【2025年最新版】英国ビザの主な変更点まとめ|スキルドワーカー・家族・学生・訪問・医療従事者

2025年最新版の英国ビザの主な変更点をまとめた日本語のインフォグラフィック。スキルドワーカーの賃金しきい値、家族ビザ要件、介護職の家族帯同制限、学生ビザの家族帯同禁止、訪問ビザでのリモートワーク容認、IHS改定額が箇条書きで示されている。

本記事では、2024年以降に段階的に導入・更新された英国(UK)ビザ制度の変更点を、日本語でわかりやすく解説します。とくに賃金しきい値の引き上げ家族帯同要件IHS(移民医療付加金)学生・訪問ビザのルールにフォーカス。実務で役立つチェックリストとFAQも収録しています。

1. スキルドワーカービザの賃金しきい値(最低給与)

スキルドワーカービザの「標準」最低年収は、近年段階的に引き上げられ、現在の新規申請では£41,700(または職種ごとのgoing rateの高い方)を満たす必要があります。加えて、職種別の所定賃金(going rate)表が随時更新されています。

  • 新規申請:通常は£41,700以上と各職種のgoing rateのいずれか高い方を満たす。
  • 延長・切替の経過措置:特定の期日までに延長する場合、低めのしきい値(例:£31,300)が適用される経過条項が存在(要件の細部はスポンサーHR/移民アドバイザーと要確認)。
  • 教育・医療など一部職種は別建てのレートや時間数換算があるため、37.5時間換算の表に注意。
職種別going rateの見方(かんたん解説)

職業コード(SOC)ごとに年収の基準額が設定されています。あなたの雇用契約の週所定労働時間が37.5時間以外なら、比例按分で基準額を調整します。

区分 主な要件 補足
新規申請 年収£41,700以上 または going rate以上 高い方を満たす必要
延長(経過措置あり) ケースにより低い基準(例:£31,300) 期限や役職により異なる
ISL対象職 通常基準の一定割合(後述) 割引幅や対象職は限定的

2. 短缺職種リスト → 移民給与リスト(ISL)

2024年4月にShortage Occupation List(短缺職種リスト)は廃止され、Immigration Salary List(ISL)へ移行しました。ISLに掲載の職種は、通常の最低年収の80%など限定的な緩和がありえますが、旧制度より対象は大幅に絞られ、going rateの大幅割引が原則廃止されました。

3. 家族ビザ:最低年収要件の引き上げと経過措置

パートナーとしての家族ビザ申請では、通常年収£29,000以上が必要です。これは2024年4月に引き上げられた新基準です。

  • 新規申請:通常£29,000以上。
  • 経過措置2024年4月11日以前に同一パートナーで申請済みの延長は、従来の£18,600が適用されうる。
  • 子ども同伴の場合は加算要件に注意。

4. 学生ビザ:家族帯同は原則不可(2024年1月~)

2024年1月1日以降、学生ビザでの家族帯同は原則禁止となりました。例外は政府奨学金生または大学院(RQF7以上)の研究型課程で、一定の条件を満たす場合です。

5. ヘルス&ケア労働者ビザ:介護職の家族帯同制限(2024年3月~)

介護職(Care workers/Senior care workers)については、2024年3月11日以降の新規申請では家族帯同が不可となりました。一方、同日以前から在留・就労中の人には経過措置があり、引き続き家族帯同や延長が可能なケースがあります。

また、2025年7月以降は中位技能(RQF6未満)の一部職種でも類似の帯同制限が導入されています。自身のSOCコードと在留開始日で適用可否が分かれるため、個別確認が必須です。

6. 訪問(ビジター)ビザ:リモートワークは付随的なら可

2024年のルール整理で、海外雇用に紐づくリモート業務渡航目的がそれ自体で主目的でない限り、滞在中に行うことが可能と明確化されました。英国のローカル市場での就労やサービス提供は引き続き不可です。

  • OK例:会議参加・観光の合間に、海外雇用主向けのメール対応や資料作成。
  • NG例:英国の顧客に対する直接的な商品・サービス提供、現地雇用主への労務提供。

7. IHS(移民医療付加金)の改定額

2024年2月6日施行の改定で、IHSは原則年£1,035に引き上げられました。学生・18歳未満・YMS年£776です(在留年数に応じて総額が変動)。

8. グラデュエート(卒業生)ルートの見直し:維持を勧告

2024年5月のMAC(移民助言委員会)による迅速レビューは、卒業生ルートに広範な濫用の証拠はないとして、現行維持を勧告。以降も制度は存続しており、2年間(博士は3年)の在留・就労・就職活動が可能です(将来の政策提案はあり得るため、直近の公式発表を確認推奨)。

9. 主要変更のタイムライン(抜粋)

  • 2024-01-01:学生ビザの家族帯同を原則禁止(研究型課程等を除く)。
  • 2024-02-06:IHSを年£1,035(学生・U18等は£776)へ引上げ。
  • 2024-04:短缺職種リスト→ISLに移行、割引の範囲を大幅に縮小。
  • 2024-03-11:介護職の新規家族帯同不可(既存在留者には経過措置)。
  • 2024年以降:訪問ビザでの付随的なリモートワークを容認(ローカル就労は不可)。
  • 2025年:スキルドワーカー最低年収£41,700に更新、延長の経過措置は個別要件に依存。

10. 申請前チェックリスト

  • あなたのSOCコードgoing rateを確認。
  • オファー年収が標準しきい値going rateの高い方を満たすか。
  • ISL対象なら割引の可否・割合を最新表で確認。
  • 家族帯同:申請日・在留開始日で経過措置の有無を判定。
  • IHSの総額を在留年数×年額で試算。
  • 学生/訪問の場合、家族帯同業務可否の例外条件を精査。

11. よくある質問

Q1. 年収が£41,700に少し届きません。ISLで救済されますか?

ISLは対象職種が限定的で、割引幅も縮小されています。あなたの職種がISL掲載であること、かつ所定割合を満たすかを確認してください。

Q2. 学生ビザで家族を呼べますか?

原則不可。政府奨学金生研究型大学院などの例外のみ可能です。

Q3. 介護職ですが、すでに在留中です。家族の延長は?

2024年3月11日より前から在留・就労している場合、経過措置により帯同・延長が可能なケースがあります(個別条件に依存)。

Q4. 出張中に本国の雇用主の仕事をリモートでこなすのは?

訪問ビザの目的が観光・会議等であり、リモート作業が付随的であれば通常は可。英国市場向けの直接サービス提供は不可です。

※本記事は公開情報に基づく一般的な解説であり、法的助言ではありません。申請前に必ず最新の公式ガイダンスをご確認ください。

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