イギリスにおけるガス爆発の頻発 イギリスでは、一般住宅におけるガス爆発のニュースが時折報じられます。この問題は決して珍しいものではなく、住民の安全を脅かす深刻な事故として社会問題になっています。特に冬場になると、暖房設備の使用が増加するため、ガスに関連する事故が多発する傾向にあります。 イギリスの住宅におけるガスシステムの特性 イギリスの住宅では、ガスボイラーが一般的に使用されており、家全体を暖めるセントラルヒーティングシステムが普及しています。このシステムでは、ボイラーで加熱されたお湯が配管を通じて各部屋のラジエーターに送られ、家全体を暖める仕組みになっています。 そのため、ガスボイラーには常にガスが供給されている状態となります。この構造自体は他の国でも見られますが、イギリスでは設置やメンテナンスが適切に行われていないことが多く、それが爆発事故の原因となっています。 なぜガス爆発が起きるのか? ガス爆発が起きる主な原因のひとつは、不適切な設置作業やメンテナンスの不足です。イギリスでは、ガス機器の設置や修理は国家資格を持った技術者が行うべきですが、コスト削減のために無免許の業者が作業を請け負うケースが後を絶ちません。 無免許業者による施工の危険性 正式なガス技術者(Gas Safe登録技術者)に依頼すると、適切なチェックや保証がついてくるため、ある程度の費用がかかります。しかし、一部の家主はコスト削減を理由に、資格を持たない業者に違法な施工を依頼してしまいます。これは特に賃貸物件のオーナーに多く見られる傾向です。 賃貸物件のオーナーの多くは、自分が住まない物件を管理しているため、設備の安全性よりもコスト削減を優先することがあります。その結果、無資格の業者が適当にガスボイラーを設置し、配管の接続不良やガス漏れといった問題を引き起こします。こうした欠陥は、長期間にわたって気づかれないことが多く、最悪の場合、爆発という大惨事につながります。 実際に発生したガス爆発事故 ケース1:ロンドンの賃貸アパートで発生した死亡事故 数年前、ロンドン南部の賃貸アパートで大規模なガス爆発が発生しました。この事故では、建物が爆発によって倒壊し、住人の一人が死亡、複数の住人が重傷を負いました。 調査の結果、このアパートのボイラーは無免許の業者によって取り付けられており、ガスの配管に複数の欠陥が見つかりました。特に、ガスの漏れを防ぐためのシール処理が不適切であり、長期間にわたって少しずつガスが漏れていたことが判明しました。最終的に、室内に充満したガスが何らかの火花によって引火し、大爆発を引き起こしたのです。 この事故を受けて、家主は業務上過失致死の罪で起訴され、罰金と禁錮刑が科されました。しかし、このような事故は氷山の一角に過ぎません。 ケース2:マンチェスターでのガス爆発による住宅崩壊 マンチェスターでは、ある家庭でガスボイラーの点検が適切に行われず、配管の老朽化によるガス漏れが原因で爆発が発生しました。この事故では、住宅が全壊し、近隣の家にも被害が及びました。 幸い、この事故では死者は出ませんでしたが、住人は重傷を負い、家を失うこととなりました。調査の結果、家主は十年以上にわたってガス設備の点検を怠っていたことが明らかになり、結果的に安全基準違反で罰則を受けることとなりました。 ガス爆発を防ぐためには? このような事故を防ぐためには、ガス設備の適切な管理と定期的な点検が不可欠です。 1. Gas Safe技術者に依頼する ガス設備の設置や点検は、必ずGas Safe登録の技術者に依頼する必要があります。資格のある技術者は、正しい手順で施工を行い、ガス漏れや配管の不備を防ぐことができます。 2. 定期的なメンテナンスを実施する ガスボイラーや配管は、時間とともに劣化するため、最低でも年に一度は点検を受けることが推奨されています。特に古い建物では、配管の老朽化が進んでいる可能性が高いため、早めの対応が必要です。 3. ガス漏れの兆候に注意する ガスの臭いがする、ボイラーの火が異常に赤い、ガスコンロの火が不安定などの兆候が見られた場合は、直ちに使用を停止し、専門業者に連絡することが重要です。 4. 一酸化炭素検知器の設置 ガス漏れは、一酸化炭素中毒を引き起こすこともあります。イギリスでは一酸化炭素検知器の設置が推奨されており、これにより早期に問題を察知することが可能です。 まとめ イギリスではガスボイラーが広く使用されているため、ガス爆発のリスクがつねに存在します。その背景には、無免許業者による施工やコスト削減を優先する家主の姿勢が大きく関係しています。 過去の事故から学び、安全基準を遵守し、適切なメンテナンスを行うことが、ガス爆発を防ぐ最善の方法です。住民一人ひとりがガスの安全性について意識を高め、危険を未然に防ぐ努力をすることが求められています。
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イギリスでの物件内見―「現入居者?そんなの関係ねぇ!」な驚愕の実態
