければいけいのです。これが1日ずれてしまうと、家賃を1日分余計に支払わなければいけません。では、月の途中で退去したいと考えているのでしたら、1カ月前の退去通知は退去したい日から1カ月さかのぼった日に相手に通知が届くように出せばいいということです。退去通知を出す方法ですが、契約書によって異なってきますが、基本的に書留郵便(Recorded Delivery)が’原則となっているはずです。 退去時の掃除 退去時に高いお金を支払ってプロの掃除業者に頼まなければいけないと思っている方が多いと思いますが、そんなことはありません。借主にプロの掃除業者を頼ませるというのが法律で禁じられています。もし、契約書に退去時はプロの業者を頼まなければいけないと記載されていたら、それは法理を違反になりますので、すぐに不動産会社にいって訂正してもらいましょう。貸主のなかには、この法律を知らないひとが多く、特に日本人が相手だと掃除業者を貸主が頼んで、借主に支払わせようとするひともいるので気をつけましょう。 他にも、まだまだたくさん注意点はありますが、今回はこのぐらいにとどめておきます。もし、個人的に質問等がありましたらお気軽にお問合せフォームにてご相談ください。
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ロンドンで賃貸物件を探す
ロンドンで賃貸物件を探す方法ですが、どのくらい滞在するのか、予算はいくらぐらいなのか、家具付き、家具なしなどの条件によって、賃貸物件のタイプが変わってきます。ロンドンの賃貸物件は家具付きが多いと言われていますが、現在は家具なしの賃貸物件も増えてきており、割合としては60%家具付き、40%が家具なし物件といったところでしょうか。 ロンドンでシェアハウスを探している シェアハウスというのは、戸建てやアパートメントの1部屋だけ借りる賃貸物件のことを言います。キッチンやお風呂は共用になります。学生さんやYMSの人が良く利用しています。最低滞在期間は3カ月で、光熱費とインターネット費用が家賃に含まれており、月々500~600ポンドぐらいです。シェアハウスでは必ずしも良いルームメイトに当たるわけではありません。特に大人しい日本人女性は、誰が住んでいるのかきちんと調べたうえで契約するようにしましょう。 シェアハウスを探すなら下のサイトで スペアルーム ロンドンシェア ガムツリー MixB (日本語) ロンドンで短期滞在用のサービスアパートメントを探している サービスアパートメントとは、家具付きの賃貸物件のことで、光熱費とインターネットとカウンシルタックス(住民税)が家賃に含まれています。備え付けのものは家具だけでなく、食器や調理器具や布団など生活必需品がすべて揃っていますので特に何か買って用意する必要がないので、男性であれ女性であれ独り暮らしの方に最適です。家賃ですが1LDKのタイプで一泊40ポンド~200ポンドで、エリアと時期によって値段が異なってきます。サービスアパートメントは、旅行で短期的に滞在される方にもお勧めです。日本食が恋しくなった時に、ホテルでは料理ができませんが、サービスアパートメントではキッチンがあるので料理ができます。 サービスアパートを探すなら下のサイトで ブッキングドットコム ロンドンサービスアパートメント 長期滞在用の賃貸物件 最低1年は滞在する駐在員の方は、長期滞在用の賃貸物件がお勧めです。家賃には光熱費やインターネット費用が含まれていません。物件によっては家具がついていないものもあります。家賃は、エリアによって大きく異なっており、 ロンドン中心部(Zone1、Zone2)1LDKで1,500ポンド~、2LDKで1,800ポンド~、3LDKで2,500ポンド~ ロンドン郊外(Zone4)3LDKの戸建てで2,000ポンド~、4LDKで2,500ポンド~、5LDKで2,800ポンド~ 総合検索サイト ライトムーブ ズープラ ロンドンの日系不動産会社 ロンドンの日系不動産会社は、日本人学校があるウエストアクトンをはじめ、日本人に人気のエリアに支店があります。日本語で物件探しができるのが最大のメリットです。 