― 高学歴・高収入・階級・プライベートスクールのリアル
イギリスは歴史的に「階級社会」として語られることが多い国です。では現代イギリスは、日本のような“学歴社会”なのか?そして学歴と収入、階級制度、名門プライベートスクール(私立校)との関係はどうなっているのか――。本記事では、最新の傾向を踏まえて分かりやすく解説します。
■ イギリスは学歴社会なのか?
結論から言えば、イギリスには学歴主義の側面が強く存在するものの、日本や韓国ほど“学歴一本槍”ではありません。なぜなら社会的地位や収入を決める要素として、
- 家庭の階級(親の職業・教育歴)
- 通った学校の種類(公立か、プライベートか)
- 大学名(特にオックスフォード/ケンブリッジ)
- ネットワーク(人脈)
が複雑に絡み合っているためです。
● 大卒は依然として有利だが、職種により差が大きい
大学教育は多くの職業で必要とされる一方、手に職を付ける見習い制度(Apprenticeship)が再評価されており、必ずしも学位が必須とは限りません。
ただし、法曹・金融(特にシティ)・コンサル・メディアなどは名門大学卒が圧倒的に有利で、採用段階から明確にフィルターが存在します。
■ 高学歴は間違いなく高収入なのか?
“高学歴=高収入”という構図は一定程度成り立つが、例外も多いというのが実情です。
● 大学名による収入格差が顕著
イギリスでは大学間の序列意識が強く、卒業後の年収に直接影響します。
特に
- オックスフォード大学(Oxford)
- ケンブリッジ大学(Cambridge)
- ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)
は「高収入ルート」につながりやすい代表格です。
これらの大学卒は、大企業・金融・法律事務所などの初任給が高く、“高学歴は高収入”が比較的明確に表れます。
● 一方で学費高騰により、リターンが必ずしも保証されない
大学の授業料は年間9,250ポンド(約180万円)と高額化しており、専門によっては収入に結び付かず、学生ローンだけが残るケースも増えています。
文系やアート系は初任給が低く、必ずしも高学歴=高収入にはなりません。
■ 階級制度はまだ残っているのか?
**イギリスは今も“階級意識の強い社会”**であると言われます。
階級は以下の要素で決まる傾向があります。
- 親の学歴・職業
- 通った学校(特に私立の有無)
- 住む地域・アクセント
- 大学名
- 文化的嗜好(スポーツ、音楽、娯楽)
これらは表向きには採用に影響してはいけないものですが、実際には無視できない現実があります。
● アクセントで階級が分かる
面接や研修の場でも、話し方やアクセントで社会階級を判断されがちで、地方アクセントを気にして「RP(容認発音)」に矯正する学生もいます。
■ プライベートスクールに行けば高収入が保証されるのか?
結論:プライベートスクールは有利だが、「高収入が保証される」わけではない。
● しかしプライベートスクール出身者は圧倒的に有利
イギリスのプライベートスクールは、
- イートン校
- ハロウ校
- ウィンチェスター校
などが有名で、授業料は年間4万〜5万ポンド(800万〜1000万円)と非常に高額です。
卒業生の進路は、
- オックスフォード/ケンブリッジ進学率が高い
- 政治・法律・金融などエリート分野での占有率が高い
- エリート層のネットワークに入れる
という強力なメリットがあります。
実際に上位職の3〜4割を私立校出身者が占めるという調査もあり、社会的成功との関連は明確です。
● ただし「保証」はない
プライベートスクール出身でも、
- 専門・専攻が収入につながらない
- 大学進学でミスマッチが起きる
- 競争に敗れる
などのケースは当然あります。
“成功の確率を上げる”ものであり、万能ではありません。
■ 結論:イギリスは学歴だけで測れない「階級×学歴」の国
イギリスでは、
- 学歴(特に大学名)
- 通った学校
- 家庭の階級
- 人脈・文化資本
がすべて収入やキャリアに影響するため、純粋な学歴社会とも言えず、階級社会とも言えず、その両方が絡み合った社会と言えます。
● もっとも成功しやすいルート
イギリスで“高収入”を狙う典型ルートは:
プライベートスクール → オックスブリッジ → 法律・金融・コンサル
これが“黄金ルート”として定着しています。










Comments