イギリスで物件を借りようとすると、日本の常識を遥かに超えたカオスな状況に直面することになる。そう、内見だ。日本では、「内見=空き家でしっかり確認できるもの」という常識があるかもしれないが、イギリスではそんな幻想は一瞬で吹き飛ぶ。 なぜなら、 基本的に内見は「今住んでいる人がまだ生活している状態」で行われる のがデフォルトだからである。どういうことかというと、現入居者のプライバシーや快適な生活などという概念は、大家の利益の前では無に等しい。家主としては、できる限り空室期間を作りたくないので、退去前に次の入居者を決めてしまうのが当たり前なのだ。 修繕?何それおいしいの? さらに驚くべきは、 修繕が「新しい入居者が入った後」にしか行われない というトンデモ運用。いやいや、普通は退去後に点検して、問題があれば修繕してから新しい人を迎え入れるのでは……?と思うかもしれないが、そんな甘っちょろい考えはイギリスの不動産業界には通用しない。 例えば、 壁に大穴が開いていようが、カーペットに謎の赤黒い染みがついていようが、ドアが絶妙な角度で外れかけていようが、そのまま引き渡される。問題があれば? 新しい入居者が文句を言った後で考えればいい という、全力で未来に投げっぱなしなスタンスである。 土足文化、ここに極まれり さて、内見が現入居者の生活圏に侵入して行われるということは…… 当然、見学者たちは現入居者の家の中に、遠慮なく土足でずかずかと上がり込んでくる ことになる。 これはもはや、 不動産版の「押し入り強盗」では? と思わざるを得ない。 あなたがリラックスしてソファでコーヒーを飲んでいると、見知らぬ人々が次々と玄関から入ってきて、ベッドルームを覗き、バスルームのシャワーを点検し、「うーん、キッチンの収納が少ないですね」などと勝手なレビューを始める。そう、 そこはまだあなたの家なのに。 しかも、彼らは皆当然のように土足。何なら雨の日の泥だらけの靴のまま、「あら、床がちょっと汚いですね」などとコメントする始末。「お前が今汚してるんだが?」と言いたくなるが、そんなことを言っても「Oh, sorry!」と軽く笑われるだけである。 大家「オッケー、次行こうか!」 ここで、 もしあなたが「ちょっと待って、これっておかしくない?」と声を上げたとしても、大家の返答はだいたいこうである。 👉 「みんなこうしてるから。」 👉 「いや、大丈夫大丈夫、すぐ終わるから。」 👉 「次の入居者が決まるまでの辛抱だよ!」 ……何一つ納得できる回答がない。 「これがイギリス流なのだから、受け入れるしかない」という、圧倒的な諦観を求められるのがこの国の賃貸事情なのである。 究極の選択:「土足で人が入ってくる生活」vs「なかなか退去させてもらえない恐怖」 では、いよいよあなたが退去しようと決意したとしよう。やっとこの土足で踏み荒らされる生活から解放される!と思うかもしれないが…… 甘い。甘すぎる。 ここで待ち構えているのは 「なかなか退去させてもらえない問題」 である。イギリスでは、 退去の1〜2ヶ月前に通知するのが普通 なのだが、これが意外とスムーズにいかない。 家主としては、「どうせなら、次の入居者が決まるまで住んでおいてほしい」と思っているので、なかなか最終確定の許可を出してくれなかったり、無駄にダラダラと手続きが進んだりすることがある。最悪の場合、「まだ次が決まってないから、もう少し住んでくれない?」という、恐るべき ズルズル引き延ばし戦略 を食らう可能性すらある。 つまり、イギリスでは「入居も地獄、退去も地獄」。 まとめ:イギリスでの内見は「日常に突如侵入してくる未知の体験」 さて、ここまでの話をまとめよう。 ✅ イギリスの内見は現入居者がいるまま実施される → つまり、プライバシーなどない。 ✅ 修繕は新しい入居者が入った後に行われる → …
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賃貸物件の「冬あるある」~水漏れ編~
冬といえば、コートを羽織り、手袋をはめ、ホットチョコを飲みながら部屋でのんびりしたい季節。しかし、賃貸物件の住人にとっては、もう一つの「冬の風物詩」があります。それは、冬になると決まって起こるトラブルの数々。特に注目すべきは、暖房システム関連の問題。これが意外と「ドラマチック」な展開を見せることも多いのです。 冬の主役はボイラー、その裏でひそむ水漏れの恐怖 賃貸物件に住んでいる人の多くが頼りにしているセントラルヒーティング。ボイラーが働き、各部屋に設置されたラジエーターにお湯を供給することで、部屋全体がポカポカに。これ自体はありがたいものですが、問題はその「ボイラー君」、たまに仕事をサボるんです。 最もありがちなトラブルがボイラーからの水漏れ。最初は「ポタ…ポタ…」という音に「まあ、大したことないだろう」と油断しがち。でもちょっと待った! ボイラーの仕組みを知ると、この水漏れがいかに恐ろしいか分かります。 ボイラーの仕組みをざっくり解説 ボイラーは冷たい水を吸い込み、ホットなお湯に変換してラジエーターに送り込む仕組み。その結果、家全体を暖める役割を果たします。簡単に言えば、家の血液循環を担う心臓のような存在なのです。 では、この「心臓」がポタポタと漏れ始めたらどうなるか? 想像してみてください。 漏れ出る水の量、意外とシャレにならない 例として、寝室3つの3ベッドルーム物件を想像してみましょう。この場合、各部屋に1つ、リビング・キッチン・バスルームにそれぞれ1つずつ、計6つのラジエーターがあるのが一般的です。