
日本人は謙遜の文化に育てられた民族である。幼い頃から「自分を誇らない」「他人を立てる」「空気を読む」ことを大切にしてきた。それは時として日本人を美しく見せ、社会を円滑にする力になる一方で、必要以上に自分たちを卑下したり、外国人に対して根拠のない「劣等感」を抱かせる原因にもなっている。
特に欧米、なかでも「イギリス人」に対して一種の「上から目線」を感じたことがある人は少なくないのではないだろうか。洗練された英語、格式ある教育、長い歴史と伝統、堂々とした自己主張……。しかし、はっきり言っておきたいことがある。それは「イギリス人は日本人より優れているわけではない」という事実である。むしろ多くの面において、日本人の持つ精神性や文化的素養の方が、はるかに成熟していると言ってよい。
以下、日本人として胸を張るために知っておいてほしい事実や視点を、いくつかの観点から掘り下げてみよう。
1. 礼儀と公共心:日本のほうがはるかに上
イギリスは「マナーの国」として知られることが多い。「Please」「Thank you」といった表現を日常的に使い、列に並ぶ文化もある。だが、それは表面的な話にすぎない。
ロンドンの地下鉄や駅構内では、ごみが散らかり、電車の中で大声でしゃべる人も多い。サッカーの観戦では暴徒化するファンも珍しくない。酔っ払いが道端で暴れる姿も頻繁に見られる。皮肉交じりに「イギリス人は感情のコントロールが下手」とまで言われることすらある。
一方、日本では電車の中で静かに過ごすのが一般的であり、公共の場での礼儀や配慮は世界でもトップクラスだ。災害時でも秩序を守り、他者を思いやる姿勢は、世界中の人々に感動を与えている。これが本当の「マナー」ではないだろうか?
2. 教育の深さと勤勉性
イギリスには名門オックスフォード大学やケンブリッジ大学がある。これは確かに世界的に評価の高い教育機関だ。しかし、それが即ち「イギリス人全体が知的で優れている」ことを意味するわけではない。
むしろ、イギリスの若者の読解力・数学力は国際的に見て決して高くはない。OECDの学力比較調査(PISA)などでも、日本の中高生の方がはるかに高いスコアを出している。日本の教育制度は厳しくもあり、基礎学力を全国的に底上げする仕組みが整っている。
また、日本人の勤勉性は世界に類を見ない。規律正しい集団行動、几帳面な計画性、そして粘り強さは、どれもイギリス社会ではあまり見られない美点である。
3. 異文化理解と寛容性
イギリスには多文化主義があるとよく言われる。確かに移民が多く、様々な民族が暮らしている。だが、だからといってイギリス人が異文化に対して「本質的な理解と敬意」を持っているかというと、必ずしもそうではない。
むしろ、アジア人に対する無知や偏見も根強く、未だに「黄色人種は英語ができない」とか「忍者やアニメが好きなんだろう?」といったステレオタイプが残っている。近年も、アジア系住民への差別的な言動や暴力事件が報じられている。
日本人は一見すると内向的に見えるが、外国人に対しては敬意を持って接する文化がある。相手の国や背景を尊重する精神は、イギリス人以上に深いところに根ざしている。
4. 歴史と文化の誇り
イギリスは長い歴史を持つ国であり、産業革命や大英帝国の時代を経て「世界の中心」だった時期もあった。しかし、彼らの歴史には植民地支配や搾取といった暗い側面も多い。
一方、日本はアジアにおいて独立を維持し、自らの文化を守ってきた稀有な国である。四季を愛でる感性、和歌や俳句に見られる繊細な美意識、能や茶道といった精神性に根ざした芸術……。これらはすべて、日本独自の文化遺産であり、世界に誇るべきものである。
さらに、日本は敗戦からわずか数十年で経済大国に返り咲き、先進国としての地位を築いた。その復興力と持続的な努力は、イギリスには真似できない部分である。
5. 自信を持て、日本人よ
ここで一番伝えたいことは、「日本人はもっと自信を持っていい」という点である。
英語が話せないからといって、英語圏の人間を無条件に上に見てはいけない。堂々と自分の言葉で話し、自分の文化を大切にし、他者と対等に関係を築くことは可能だ。
イギリス人が日本人より優れていると思い込むことは、単なる幻想に過ぎない。むしろ多くのイギリス人は、日本人の礼儀正しさ、教養、粘り強さ、そして真面目さに驚き、敬意を抱いていることすらある。
まとめ
イギリス人が日本人より優れているという考えは、実際には根拠に乏しく、むしろ日本人の美点は多くの点で世界に類を見ない価値を持っている。語学力や自己主張の強さといった表面的な違いに惑わされるのではなく、文化的な奥行きや精神性の豊かさを誇りに思おう。
大谷翔平ではないが、日本人として声を大にして言いたい。
「イギリス人は日本人より優れていない」
そして何より——
「日本人は、日本人として十分に素晴らしい」
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