ロンドンの不動産市場の先行き

ロンドンの英系賃貸物件

数年前からロンドン各地で古い公団住宅を取り壊し、マンションを建てたり、近代的なレストラン街にしたりする、いわゆる都市開発が急ピッチで進められている。
日本だけではなく、ロンドンでも新築物件はとにかく人気が高く市場に物件が出ても、すぐに買い手や借り手がついていた、のは昨年までの話。
2020年に入り、そんな不動産市場に変化が見え始めた。
新築マンションが売れなくなってきているのだ。
大きな要因はイギリスの欧州連合離脱(ブレクジット)。そして、ここにきて新型コロナウィルスの出現。
人々の投資意欲をそぎ落とす出来事が重なり、不動産市場は先行きの見えない状態だ。
人々が贅沢をしなくなっているのだ。
新築マンションを借りるということは、贅沢である。
高級車に乗るのと同じ。
販売に関しても同じ、投資用マンションを購入しても、海外からロンドンに人が入ってこない。
家賃収入を得ることが難しくなっている。
5年前に新築マンションを購入した人が、今年売っても買値より高く売ることはできない。運が良ければ買値と同額で売ることができる。
3年前に新築マンションを購入した人に関しては、買値どころか、数百万~一千万ぐらい安くしないと誰も見向きをしない。
ロックダウンの4月以降73万人の人が職を失っただけではなく、960万人以上の人が未だ職場復帰できていないどころか、失業の危機にさらされている。
以前は、初めて不動産を購入する人に対して、デポジット(頭金)が買値に5%でいいと言われていたのが、コロナパンデミックの後は15~20%のデポジットを最初に支払わなければ購入できない状態になっています。
10%のデポジットを追加でポンと支払える人は稀で、多くの人が不動産の購入を諦めています。
それでも、不動産会社も生き残るために必死で、数カ月前に売れた物件の看板を今でも立てたままでいたり、契約がだめになった案件も契約件数として報告していかにも今が買い時だという雰囲気を出し、市場が完全に鎮静化しないように試行錯誤している。
イギリス政府は、Stamp Duty(不動産取得税)が購入価格50万ポンドまで免除となるStump Duty Holidayという政策を来年の3月末まで打ち出しているが、ロンドン市内で50万ポンド以下の物件がほとんどないが、地方都市や地方の小さな町は物件の価格は50万ポンド以下なので、地方都市に住んでいる人にとっては優遇措置であるが、ロンドンに住んでいる人にとっては、特に恩恵はない。
また、コロナウィルス感染状況が悪化しているのは、ロンドンのような大都市なので、ロンドンの不動産価格はしばらく横ばい、もしくは下落傾向に陥ることになるだろう。
新築マンションの売れ残り、住宅ローンの貸し倒れ、私たちは大不況の入り口に立たされていることは間違いない。

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