英国政府はなぜ障がい者支援を縮小するのか?

英国の障がい者給付削減をテーマにしたイラスト。車椅子の男性が給付削減通知を持ち、中央に疑問符とポンド紙幣、背景に英国議会とDWP庁舎、移民問題との関連性を問いかける構図。

移民問題との関係はあるのか


1. 何が起きているのか

イギリスでは、Universal Credit のうち、
健康上の理由で働けないと認定された人に支給される「Health Element(旧LCWRA)」の見直しが進められています。

2026年以降の新規申請者については、追加支給額が大幅に減る方針が示されています。

ただし:

  • すべての障がい者給付が廃止されるわけではない
  • 既存受給者は原則維持予定
  • 基本支給額はむしろ微増方向

という複雑な改定です。


2. 政府の公式説明

英国政府が挙げている主な理由は:

  • 就労可能な人を労働市場に戻したい
  • 給付支出の急増を抑えたい
  • 長期的な財政赤字への対処

ここ数年、障がい関連給付の申請者数は大きく増加しており、特に精神的健康問題による認定が急増しています。


3. 「移民が原因」という主張は事実か?

SNSや一部メディアでは、

「中東からの移民が障がい者を装って給付を受けているから削減された」

という主張が出回っています。

しかし現時点で:

  • 政府は「特定地域の移民による不正受給」を削減理由として公式に発表していない
  • 統計上、障がい給付受給者の大多数は英国籍または長期居住者
  • 不正受給率は制度全体の中では限定的とされている

つまり、移民不正が主因と断定する根拠は確認されていません。


4. ではなぜ「移民説」が広がるのか

背景には:

  • 難民・移民受け入れ増加への国民的不安
  • 住宅不足や生活費高騰
  • 医療・福祉への財政圧迫感

といった社会的ストレスがあります。

経済的な不安が高まると、
「外から来た人が制度を利用している」という説明が広まりやすい傾向があります。


5. 実際の構造的問題

専門家が指摘しているのはむしろ:

  • コロナ後の精神疾患増加
  • 労働市場の変化
  • 医療待機期間の長期化
  • 生活費高騰による健康悪化

など、国内要因のほうが大きいという分析です。


6. 結論

✔ 障がい者向けUniversal Creditの一部は縮小される
✔ しかし「中東移民が原因」という公式発表や統計的裏付けはない
✔ 政府は財政と就労促進を主な理由としている

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