日系不動産会社リスト ロンドン東京 リダックストラットンズ ジャパンUKプロパティ フジロンドン ジャパンプロパティーサービス ジャパンレッティング ロンドンの英系不動産会社 英系不動産会社は、日系不動産会社があまり持っていないエリアの物件を持ち合わせています。日本人があまり住んでいないところに住んでみたいとお考えの方は英系不動産会社にお問合せしてみてはいかがでしょうか。 英系不動産会社リスト Winkworth Hamptons Savills Knight Frank JPS International ロンドンで賃貸物件を探すときに日系で探すのがいいのか、英系で探すのがいいのかを詳しく説明しているページはこちらとなります。
ロンドンで賃貸物件を見学するときのチェックポイント
ロンドンの住宅事情は日本とあまりにも違いすぎるため、物件を見学する際に何を気を付けてみればわからないという質問を良くされます。そこで、ロンドンの物件を見学する際の注意点とチェックポイントを詳しく解説いたします。まず、ロンドンの物件は古いというのが第一前提にあるため、人によっては古いからしょうがないと妥協してしまう人も数多く見受けられます。確かにロンドンの建物自体は古いですが、家によっては中を完全リフォームしていたり、お風呂やキッチンなどの水回りを新しくしたりしています。物件は大家さんを移す鏡と言われています。物件の状態から大家さんの性格を分析する方法も含め解説していきます。 窓をチェック 窓はとても重要で、窓が古かったり建付けが悪かったりすると、隙間風が入り冬場とても寒く、部屋もなかなか暖まらないため光熱費がかさみます。テナントさんの気持ちを汲み取ろうとしない典型的な大家さん 家具をチェック ロンドンは家具付きの家が多く、日本からわざわざ家具を持ち込む必要はありません。ただ、備え付けの家具は安物が使われていたり、アンティーク調の家具だったりします。住んでいる人の趣味嗜好は一切気にしない大家さんということが言えます。 壁をチェック 壁は人が長い間住んでいると必ず汚れるものです。一般的な大家さんは、テナントさんが変わるたびにペンキを塗りなおしますが、ダメな大家さんはペンキを塗りなおしません。 シャワーヘッドをチェック シャワーヘッドというのは、20ポンドぐらいで買えますし、誰でも簡単に交換できます。シャワーヘッドが古く石灰だらけの家は要注意。 キッチンをチェック キッチンは、最も重要な場所です。まず、洗濯機の中にカビが生えていないかをチェック。オーブンの中が油でギトギトになっていないかをチェック。換気扇が油でべとべとになっていないかチェック。冷蔵庫の古さをチェック。収納の扉の建付けがしっかりしているかをチェック。 物件を選ぶということは、大家さんを選ぶことです。大家さんが嫌で引っ越しをした人もいます。物件選びを間違うと最低1年は苦労することになりますので、慎重に選びましょう。
ロンドンの賃貸物件選びの落とし穴
日本からロンドンへの赴任が決まって、まず住む家を探さないといけません。ロンドンには日系の不動産会社が数社ありますが、不動産会社が物件選びに全面的に協力的だと思わないでください。 不動産会社は家主の犬 ロンドンの不動産会社は、家主のエージェントであり、物件を探している借主を、お客様だと思っていません。理由は、不動産会社は家主からの成功報酬で成り立っているからです。物件を探している人からは一切金銭はもらっていません。というのも、法律で家主と借主の双方からお金をもらってはいけないと決まっているからです。日本では「客をなんだと思ってんだー」と怒鳴ることができますが、ロンドンの不動産会社相手にそれを言ったら「はー?」って言われます。 家主が常にえらい立場 また、ロンドンでは貸主である家主と借主が対等ではありません。貸主が完全に上の立場なのです。ですから、日本で賃貸物件を借りるのとは、勝手が違うのです。 異国の地で何が正しいかわからない 建物の構造も違っており、日本から来たばかりの人では、どこを気を付けて見なければいけないのかがわからないうえに、いい物件と悪い物件の区別さえつかない人がほとんどです。そんな私もロンドンに住み始めのころは、物件選びに失敗して、妻に散々文句を言われた経験があります。奥さんってのは何を選んでも文句を言う生き物なのかもしれませんけど。 