インフルエンサーは消えるのか
イギリス政府が、16歳未満のSNS(ソーシャルメディア)利用を禁止する法制化の検討を本格化させている。子どものメンタルヘルス悪化やSNS依存、有害コンテンツへの接触リスクが社会問題化する中、より強力な年齢規制を導入するべきだとの声が高まっている。
現行制度の枠組みを強化する形で、SNS事業者に対して厳格な年齢確認の義務付けや未成年アカウントの削除義務を課す案などが議論されている。正式決定には至っていないものの、政府主導で具体的な法整備に向けた検討が進められている状況だ。
子ども保護の狙いと規制強化の背景
規制強化の背景には、若年層のSNS長時間利用による心理的影響や、過激なコンテンツへの露出がある。アルゴリズムによる刺激的コンテンツの拡散、過度な比較文化、ネットいじめなどが若年層の不安や抑うつに関係していると指摘されてきた。
支持派は「未成年を守るためにはアクセスそのものを制限するしかない」と主張する。一方で反対派からは「完全禁止は地下化を招く」「家族や友人とのコミュニケーション手段を奪う」といった懸念も出ている。
それでも、子どもを優先的に守るという政治的メッセージは強く、法制化の可能性は現実味を帯びている。
大人のSNS利用も激減するのか
仮に16歳未満の利用が禁止された場合、SNSの利用構造は大きく変化する。
若年層はSNSのアクティブユーザーの中でも影響力が大きい層であり、トレンド形成や拡散力の源泉となっている。そこが一斉にいなくなれば、投稿数や閲覧数、エンゲージメントは確実に減少する可能性が高い。
さらに、年齢確認の厳格化やアルゴリズム調整により、大人ユーザーにも間接的な影響が及ぶ可能性がある。
例えば、
- アカウント作成やログイン手続きの煩雑化
- プラットフォーム全体の利用体験の変化
- 広告配信モデルの変更
こうした変化が積み重なれば、「なんとなくSNSを開く」ユーザーが減少し、大人の利用時間も縮小する可能性は否定できない。
インフルエンサーは消えるのか
では、インフルエンサーは消えるのだろうか。
結論から言えば、大規模な再編は起こり得るが、完全消滅は考えにくい。
ただし、若年層を主要ターゲットとしてきたインフルエンサーにとっては打撃となる可能性が高い。フォロワー数の減少、広告単価の下落、ブランド戦略の見直しなど、ビジネスモデルに影響が及ぶことは避けられないだろう。
一方で、
- 大人向け専門特化型コンテンツ
- クローズド型コミュニティ
- サブスクリプション型モデル
などへの移行が進む可能性もある。影響力のあり方が変わるだけで、「影響力そのもの」が消えるわけではない。
しかし、若年層が担ってきた拡散文化が弱まれば、バズ中心のインフルエンサー経済は縮小方向へ向かう可能性がある。SNS市場はより落ち着いた、大人中心の構造へと変質するかもしれない。
SNSの時代は転換点に立っている
16歳未満の利用禁止は、単なる子ども保護政策にとどまらない。
それはSNSのビジネスモデル、広告市場、インフルエンサー経済、さらにはネット文化そのものを揺るがす可能性を持っている。
もし法制化が実現すれば、SNSは「誰でも自由に参加できる巨大広場」から、より制限された管理型空間へと変わる可能性がある。
インフルエンサーが消えるかどうか――
それは規制の内容次第だが、少なくとも現在の形のまま存続するとは限らない。
SNSの次の時代が、いままさに模索されている。










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