ここに注目すべきはラジエーター内にたまった水の量。 これを合計すると、12リットル~72リットルの水が家中を循環しています。つまり、72リットルの水が一気に漏れ出したらどうなるか? マンションなら下階がプール状態、戸建てなら床は洪水祭り。被害は計り知れません。 水漏れの見分け方:チェックポイントは「水圧計」 ボイラーの水漏れは、目で見て分かる場合もありますが、そうでない場合も。そんな時に役立つのがボイラーに付いている水圧計です。この水圧計、だいたいボイラー正面部分にあります。最近のボイラーなら液晶で表示されるものもありますが、アナログ派のメーターもまだまだ健在。 注意すべき数値は「1.0以下」。水圧が下がり続ける場合、水漏れが起きている可能性が高いです。「いやいや、水圧が下がるのは寒いせいでしょ?」と侮ってはいけません。水漏れが進行すれば、暖房が止まる → 部屋が冷える → テンションも急降下という負のスパイラルが待っています。 水漏れの悲劇、実録エピソード ここで、実際に起こり得る水漏れの恐怖をシミュレーション。 対策:ボイラーの調子がおかしいと感じたら? 「水圧が下がっているけど、まだ暖房が動くから大丈夫」なんて油断は禁物。気付いた時点で、即大家さんに連絡しましょう。ですが、世の中には「やる気ゼロ」な大家さんも存在します。 そんな場合、早めに引っ越しを検討するのが得策です。「水漏れを放置する大家さん=今後も問題に真摯に対応しない」の法則はほぼ間違いありません。 相談できるところはある? 「でも引っ越しってそんな簡単じゃない…」という方、ご安心を。賃貸物件のトラブルに関しては、無料で相談できるサービスもあります。英国生活サイトなどでは、以下のような相談を受け付けています。 どんな些細な悩みでも、一度相談してみる価値はあります。 結論:冬の賃貸物件は要注意! 冬の賃貸物件で問題が起きる確率は意外と高いです。特にボイラー絡みの水漏れは、対応を誤ると家全体がプール化する危険性すら。日ごろからボイラーの状態をチェックし、異変を感じたらすぐに動きましょう。 そしてもし大家さんが頼りにならない場合は、「あきらめる」「引っ越す」「相談する」の三択。凍えながら問題を抱え続ける必要はありません。 寒い冬、暖かい部屋で快適に過ごすためにも、ボイラー君を見守る目を忘れずに!
実際に物件を見てから契約するべし
新型コロナウィルスの感染拡大で増えたのが、内見をフェイスタイム、スカイプ、ラインなどのビデオ通話で済ませるひとが一時期増えました。英国では、ロックダウン中にビデオ通話内覧を専門とするいかがわしい業者も増えて、中には契約に必要な料金を支払ったあとに音信不通になりお金をだまし取られるという被害も急増しました。ちなみに被害にあったのは日本人ではなく、ヨーロッパ人やアメリア人です。世間知らずの海外からの留学生が、ビデオ通話で顔も見たし、会社もあるからと安心して数千ポンドものお金を送金してしまったのではないでしょうか。私の知り合いでも数人被害にあわれた方がいます。 物件を実際に見ないととんでもない落とし穴が待っている 私が契約前に物件を見学することをおススメする理由ですが、いくつかありますので順番にあげていきます。 ビデオ通話の内覧で契約しないといけない状況 以前も何度かお話いたしましたが、現在ロンドンでは賃貸物件が激減しており、良質な物件が市場に出ますと1日でなくなってしまうという状況です。先日、東ロンドンのシャドウェル・ヒースという町で2ベッドルームの物件に50人以上のお客さんが内見に来たというのがニュースになっていました。良質な賃貸物件は一瞬でなくなってしまうのです。日本から問い合わせて、「来月の初旬に渡英予定なので、それから内見をします。」なんて言っていたら一生物件は見つかりません。もし、前に知り合いが住んでいたとか、同じ会社の前任者が住んでいたとかなら大丈夫ですが、ビデオ通話の内見だけで契約するのは、やめておいた方がいいですよ。
冬によくある賃貸物件におけるトラブルと対処法
そんなに寒くないはずのロンドンの冬 先週は初雪が降った他に、気温がマイナス7度を記録するなど例年とは違った冬になりそうな予感がします。12月でも平均最低気温は5~6度で平均最高気温は9度といった感じでした。詳しくはロンドンを訪れる時季はいつがベスト?をご覧ください。異常気象が原因なのか、それとも単純にいつもより寒い冬なのかよくわかりませんが、とにかく寒さの厳しい冬になることは間違いありません。さらに、光熱費の高騰が家計に大きなダメージをもたらすことも忘れてはいけません。私も光熱費の高騰が気になるのですが、家の中でダウンジャケットを着たりしたくはないので、室温を20~21度ぐらいに下げてセントラルヒーティングを使用しています。ちなみに去年は25℃ぐらいでガンガン使っていました。ロンドンは夏そんなに暑くならない代わりに冬はそこまで寒くならないというのが普通でした。 熱波にも、寒波にも対応していないロンドン ロンドンのインフラや建造物は熱波や寒波が来ることを想定して造られておらず、通常より少しでも気温が高くなったり低くなったりするだけで、自然災害並みの被害が発生します。今年の夏は、ロンドンでは一番暑い日で38℃を記録しました。