アジア系のひとたちへの攻撃はいまでもあるのか?

ひと昔前、イギリスといえばアジア人が歩いていると「Yellow monkey」などと呼ばれ石をぶつけられたりした時代もありました。
今はそんなバカなことをするイギリス人はさすがにいなくなったのではと思いきや、残念ながらいまでもいます。(昔よりは少なくなりましたが)
おそらく根がレイシストなのでそんな簡単には変わらないのでしょう。
その結果として「EU離脱」が起こったといっても過言ではありません。
どういうことか説明します。
イギリスの極右政党のUK Independence Partyが田舎に住むイギリス人労働者に生活が苦しいのは東ヨーロッパからきているひとたちに仕事を奪われているからだと東ヨーロッパ人を悪者に仕立て上げたのです。
まともな教育を受けていない労働者たちは、これを信じ、多くの地方労働者はEU離脱に投票したのです。
けしかけた政治家も悪いとは思いますが、もともとイギリス人の心のなかには東ヨーロッパ人に対して強い嫌悪感はあったのです。

「ヘイト・クライム」とは?

ヘイト・クライムとは英語でHate Crimeと書かれるように、嫌いな人に対しての暴言や暴力行為のことです。
ただ嫌いだから暴力をふるったのでは傷害罪となりますが、ヘイト・クライムは暴力をふるった理由が下記のようなものの場合をさします。

  • 黒人だからとか、アジア人だからとかなどの人種のちがい
  • 彼女は女性だから、彼はゲイだからなど性別のちがい
  • 傷害者に対して
  • 宗教の信者に対して

新型コロナウィルスがらみのヘイト・クライム

オックスフォードストリートを歩いていたシンガポール人学生のジョナサン・モクさん(23歳)は突然イギリス人少年4人組に「I don’t want your coronavirus in my country. (コロナウィルスを持ち込むな!)」などと言われ顔を殴られるなどの暴行を受けました。
これはイギリス国内でコロナウィルス感染拡大がはじまったばかりの1年前におきた事件です。
1年前にイギリス国内でそんなに騒がれかといいますと、BBCやSky Newsなどの全国放送のニュースでとりあげられたのが1日だけで、それも1日中ではなく、夕方のニュースで一瞬とりあげられただけと記憶しています。
イギリス人からすれば外国からきた学生が観光地で殴られたというだけのよくある話ですが、アジア人である私たちにとってはとてもショッキングなニュースだったのを覚えています。

ヘイト・クライムの増加率

イギリス国内のヘイト・クライムはイギリスのEU離脱への国民投票が行われた2016年6月をかわきりに増えはじめました。
2016年、2017年は東ヨーロッパ人に対しての攻撃です。
もちろんこれをきっかけに多くの東ヨーロッパ人がイギリスを立ち去る結果となりました。
そして2020年のコロナパンデミックによりターゲットとされているのは中国をはじめとする東南アジア人です。
ヘイト・クライムは増加傾向となっており、1度目のロックダウンが解除された昨年の7、8月の件数をみてみますと2019年にくらべ62%も増えています。

ロックダウンが解除されてからが危険

ロックダウン中のいまでもヘイト・クライムはおきています。
最近ですと1月末にダービーにある大学病院で働くフィリピン人看護師アルダリオ・ジュニア・バラスコさんが患者に「中国人のクソ野郎!」と暴言をはかれるという事件がありました。
今はまだひとが自由に出歩けない状態なので、ヘイト・クライムはそこまで目立っては発生してはいません。
イギリスのメディアも中国の武漢での調査のニュースを日々放送していて、中国に対する不信感はどんどん強くなっています。
ロックダウンが解除され人々が街やストリートに出てくるようになれば多くのアジア人が攻撃の的にされるものと思われます。

日本人だから大丈夫というのは通用しない

たまに「自分は中国人じゃないから大丈夫だ」ということを言っているひとがいますが、それが通用するのは日本国内にいる場合です。
イギリスに関していいますと、日本人、韓国人、中国人の区別ができるひとはほとんどいません。
それどころか日本を中国の一部だと思っているひともいるぐらいです。
もうすでにチケットを買ってしまったひとはしかたがないですが、海外への移動はコロナパンデミックが完全に終息し、人々がコロナウィルスを忘れてしまったころにすることをおすすめします。

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