物件選びに失敗して離婚したケースも 私の知っている人で、物件選びに失敗して離婚してしまった人もいました。まあ物件は、あくまできっかけだったのかもしれませんが… 物件選びの注意点 話がそれてしまいましたが、本題に戻ります。さて、物件選びで気を付けなければいけないことを、いくつか挙げていきます。 英系不動産会社よりは安心の日系不動産会社リスト ロンドン東京リダックストラットンズKyo Service ロンドンでは物件よりも家主選び ロンドン生活を過ごすうえで、一番と言ってもいいぐらい大事なこと、それは、素晴らしい家主に出会うこと。家主がいい加減な人だと、ロンドン生活の楽しさは半減どころか、3分の1になってしまいます。 不動産会社は信用できない 家主選びで、大事なことは不動産会社の営業マンの言うことは99%信用しないことです。家主のエージェントとしての地位を確立している不動産会社は、もちろん家主の悪口は言いませんし、問題がある家主でも平気で嘘をつきます。 信用できるのは自分だけ 不動産会社は100%家主に味方なので信用できない。結論から言いますと、物件を隅々までチェックすることです。物件は、大家さんの人格を映す鏡です。具体的にどこをチェックすればいいのか? 以下の点をしっかりチェックすれば、悪い家主に出会うことはない 掃除がしっかりされているか 掃除がされているかどうかというのは、とても大事なポイントです。普通に考えて、内見に来るとわかっているのに、掃除されていない家を恥と考えない家主は間違いなく非常識。 壊れているところはないか これも掃除と同じで、戸棚の扉が壊れているのがそのままに放置されていたり、冷蔵庫の中の棚が割れているのにそのままになっていたり、窓ガラスが割れていたりなどなど。壊れているとわかっていても直さない。非常識ですよね。 電球 電球が切れたままになっていたり、違う種類の電球が同じ照明器具についていたりしたら要注意。 家具の統一感がない 家具の色や、スタイルがバラバラ。自分の家でいらなくなった家具を捨てるのが、勿体ないから賃貸物件に持ってくる家主もいます。そんな家主は、何か壊れても新しいものはなかなか買ってくれません。家がツギハギだらけになってしまうのがオチ。 カーテンが古い カーテンは、部屋全体のイメージを明るくも暗くもする大事なアイテム。でも、大家にとっては、賃貸物件のカーテンはどうでもいいもの。どう見ても20年以上前のデザインだろうってものも、賃貸物件では珍しくありません。そんな物件の家主は、住む人のことはどうでもいいと思っています。 ペンキを塗替えていないのに、壁に絵をかけた跡がない 壁に絵をかけた跡がないということは、住んでいる人が壁に絵をかけたことがない。つまり壁に絵をかけることが禁じられている。壁に絵をかけると壁に穴があき、物件の価値が下がると思っているアホな家主である。住んでいる家には、家族の写真や絵をかけて、アットホーム感を演出したいのが普通の人の考え。それを住んでいる人にさせない家主は、間違いなく自己中な大家。 前に住んでいた人のものをそのまま置いている キッチンの収納に、前に住んでいた人の食器やお皿がそのまま残っている。日本人の場合、退去の際、日本に持って帰らないものをそのまま物件に残していく人が多い。ただ、それを家主がそのままにしておくということは、きれいに掃除されていなかったり、物件のチェックをこまめにしていない証拠である。普通、誰が使ったかもしれない食器を使うのって気持ち悪くないですか?そんな気持ちを理しない大家は、間違いなく失格である。 マットレスにシミがついている、マットレスがあから様に古い(10年以上使っている感じ) マットレスは通常8年たったら新しいものに交換したほうがいいと言われていますが、それはあくまで平均的な価格のもの。賃貸物件においているマットレスなんて安物ばかり。5年もすれば、体重がかかる真ん中がへっこんできます。そんなマットレスを平気な顔で寝室に置いている家主は、新しいものを買わないとてもケチな人、何か壊れても緊急でなければ、なかなか直してくれない家主に間違いなし。 以上の点に注意して物件選びはしましょう。ロンドンの物件選びにてお悩みのか方、お気軽にご連絡ください。