近年、景気の停滞や生活費の高騰が続くイギリスで、「10代でギャングに入り犯罪を犯す子どもが増えているのではないか」という懸念が高まっています。結論から言えば、単純に“景気悪化=ギャング急増”と断定はできないものの、経済的困難と若者犯罪の深刻化には関連があるとする研究や報告は多く存在します。
景気悪化と若者を取り巻く環境
イギリスでは2008年の金融危機以降、緊縮財政(いわゆるアウステリティ)が長く続きました。その影響で、自治体の予算削減が進み、若者支援サービスや地域のユースクラブが大幅に減少しました。
たとえば Institute for Fiscal Studies の分析では、若者向け施設の削減と10代の犯罪率の上昇に相関が見られる地域があることが指摘されています。
若者が安全に過ごせる「居場所」や支援体制が縮小したことは、社会的に脆弱な子どもたちにとって大きな影響を及ぼしました。
同時に、物価上昇やエネルギー価格の高騰による家計圧迫も深刻です。低所得層の家庭では生活が不安定になり、子どもが精神的・経済的に追い込まれやすい状況が生まれています。
ナイフ犯罪と若年層の関与
特に問題視されているのがナイフ犯罪です。イングランドとウェールズでは、過去10年でナイフを使った犯罪が大幅に増加し、若年層の被害者・加害者双方が含まれています。
Reuters などの報道でも、若者の暴力犯罪の増加が社会問題として扱われています。これは必ずしも全てが「ギャング加入」を意味するわけではありませんが、若者同士の対立や犯罪グループとの接点が増えていることは事実とされています。
「カウンティライン」と若者の搾取
イギリスで特徴的なのが「カウンティライン」と呼ばれる麻薬供給ネットワークです。これは都市部の犯罪組織が地方へドラッグを流通させる仕組みで、10代の若者が運び屋として利用されるケースが報告されています。
County lines drug trafficking では、若者が脅迫や心理的操作によって関与させられることもあり、単なる「不良グループへの加入」ではなく、犯罪組織による搾取の側面も強いと指摘されています。
なぜ若者は巻き込まれるのか
専門家は、若者がギャングや犯罪に関わる背景として次の要因を挙げています。
- 経済的困窮と家庭の不安定化
- 教育現場での孤立や排除
- 地域コミュニティの弱体化
- 若者支援サービスの削減
- 「簡単に稼げる」という誘惑や仲間意識
景気悪化そのものが直接的な原因というよりも、経済的圧力と社会的支援の縮小が重なった結果、リスクが高まっていると見るのが妥当でしょう。
「増えている」と言えるのか
重要なのは、「すべての若者がギャングに入っている」わけではないという点です。ギャング構成員の正確な人数を示す統計は限定的ですが、若年層が関わる暴力犯罪や武器犯罪が高止まりしていることは確認されています。
つまり、
- 景気が悪化
- 社会的支援が縮小
- 若者の居場所や機会が減少
- 一部が犯罪組織や暴力に接近
という流れは、データや研究と整合的です。ただしそれは「英国全体で爆発的にギャングが急増した」という単純な図式ではありません。
まとめ
現在のイギリスでは、景気低迷や生活費危機の影響下で、10代の若者が犯罪やギャング活動に巻き込まれるリスクは高まっていると考えられます。
しかし、それは単なるモラルの低下ではなく、経済・社会構造の問題と深く結びついています。
若者犯罪の増減を語る際には、
「景気悪化」という一要因だけでなく、
- 地域支援の再建
- 教育・福祉政策の充実
- 若者の安全な居場所の確保
といった包括的な対策が必要とされているのが現状です。










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