その際、鉄で造られていた橋の欄干部分が変形してしまうという被害がありました。また、数日前に気温が急激に下がり、スイスコテージで地下にある大きな水道管が破裂し、一時的にスイスコテージ、セントジョーンズウッド、ハムステッドのエリアで大規模な断水となりました。それだけではなく、破裂したパイプから大量の水があふれて、近くに住む家では床上浸水状態となり、数十世帯が避難する事態まで発展しました。 断水した際の対処法 スイスコテージの水道管破裂は、数千世帯の家やマンションの水が一時的に使えない状態となりました。水道の蛇口をひねれば水がでるのが当たり前の世界に住んでいる私たちにとって、水が出ないというのは間違いなくパニック状態に陥ります。しかし、慌ててもしょうがありません。まず、断水の原因をつきとめることです。断水が自分の家だけなのか、マンションに住んでいるならお隣さんも同じ状況なのか確認します。もし、自分の家だけ水が供給されていない場合は、すぐに家主に連絡しましょう。住んでいるエリア一帯が断水になっている場合は、インターネットで水道会社のホームページにアクセスして最新の断水情報を確認しましょう。もし、水道管の破裂が原因での断水の場合ですが、復旧までに12~24時間ぐらいかかると言われていますが、長引くこともありますので、スーパーで水のペットボトルを多めに購入して復旧するまで凌ぎましょう。 断水は誰の責任なのか? 賃貸物件に住んでいて陥りがちなのは、すべて家主に責任の追及をしてしまうことです。水道管が破裂したのは、決して家主の責任ではありません(冷静に考えればわかることだと思いますけど)。それでも、誰かを責め立てたくなってしまうあなたは、正直心が病んでいるか、相当心の狭いひとかのどちらかと自覚しましょう。あなたが文句という相手は、家主ではなく水道会社です。水道会社に電話をかけるなり、メールを送りなりして、いつまでに水が供給されるようになるのか確認することにエネルギーを使いましょう。 暖房、給湯のトラブル 次によくあるトラブルは暖房と急騰のトラブルです。朝なんとなくいつもより寒いと思ったら、タイマーで毎朝6時につく予定になっていたセントラルヒーティングがついていないといった経験は、誰もがお持ちなのではないでしょうか。原因はいくつか考えられますが、もっとも多いのはボイラーの圧力の低下です。ボイラーの圧力とは何ぞや?ですが、下の図を見ていただくとセントラヒーティングの仕組みが何となくわかるかと思います。 簡単に説明しますと、ボイラーから熱いお湯が各ラジエターに送られるのですが、その際パイプとラジエターの中には圧力が存在します。その圧力がある一定の数値に達していないとボイラーが作動しないようになっています。ボイラーの圧力が失われる原因の一つとして、パイプやラジエターからの水漏れです。古いラジエターにありがちなのですが、ラジエターやパイプのつなぎ目から水がポタポタとたれている現象です。先ほどのボイラーのシステム内は密閉状態となっていなければいけませんが、水漏れがあるということは、圧力が外に逃げ出しているということです。これを放置しますと、ボイラーのシステム内の圧力が失われてボイラーが止まってしまうのです。 すぐに家主に連絡、その際にガスセーフティ証書は有効かも確認 瞬間湯沸かし器タイプのボイラー(コンビネーションボイラー)をお使いの家庭でボイラーが停止すると暖房だけではなく、お湯も使えない状態となりますので、ラジエターやパイプの水漏れに気づいた際はすぐに家主に連絡しましょう。家主に連絡する前に、入居の際にガスセーフティ証書というものを不動産会社か家主からもらっていると思いますが、一年ごとの更新が必要になっています。証書の有効期限が切れてしまっている、証書が手元にないというひとは、すぐに家主か不動産会社に連絡して取りよせるようにしましょう。ガスセーフティ証書は、法律で定められている家主の義務です。ちなみにガスセーフティ証書というのは下のイメージのようなものです。 ガスセーフティ証書の更新を怠っている家主ですが、かなり沢山いると言われています。ガス器具が正常に作動しているか、ガス器具が安に使える状態にあるのか、今一度証書の確認をしましょう。 ガスセーフティの証書ぐらいと侮らないでください 8月8日の月曜日午前7時、ロンドン南部のクロイドンという町で大規模なガス爆発があり家一軒が跡形もなく吹き飛び、焼け跡からその家に住む4歳の少女が遺体で発見されるという悲しい事故がありました。原因はガス漏れです。調べたところ、ガスセーフティ証書の有効期限が数年前に失効していたそうです。事故の10日前にガス会社に連絡して、ガス会社から派遣されたスタッフが現場に来て検査しましたが、いい加減なスタッフで異常が見つからなかったから大丈夫だと言って帰っていたそうです。でも、この検査をしたひとだけの責任ではありません。ガスセーフティ証書を毎年更新していれば、もう少し早い段階でガス漏れやガス器具の異常が見つかっており、事故は間違いなく防ぐことができたのです。皆さんも、ガスセーフティ証書の有効期限を今一度確認して、クロイドンのような悲しい事故に遭遇しないようにしましょう。自分と自分の家族の命を守るのは、あなた自身です。
ロンドン賃貸物件の家賃値上げに対して何ができる?
