― 補修費の負担・洪水保険・被害総額まで ―
イギリスでは「また洪水?」と感じるほど、洪水被害が繰り返し発生しています。それは単なる運の問題ではなく、気候・地形・社会構造が重なった結果です。本記事では、なぜイギリスで洪水が起きやすいのかに加え、浸水後の住宅補修費の負担、洪水保険の仕組み、そして1回の洪水でどれほどの被害が出るのかを解説します。
1. なぜイギリスではすぐ洪水が起きるのか
気候:雨が「多い」のではなく「続く」
イギリスの雨は日本の豪雨ほど激しくない場合が多いものの、弱めの雨が長時間続くという特徴があります。地面が常に湿った状態になり、少し雨量が増えるだけで川や排水が限界に達します。
さらに近年は気候変動の影響で、短時間に強い雨が降るケースも増え、従来の排水能力では対応できなくなっています。
地形:平坦で水が逃げにくい
イギリスは山が少なく、勾配の緩やかな平地が多い国です。水が勢いよく流れ去らず、低地や川沿いにとどまりやすいため、洪水が広範囲に及びやすくなります。
都市構造:古いインフラと都市化
多くの都市では下水・排水設備が古く、現在の雨量を想定して造られていません。
アスファルトやコンクリートに覆われた都市部では雨水が地面に染み込まず、下水が逆流する「都市型洪水(内水氾濫)」が頻発します。
海の影響:高潮と河川氾濫の複合
沿岸部では、嵐による高潮で海水が押し上げられ、川の水が海へ流れにくくなることで河川氾濫が同時発生することもあります。
2. 浸水した家の補修工事費は誰が負担する?
結論から言うと、基本は家の持ち主(家主)負担です。
家主が負担するもの
- 壁・床・天井の修理
- 電気配線・配電盤の交換
- キッチンやバスルーム設備
- カーペットや内装材の交換
保険に加入していなければ、数万〜数十万ポンド規模の修理費を自己負担するケースも珍しくありません。
借家の場合
賃貸住宅では、
- 建物部分:家主負担
- 家具・家財:借主負担(家財保険が必要)
という分担が一般的です。
3. イギリスに洪水保険はあるのか?
結論:ある。ただし仕組みは少し複雑
イギリスでは、日本のような単独の「水災保険」はあまり一般的ではなく、住宅保険の一部として洪水被害がカバーされます。
一般的な住宅保険
- 建物保険(Buildings Insurance)
- 家財保険(Contents Insurance)
この2つに洪水被害が含まれていることが多いですが、地域の洪水リスクが高いほど保険料は高額になります。
高リスク地域向け制度:Flood Re
洪水リスクが高すぎて保険に入りにくい住宅のために、政府と保険業界が共同で作った仕組みです。
特徴:
- 高リスク地域でも保険加入を可能にする
- 主に2009年以前に建てられた住宅が対象
- 保険料の急騰を抑える役割
ただし、新築住宅や一部の物件は対象外になります。
4. 一度の洪水での被害総額はどれくらい?
洪水1回あたりの被害規模は地域と規模によって異なりますが、イギリスでは国家レベルで見ても非常に大きな損失になります。
全国規模の被害
- 大きな洪水が発生すると、数億〜10億ポンド規模の経済損失が発生
- 住宅被害だけでなく、道路・鉄道・電力・農業・商業活動の停止を含む
家1軒あたりの目安
- 軽度の浸水:数万ポンド
- 深刻な浸水:10万ポンド以上
これが数千〜数万戸規模で発生すると、被害総額が一気に跳ね上がります。
5. まとめ
- イギリスは
雨が続きやすい気候+平坦な地形+古い都市インフラにより洪水が起きやすい - 浸水後の補修費は原則として家主負担
- 洪水保険は住宅保険に含まれ、高リスク地域向けにFlood Re制度が存在
- 一度の洪水での被害総額は数億〜十数億ポンド規模に達することもある










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