新浪剛史氏とCBDをめぐる誤解 ― アメリカと日本での規制状況

サントリーホールディングス元会長の新浪剛史氏が、CBD(カンナビジオール)に関連する発言を行ったことが一部で話題となっています。その中で「アメリカでは合法」との表現が取り上げられましたが、CBDをめぐる規制は単純に「合法/違法」と切り分けられるものではなく、より複雑な状況があります。

アメリカにおけるCBDの位置づけ

確かに、アメリカでは2018年の「農業改善法(いわゆるファームビル)」によって、ヘンプ由来のCBDそのものは連邦レベルで規制対象から外されました。しかし、食品やサプリメントにCBDを添加することについては、米国食品医薬品局(FDA)が厳格な姿勢を取っており、現時点でも「医薬品成分として承認されたCBDを食品やサプリメントに加えることは認められていない」と明確にしています。

一方で、州ごとに解釈や規制が異なるため、州内の法律に基づいてCBD製品が販売されているケースも存在します。そのため、消費者から見れば「店頭で自由に買える=合法」と受け止められやすい状況となっています。

日本での取り扱い

日本においては、大麻取締法に基づき、CBD製品は「成熟した茎や種子から抽出されたもの」であれば輸入や使用が認められています。ただし、製品にTHC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれていれば違法となるため、輸入時には厳格なチェックが行われます。

誤解を生みやすい背景

このように、アメリカでも日本でもCBDをめぐるルールは「完全に自由」でも「全面的に禁止」でもなく、細かい条件や解釈に依存しています。発言の中で「合法」と表現されたとしても、必ずしも「規制が一切ない」という意味ではなく、一般消費者の実感や販売実態を指していた可能性も考えられます。

まとめ

CBDに関しては、国ごと・州ごとにルールが異なるため、一部の発言だけを切り取ると誤解を招きやすいのが現状です。新浪氏の意図や背景は本人の説明を待つ必要がありますが、少なくとも現時点で「法を犯している」と断定できる事実は確認されていません。むしろ、この出来事をきっかけに、CBDをめぐる規制や安全性について社会的な理解を深めることが重要といえるでしょう。

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