賃貸物件の家賃の異常な値上がりと物件数の減少 以前ロンドンの賃貸物件数が減少しているとお話いたしましたが、知らない人のために再度簡単に説明します。2021年暮れからの利上げに伴い、住宅ローンを抱える家主の利回りが悪くなり、さらにウクライナ戦争開始によって家主にかかる負担はさらに増え、多くの家主が賃貸物件を売却するといった事態になりました。 インフレは家主より借主への負担が増えるのでは? 確かに家主は物件に借主がいて、住民税(カウンシルタックス)、公共料金などの負担はありませんが、多くのロンドンの賃貸物件はフラットいわゆるマンションタイプになり、住宅ローン以外でも管理費というものが発生します。しかも、都心のフラットは暖房、給湯が共用のところが多く、光熱費の負担は管理費というかたちで家主にかかってくるのです。おそらく今年の契約更新時に家賃を値上げされなかったという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。インフレ率が10%以上もしているので、RPI(Retail Price Index)と家賃上昇率が連動するという条項が契約書にはいっている場合、10%の値上げをされた人もいたのではないでしょうか。 家賃の値上げに対して交渉はできないのか? 家賃の値上げに対して、借主は交渉できないのでしょうか。交渉は可能です、というか交渉するべきです。今年、大幅な家賃の値上げを承諾してしまうと、来年も似たような家賃の値上げされることになります。考えてみてください、ロンドンで高いお金を出して投資物件を買うということは、お金儲けしたいということです。家主になるというのは慈善事業ではありません。利回りが大きければ大きいほど家主の懐は潤っていくのです。 では、どういった方法で交渉するのか? 家賃の値上げに対する交渉ですが、単純に今の家賃以上は支払うことができないということです。家主も人間で私たちと同じ血が流れています。情に訴えることが大切です。いろいろ理屈を並べて論破しようなんて思わないでください。相手は百選錬磨のビジネスマンだということを忘れないでください。特にインド人、ユダヤ人の家主は論破されることが大嫌いな人種なので、とにかく生活が苦しくなるとか、子どもに満足に食べさせられないとか嘘八百を並べて情に訴えてみましょう。 家賃の交渉はなるべく長引かせるべし 家賃の交渉にかける時間ですが、長ければ長いほど有効に働きます。200ポンドの値上げに対し、100ポンドならと妥協点を見出すのは最後の最後です。まずは値上げには対応が難しいということと、その理由を並べ立ててください。そして、妻に相談するとか、会社の上司に相談するとか、結論を先延ばし先延ばしにする努力をしましょう。人の心理として、あまりに交渉に手間取ると面倒臭くなってくるので最終的には相手が妥協してきます。家賃の値上げが0というのが理想の着地点ですが、最終的に200ポンドの値上げが100ポンドにおさまれば御の字ではないでしょうか。 最悪のケーズは? 交渉がまったくうまく行かず、交渉決裂になった場合の対処法ですが、とにかく値上げされた家賃は支払ってはダメです。もし、値上げされた家賃を支払った場合、値上げに同意したことになるからです。恐らく家主のなかには、退去通知を出してくる人もいるかと思います。退去通知は通常2カ月以内に出て行ってくださいというものになり、すぐに出ていく必要はありません。ただその間も現行の家賃は支払い続けるようにしてください。家賃の支払いを止めてしまうと、家主は法的措置をとってきます。家賃を支払い続けていれば、家主には法的措置をとる強い理由がないので、そのまま住み続けられる可能性が高くなります。というもの家主が借主を追い出すのにかかる弁護士費用が8,000~12,000ポンドと言われていて、その費用が家主の負担になることを考えると、ほとんどの家主は現状維持を選ぶのです。 引っ越すという選択も視野に入れる 今の物件に住み続けたいか?というのを再度家族と話し合ってみてください。法外な家賃の値上げをふっかけてくる家主の物件に住み続けたいかどうか?物件に満足しているのか?近隣住民とはうまくやっているのか?など、引っ越しを検討する理由はいくらでもあります。確かに賃貸物件は減少していますが、まったく無いわけではありません。そこで、場所と環境を変えて心機一転で新しい生活を始めるというのを一つの選択肢として持っておけば、気持ちにも余裕ができて家主との交渉もうまく行くのではと思います。
ロンドンで高い家賃を提示する不動産会社
ロンドンの不動産業界の仕組み 以前ロンドンの不動産業界の仕組みは日本とは違うというお話をしたかと思いますが、復習の意味で再度説明します。ロンドンは家主が利用する不動産会社を選びます。不動産会社は、家主から物件の宣伝をしてもいいと言われない限り勝手に物件を紹介することはできません。つまりAという不動産会社とBという不動産会社は宣伝している物件が違うのです。 では、家主はどういった基準で不動産会社を選ぶのか? 家主が不動産会社をどういった基準で選んでいるのかといいますと、下の理由が主な理由となってきます。 もし、あなたが家主なら1と2はだいたいわかりますよね。安くて質のいいサービスを受けたいのは世界中どこでも同じです。でも3の提示される家賃とはどういう意味なのでしょうか。ロンドンには、家賃の相場というものがありそうでありません。不動産会社に「この家の家賃は3,000ポンドです。」と言われれば、その値段が家賃となるのです。つまり、まったく同じ物件でも不動産会社Aと不動産会社Bで宣伝する家賃が違う場合が生じるのです。これってフェアじゃないですよね。 どのくらい家賃の違いがあるのか? 不動産会社によって宣伝する物件の家賃が違ってくるのは理解していただけたかと思います。