働けば働くほど貧しくなる国:英国インフレという成功した搾取システム

富裕層が椅子に座って酒を飲む一方で、庶民が重い荷物を背負って働いている皮肉なイラスト。格差社会とインフレを象徴的に表現している。

英国の物価上昇はどこまで続くのか

イギリスでは、富裕層が計画的に引き起こしたとされるインフレが庶民を苦しめ続けている。しかし、このインフレが沈静化する気配はまったく見られない。そもそも物価が下がる要因が、現在のイギリスにはどこにも存在していないのである。

高止まりする公定歩合と変化した生活環境

イギリスの公定歩合は現在 5.25% と、依然として高止まりしている水準にある。お年寄りの中には「5.25%なんてまだ安い、昔は10%以上だった」と言う人もいるが、彼らが指しているのは1990年頃の話だ。

だが、1990年当時は物価も低く、ロンドンの不動産価格も現在とは比較にならないほど安かった。一般的な3ベッドルームの戸建住宅は 8万~15万ポンド 程度で購入できた。しかし現在では 60万~80万ポンド と、ほぼ10倍に跳ね上がっている。

また、平均賃金は1990年頃が 13万~15万ポンド、現在は 35万~36万ポンド と、約2.5倍にしか増えていない。物価の上昇率に賃金がまったく追いついていないのである。

庶民の生活を圧迫する現実

一般家庭の年間食費は1990年頃が 約1800ポンド、現在は 3600~4000ポンド と約2倍に増加している。これにより、多くの人々にとって マイホームの購入は極めて困難 になり、食費を支払うのがやっとという生活が続いている。

それにもかかわらず、インフレは止まらない。庶民の生活はますます苦しくなっている。

富裕層の力と視野の狭さ

インフレに歯止めがかからない原因は、イギリスでは依然として富裕層が絶大な力を持っているためである。富裕層が困っていない限り、国家は「大丈夫」だと判断されてしまう。

イギリス人も日本人と同様、視野が狭い傾向があり、必死に働きながらも毎月のクレジットカードの支払いに追われている。しかし、もし庶民が一斉に仕事を辞めてしまえば、富裕層はたちまち立ち行かなくなるという事実に気づいていない。

抗議活動の矛先はどこに向けるべきか

イギリス人は週末にプラカードを掲げて抗議活動を行うことが多いが、その矛先は完全に間違っている。本来抗議すべき相手は、何もせず朝から高級ブランデーを飲んでいるような富裕層である。

彼らが作り上げた「庶民が馬車馬のように働き、税金を納め、富裕層が資産を増やし続ける」という仕組みについて、そろそろ理解すべき時期に来ている。

インフレが止まらない理由

結論から言うと、国民が働けば働くほどインフレが続く という新たなシステムを、既に富裕層が構築してしまったということである。

イギリスには「お金は大事じゃない」と言う富裕層が多い。しかし、それは彼らが一度もお金に困ったことがないからであり、庶民はどれだけ働いてもお金が手元に残らない構造になっている。

さらに、イギリスでも日本でも共通していることだが、 本当の金持ちはとにかくケチ で、人に奢ることをほとんどしない。たまに奢ってくれる人がいる場合、その人は本当の富裕層ではなく、ただの下心で行っているに過ぎない。

終わりに:インフレが終わる条件とは

話を戻すと、「イギリスのインフレはいつ終わるのか?」という問いに対しての答えは明確だ。

富裕層が資産を増やし続けている限り、インフレは止まらない。

そして、あなたに今できることはただ一つである。

──仕事をやめて、何もしないこと。

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