GLP-1系治療薬は本当に安全なのか
イギリスで急速に広がる痩せる薬ブーム
近年、イギリスでは「痩せる薬」と呼ばれる医療用の体重減少薬が急速に普及している。特に注目されているのが、GLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの注射薬だ。
これらは本来、2型糖尿病の治療薬として開発されたが、強い食欲抑制作用と体重減少効果が確認され、肥満治療にも使用されるようになった。
イギリスでは肥満が深刻な社会問題となっており、成人の約6割が過体重または肥満とされる。こうした背景から、医療現場だけでなく民間クリニックやオンライン診療でも、痩せる薬の処方が拡大している。
主に使われている薬の種類
現在イギリスで広く知られているのは、以下の薬だ。
- Wegovy(有効成分:セマグルチド)
- Mounjaro(有効成分:ティルゼパチド)
- Saxenda(有効成分:リラグルチド)
これらはすべて自己注射型の処方薬であり、医師の管理下で段階的に用量を増やして使用する。
痩せる薬の効果:どれほど体重は減るのか
GLP-1系薬剤は、脳に働きかけて食欲を抑え、満腹感を持続させる作用がある。また胃の内容物の排出を遅らせることで、自然に食事量が減る仕組みだ。
臨床試験や実臨床で報告されている効果は以下の通り。
- 体重の10〜20%前後の減少が期待される
- 半年〜1年以上の継続使用で効果が安定しやすい
- 血糖値、血圧、脂質異常の改善が見られる場合もある
一方で、薬の使用を中止すると食欲が戻り、体重が再増加するケースが多いことも指摘されている。そのため、長期的な生活習慣改善と併用することが前提とされている。
安全性と副作用:知っておくべきリスク
比較的多い副作用
使用初期に多く報告されるのは消化器系の症状だ。
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢、便秘
- 胃の不快感
多くの場合、用量をゆっくり増やすことで軽減されるが、症状が強い場合は中止が必要となる。
注意すべき重篤なリスク
イギリスの医薬品監督機関は、以下の点について注意喚起を行っている。
- 急性膵炎:非常にまれだが、激しい腹痛を伴うケースが報告されている
- 妊娠中の使用禁止:胎児への安全性が確立していない
- 摂食障害の悪化リスク:過度な食事制限につながる恐れ
また、正規ルート以外で購入した薬には、偽造品や用量不明の危険な製剤が含まれる可能性があり、深刻な健康被害につながる恐れがある。
NHSと民間医療のギャップ
イギリスの国民保健サービス(NHS)では、痩せる薬の処方対象は重度肥満などに限定されている。そのため、
- 民間クリニック
- オンライン診療
- 個人輸入
を利用する人が急増している。
専門家は「医師の継続的なフォローなしに使用することはリスクが高い」と警鐘を鳴らしている。
まとめ:魔法の薬ではないが、有力な選択肢
イギリスで普及する痩せる薬は、医学的に効果が確認された治療法である一方、万能ではない。
✔ 高い体重減少効果
✔ 生活習慣病の改善が期待できる
✖ 副作用や長期使用の課題
✖ 医療管理なしの使用は危険
痩せる薬は「楽に痩せるための近道」ではなく、医療と生活改善を組み合わせた治療手段の一つである。正しい知識と慎重な判断が、これまで以上に求められている。










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