ではどのくらい家賃の違いがでてくるのか?例えば、3ベッドのセミディタッチハウスですと、比較的リーズナブルな家賃を提示する動産会社ですと月2,200~2,600ポンド。これが高い家賃を提示する不動産会社ですと、月2,800~3,200ポンド。安く家賃を提示する不動産会社に比べて高く家賃を提示する不動産会社は、家賃がなんと25%も割高になってしまっているのです。 高い家賃で契約したからと言って文句が言えない 高い家賃で契約したことに気づき、不動産会社に文句を言っても後の祭りで、家賃が変更されることはありません。家賃が高いから物件の質がいいというのも一概に言えないのがロンドンの賃貸物件なのです。新築のマンションでも水漏れや電気系統の故障が頻繁に起こるのがロンドンです。 高い家賃で契約しないためにどうすればいいのか? 家賃の相場がわからないのに高いか安いかなんてわからないから対策しようがないと思われていませんか?そんなことはありません。相場がわからないならリサーチするしかありません。ロンドンで物件を探すとき、まずチェックしなければいけない下の2つのウェブサイトがあります。 RightmoveZoopla この2つのウェブサイトをチェックすれば、賃貸物件の相場が一目でわかります。エリアごとの検索になるので、自分が住みたいと思っているエリアに絞って家賃の相場が一目でわかります。 家賃が高めと言われている不動産会社では絶対に契約しない ロンドンには相場よりも家賃が高いと言われている不動産会社が数社あります。そんな不動産会社とは契約しないようにしましょう。ちなみにですが、ロンドンで有名な高い家賃を提示する不動産会社ですが、下の会社となります。 FoxtonMartin Gerrardロンドン東京プロパティーサービスリダック・ストラットンズ ※おススメの不動産会社ではないのでリンクはつけませんのでご了承ください。 高い家賃でも予算内に収まっているからと安心はできません。ロンドン市内の家賃は毎年馬鹿みたいに上昇しているため、1年目は予算内でも2年目に10%の値上げとか普通にありますので2年目に退去しなければならないといった状況をさけるためにも家賃の相場を知り、家賃交渉をしっかりしましょう。日本人だからとなめられないようにしましょう。
日本人にはあまり聞きなれない賃貸契約前のレファレンスチェック
日本人の英語力がどんどん高くなるにつれ、英系企業のサービスを利用するひとが増えてきました。というか、日本人向けのサービスを提供する会社はコロナパンデミック以降減少傾向にあるので現地のサービスを使わざるをえないといった状況です。そこで、今日は英系不動産を利用する際に注意しなければいけないレファレンスチェックについてお話します。 レファレンスチェックとは? では、レファレンスチェックとは、いったい何なのでしょうか。簡単に説明しますと、審査です。ロンドンで賃貸物件を契約したいとなった場合に不動産会社が知りたいのは「仕事は何をしていて、年収はどのくらいあるのか」につきます。英国では、家賃を滞納するひとが年々増えており、大きな社会問題となりつつあります。そこで、家賃の支払い能力があるのかが賃貸物件の契約をスムーズにしてくれる鍵なのです。 自分の支払い能力を知りたい 支払い能力とひとえに言いますが、いったい自分には毎月いくらぐらいの家賃が相応なのか。答えは簡単です。下の式をご覧ください。 年収 ÷ 30 = 月の家賃 年収10万ポンドのひとの場合ですが、上の式に当てはめると月3,333ポンドという計算になります。自分には貯金もあるので、月にもっと支払えるという場合も同じ計算式が採用されます。 貯金額 ÷ 30 = 月の家賃 貯金額が10万ポンドあったとした場合、毎月の家賃は3,333ポンドですので、上の3,333ポンドと合わせると月6,666ポンドの賃貸物件の契約が可能になるということです。 日本人はレファレンスチェックが通らない? 日本人は英国での金銭の支払い記録がないので、レファレンスチェックが通らないという嘘の情報を教えてくれるひとがたまにいますが、そんなことはりません。日本人だろうが、ドイツ人だろうが、アメリカ人だろうが、この国に初めて来たひとでも収入の証明さえできれば、レファレンスチェックは通ります。 無職のひとは賃貸物件を借りることができないのか? 無職のひとでも賃貸物件を契約することはできます。ただし条件として、銀行に十分な貯蓄があること。先ほど言いましたように、貯金も収入とみなされます。では、職もない、貯金もないひとは賃貸物件を借りられないのかといいますと、正直難しいですね。たまに、海外での仕事をリモートでやりながら英国に移住してくるひとがいますが、ここで言う収入の証明というはあくまで英国内での収入に限ります。 審査を受けずに賃貸物件を契約する方法 審査など煩わしい手続きを端折って契約する方法も、実はあります。通常の賃貸契約は1年契約となります。家主がいちばん気にしているのは、家賃の滞納です。では、家賃を契約の満了まで先払いするという条件であれば、その心配がなくなり、審査という煩わしい手続きを省くことができます。2021年1月から英国は香港からの移民を受け入れていますが、多くの香港人は1年分の家賃を先払いすることによって審査をしないで済んでいます。 レファレンスチェックが通らなかったときのペナルティは? もし、仮に気に入った物件が見つかり、申し込みをしたとします。レファレンスチェックをする前に、不動産会社に手付金(ホールディングデポジット)を支払なければいけません。手付金は1週間分の家賃と法律で決まっています。手付金を支払うとレファレンスチェックが始まります。すべてインターネット上で行われるので、オフィスに出向く必要はありません。