
イギリスといえば、歴史的には「帽子の国」といっても過言ではありません。シルクハットやハンチング帽(イギリスでは“フラットキャップ”と呼ばれる)が紳士の象徴だった時代もありました。しかし、現代のイギリスの街を歩いてみると、意外なほど帽子をかぶっている人を見かけません。特に男性で髪が薄い人は多いのに、帽子を愛用する姿はあまり一般的ではないようです。
キャップ文化はアメリカ頼み?
帽子をかぶっている人を見かけても、その多くはベースボールキャップ。しかも、ニューヨーク・ヤンキースのロゴ入りキャップなど、アメリカ文化由来のものが目立ちます。イギリス独自のおしゃれなキャップやストリート系の帽子は、店頭であまり豊富に見かけないのも不思議な点です。
フラットキャップはどこへ?
イギリスらしい帽子といえば、やはりフラットキャップ。かつては労働者から紳士層まで幅広く親しまれ、映画やドラマでも「典型的な英国スタイル」として描かれることが多いアイテムです。しかし、現代の街角ではほとんど見かけません。むしろ観光客が「英国風ファッション」として購入しているケースの方が多いかもしれません。
シルクハットは仮装用
さらに、英国紳士の象徴であるシルクハットも、今ではほぼ姿を消しました。実際に見かけるのはコスプレパーティーや特別な仮装イベントくらいで、日常的に身につける人はまずいません。時代の移り変わりとともに、象徴的な帽子文化も生活の場から退いてしまったといえます。
冬の定番はニット帽、でもおしゃれ度は控えめ
ただし冬になると話は別。寒さが厳しいイギリスでは、ニット帽をかぶる人がぐっと増えます。とはいえ「防寒重視」で選ばれていることが多く、ファッションとして洗練されたニット帽に出会う機会はあまりありません。シンプルで無難なものが主流で、個性を出すアイテムとしての位置づけは弱い印象です。
まとめ
かつては帽子文化を誇ったイギリスですが、現代では帽子は「おしゃれの定番」から外れ、実用性やアメリカ発のストリートカルチャーに影響を受ける形に変わってきました。フラットキャップやシルクハットのような伝統的な帽子は、むしろイギリス人より観光客や海外のファッション愛好家の方が注目しているかもしれません。
「髪が薄い人が多いのになぜ帽子をかぶらないのか?」という素朴な疑問は、イギリスの帽子事情を映し出す興味深い問いかけなのです。
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