観光依存の脆さと日本の海外での立ち位置
観光に頼る経済成長はとても脆い。
日本は海外でも同じような生き残り方をしている。
ここイギリスでは、かつて日本人が日本人向けのサービスを提供し、イギリスを訪れる日本人からお金を巻き上げるという構図が根強かった。
日本人向けの学校、日本人向けスーパー、日本人向け人材派遣、日本人向け不動産会社、日本人向けカーディーラー、日本人向けキャバクラなど——こういった事業は非常に脆い。
コロナパンデミックが暴いた“日本人向けビジネス”の弱さ
コロナパンデミックのような渡航制限が起きれば、これらの事業は直ちに消滅してしまう。
実際、パンデミック後には多くの日系企業や日本人向けサービスが淘汰された。
それでもアメリカと比べると、イギリスは企業向け支援が手厚かったため、生き残れた企業も多い。
コロナは世界中に起こった出来事で、イギリス政府が企業支援に迅速に動いたことも大きかった。
日本人だけに起こり得る危機
しかし、今後は「日本人だけに起こる危機」も考えられる。
大地震による渡航自粛の可能性
たとえば日本で東日本大震災級の地震が再び発生すれば、海外渡航は自粛される可能性が高い。
企業が送り出す駐在員の数も激減するだろう。
逆に海外に逃げるという選択肢を取る人もいるかもしれないが、イギリスの物価や極端な円安を考えると、その選択をする日本人は多くないだろう。
急激な円安という最大の懸念
現時点で最も心配なのは急激な円安である。
円がとにかく安く、日本企業は人材をイギリスに送り出すことに躊躇している。コストがあまりに大きいからだ。
企業によっては日本円で給料を払い続けているところもあるが、その金額ではイギリスで生活するのがやっとというのが現実である。
イギリス国内に潤沢な資金がある企業、あるいはアメリカなど別の国に資金源を持つ企業はまだ救われるかもしれないが、それがいつまで続くかは不明だ。
金利差によるさらなるポンド高
イギリスは公定歩合を現在も4%に保っているが、アメリカが今後利下げを続ければ金利差が広がり、ポンド高はさらに進む。
そうなればイギリスへの渡航者はますます減少していくだろう。
移民への風当たり強化というもう一つの逆風
暗いニュースはこれだけではない。
移民への風当たりが強くなっていることも、日系企業にマイナスの影響を及ぼすだろう。
日本人の中には「自分たちは移民ではない」と勘違いしている人もいるが、イギリス人にとっては白人以外はすべて移民である。
どれだけ税金を納めていようが、それは彼らにとって重要ではない。
最終的な目的は「イギリス人だけの国」にすることにあるからだ。
もちろん、すべてのイギリス人が同じ考えを持っているわけではない。
しかし、移民反対派は攻撃的であり、いじめと同じで、いじめっ子に歯向かう人はこの国には残念ながら少ない。
生き残るための唯一の道:日本人以外が喜ぶビジネスを作る
では、どうすれば生き残れるのか。
日本人は「日本人がいなくてもお金を生み出せる仕組み」を作るしかない。
これは、日本国内とは真逆の発想である。
日本では今、中国人観光客の減少でパニックになっているが、日本人が日本国内でお金を使う仕組みに戻すことが先決だ。
同じように、イギリスにいる日本人は、「日本人がお金を使う仕組み」を作るのではなく、イギリス人、そしてイギリスに住む人たちが喜んでお金を払うビジネスを構築していかなければならない。
これこそが、日本人も日系企業もイギリスで生き残る唯一の道である。










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