英国でいちばんメジャーなレファレンスチェック会社はHomeLetです。HomeLetからリンク付きのメールが送られてきますので、迅速にオンラインフォームの入力をします。フォームの内容は、名前、勤め先、現住所(ホテルの場合はホテル)などの簡単な情報です。もっとも重要なのは、勤め先の連絡先です。ここには会社の人事、または総務の担当者の電話番号とメールアドレスを入力します。間違った担当者の連絡先を入れたりしますと、雇用と収入の証明が遅れ、レファレンスチェックが通らない場合もありますので注意してください。オンラインフォームの入力が終わりますと、そこから調査が行われ、不動産会社に結果が送られています。もし、万が一あなたの収入が規定に満たなかったり雇用形態に問題があったりした場合は、Not acceptable(審査が通りませんでした)というレポートが不動産会社に届きます。その場合は、手付金が不動産会社に没収されてしまいます。時々ですが、調査会社で働くひとも人間ですので、ミスをすることもあります。もし、調査結果に不服がある場合は、すぐに不動産会社に文句を言いましょう。 日本人が、現地不動産会社からあまり好かれない理由 日本人は物件をとてもキレイに使ってくれますし、家賃の支払いも期日をしっかり守ってくれますが、あまり現地の不動産会社には人気がありません。理由は2つあります。 物件に対しての注文が多すぎる 家具を交換してほしい、エアコン付けてほしい、絨毯をフローリングにしてほしい、などなど。私が過去に受けた注文でいちばんショックだったのが、シャワーしかない家に浴槽を付けてくほしいと言われたときです。もちろん、そのひとの申し込みは丁重に断られました。 契約内容が家主向けではない 以前も何度か話しましたが、契約期間中にテナント側から途中解約ができるという条件が必須ということです。基本的にこの条件を現地不動産会社に伝えても、担当者は家主にさえ伝えないケースがほとんどです。 少し最後話が脱線しましたが、お金さえ積めばロンドンでの賃貸契約に困ることはないということです。
賃貸借契約の落とし穴
ロンドン(イギリス)で賃貸契約を結ぶ際に、見落としている点はありませんか。賃貸借契約は日本のものとほぼ同じだと思っていませんか。今日は、賃貸借契約を交わす際の注意点についてお話します。 賃貸借契約とは? ロンドンで賃貸借契約というのは、借主と貸主の間で交わされる契約のことです。英語では借主をテナント(Tenant)と呼び、貸主をランドロード(Landlord)と呼びます。賃貸借契約は、このテナントとランドロードの間で交わされる契約であり、不動産会社と交わす契約ではありません。ただ、契約書は、不動産会社が準備することが多く、賃貸物件に入居するまでは不動産会社が、契約の内容に関して説明したり、修正したりする義務があります。 契約の内容とは? 基本的に契約書の中身はいくつかの項目にわかれていますが、大雑把に説明しますと下のものとなります。 借主の義務 - Tenant’s obligation 貸主の義務 - Landlord’s obligation 敷金 - Deposit 解約通知、退去通告、通知の方法 - Notice 個人情報保護法 - GDPR 賃貸借契約書は通常12~15ページで、すべて英語(もちろん)なので、日本から来たばかりのひとには読むのは少し大変かもしれませんが、読まずにサインをして、あとから知りませんでしたというのは通用しません。そこで、ここだけは押さえておけば大丈夫という点を説明します。 契約書のなかでおさえておく条項 公共料金 - Utilities 公共料金に関してですが、まず支払う必要があるのかどうかを確認してください。賃貸物件によっては、電気、ガス、水道料金が含まれている場合もあります。それなのに契約書には公共料金の支払いは借主の義務だと書かれていた場合、数カ月後多額の請求が来ても文句は言えません。基本的に契約書は物件によってオーダーメイドされているのではなく、テンプレを使っている不動産会社がほとんどで、内容を変更するのを忘れてしまう不動産会社も多いのでご注意ください。 途中解約の条項 - Break Clause この条項に関していちばんトラブルが多いのではないでしょうか。通常、賃貸契約は最低12カ月の契約になっています。何も言わなければ12カ月間は、そこに住み続けなければいけません。何も問題がなければいいですが、ロンドンでそんな物件にあたることは70%ぐらいの確率です。ということは10人中3人は何かしらのトラブルに遭遇するということです。そんなときに、この途中解約の条項がなければ最悪です。以前、マンション(イギリスではフラットと呼びます)に住んでいたAさんが、入居3カ月ぐらいしてから隣に3人の学生が引っ越してきて連日連夜のパーティー、騒音に悩まされたAさんは退去を申し出たところこの途中解約の条項が入っていなかったため、それから9カ月間騒音に耐え生活を強いられました。騒音問題の対処法はこちらでご覧ください。 途中解約は最低6カ月と法律で定められており、6カ月以内の解約はできないことになっていますのでご注意ください。 途中解約は貸主からもできる 再度、途中解約の話になりますが、途中解約は借主側からではなく、貸主からも解約ができるようになっているのが通常です。つまり、もし貸主が借主のことが嫌いで出て行ってほしいとなった場合に、貸主から退去通知を受ける可能性もありますのでその点もご注意ください。 壁に絵や写真をかけるためのクギや画びょうをさしてもいいのか せっかく高い家賃を払って住むのですから、自分の家のように家族の写真やお気に入りの絵画を壁に飾りたいですよね。でも、通常の賃貸借契約書は壁などに絵画用のクギやフックを取りつけてはいけませんと記載されています。もし、壁に写真や絵画をかけたい場合は、貸主に書面にて許可をえなければいけません。 私の知っている家主さんのほとんどは、特に気にするひとはいませんが、なかには古い建物なので絶対にダメだという変わった家主もいますので’ご注意ください。 退去通知 退去する際ですが、12カ月契約の満期をむかえれば自動的に退去できるわけではありません。退去通知というものが必要となってきます。通常は1カ月前通知か、2カ月前通知となっています。注意しなければいけないのは、1カ月前の通知というのは、不動産会社もしくは貸主が通知を受け取った日から1カ月ということになります。毎月1日に家賃を支払っている場合、もしその月の末日に退去したいのであれば、末日に相手側に届くように通知しなければいけいのです。これが1日ずれてしまうと、家賃を1日分余計に支払わなければいけません。では、月の途中で退去したいと考えているのでしたら、1カ月前の退去通知は退去したい日から1カ月さかのぼった日に相手に通知が届くように出せばいいということです。退去通知を出す方法ですが、契約書によって異なってきますが、基本的に書留郵便(Recorded Delivery)が’原則となっているはずです。 退去時の掃除 退去時に高いお金を支払ってプロの掃除業者に頼まなければいけないと思っている方が多いと思いますが、そんなことはありません。借主にプロの掃除業者を頼ませるというのが法律で禁じられています。もし、契約書に退去時はプロの業者を頼まなければいけないと記載されていたら、それは法理を違反になりますので、すぐに不動産会社にいって訂正してもらいましょう。貸主のなかには、この法律を知らないひとが多く、特に日本人が相手だと掃除業者を貸主が頼んで、借主に支払わせようとするひともいるので気をつけましょう。 他にも、まだまだたくさん注意点はありますが、今回はこのぐらいにとどめておきます。もし、個人的に質問等がありましたらお気軽にお問合せフォームにてご相談ください。
賃貸物件でセキュリティデポジットを失わないための5つ対策
セキュリティデポジットとは? イギリスでは敷金のことを「セキュリティデポジット」とよび5週間分の家賃となります。入居中セキュリティデポジットは政府の指定した会社に預けられる決まりになっています。セキュリティデポジットは退去時に物件に何の問題もなければ全額かえってきます。ただし、テナント(賃借人)の過失で物件に損傷等があった場合は家主から修繕費を請求されます。 家主は必ず何かしらの請求をしてくる イギリスではほとんどの家主が退去時に修繕費を請求してきます。なかには電気の球切れ、そうじのし忘れなど。電気の球ぐらい、そうじ代ぐらいとバカにはできません。家主はいちばん高い見積もりの額を請求してきます。請求金額について高いと文句をいってもあとの祭りで言われた金額を支払うしかありません。 不動産のプロが教えるセキュリティデポジットを失わないための5つの対策 入居時のインベントリーチェックレポートを細かくチェック 入居中におきた問題はかならず家主に報告 かべに絵をかけたあとは修復する 退去前にプロのそうじ屋さんを使う 不正な請求があったら納得するまでたたかう 1つずつ説明していきます。 入居時のインベントリーチェックレポートを細かくチェック 入居時にはイベントリーチェックインといって第三者が立ち合いのもと物件の状態をチェックする作業があります。退去時にはインベントリーチェックアウトというものが行われます。家主は入居時に記録されたレポートと退去時の状態を比較して損傷があるかないかを判断するのです。インベントリーレポートにのっていない損傷があったら入居後7日以内に不動産会社、インベントリーの会社に写真を添付してメールで知らせておきましょう。 入居中におきた問題はかならず家主に報告 これが退去時にもめるいちばんの理由です。どんな小さな問題でも入居中に気づいたことは家主に報告するようにしましょう。問題がおきていたのに家主が知らなかった場合は損傷を最小限でおさえられていたものを放置したテナントの過失とみられます。報告しておけば家主は知らなかったと言い逃れができなくなります。 かべに絵をかけたあとは修復する 壁に写真や絵をかけるためのクギやフックによる損傷は請求の対象になります。まず、壁に写真や絵をかざりたいと思ったら家主に許可をとる必要があります。ほとんどの家主は許可をくれますが、壁の補修費は請求しないとはいいません。写真や絵をかけてもいいという許可は壁の損傷をあたえてもいいということでないからです。退去時に壁にあいた穴を閉じてそのあとペンキをぬってもとの状態に戻しておきましょう。 退去前にプロのそうじ屋さんを使う 退去前にプロのクリーニング屋さんを使ってそうじすることが基本です。入居時に物件がそんなにきれいじゃなかったという人もなかにはいるかと思います。その場合はインベントリーレポートにプロフェッショナルクリーニングされていたという記述がないかどうか確認してください。ないようであれば退去前にプロのそうじ屋さんを使う必要はありません。 不正な請求があったら納得するまでたたかう もしまったく身に覚えのないことで家主が修繕費を請求してきた場合はぜったいに認めてはいけません。たとえば… もともとなかった備品に対しての買い替え費用 ボロボロの古い家具の損傷 最初からこわれていたものの修繕費 などです。とにかく自分はこわしていないし失くしてもいないということであれば徹底的にたたかいましょう。また、家具や備品にかんしては5年以上たつと価値がなくなるといわれています。ただ、イギリスには骨とう品のような家具が使われている物件も多くそういった家具の場合多額の修繕費を請求されることになりますので注意してください。 以上の5つの対策をしっかりしてセキュリティデポジットをとられないようにしましょう。