イギリスでも陰口をたたく奴はめっちゃ嫌われている説

こんにちは、英国生活6年目のさくらです。今回はちょっと文化比較を交えながら、イギリスにおける「陰口」=“backbiting”や“gossip”事情について語ってみようと思います。


1. そもそも陰口って何?

日本語の「陰口」は、表面上は穏やかに振る舞いながら、他人の悪口をこっそり言う行為。一方、英語では“backbiting”や“gossip”で表されます。イギリスでは「背後で噂話」すること=“talking behind someone’s back”もほぼ同義です。

一般的に「中傷的な噂」や「本人がいないところでの悪口」を指す場合がほとんど。日常会話では女性がランチタイムにおしゃべりする程度の軽い噂話も含まれることがありますが、今回注目したいのはもちろん“陰湿”なタイプの gossip=いわゆるネガティブな噂話です。


2. イギリス社会と陰口文化

2.1 対面を重視する文化

イギリスでは「顔を立てる」(saving face)とはまた違いますが、「品位」や「礼節」は重視されます。特に職場や社交の場では、「オープンで誠実」なコミュニケーションを期待される傾向にあります。そのため、

  • 本人を目の前にして言う(constructive criticism)は許される
  • ただし、陰で他人の悪口を言う(backbiting)のは非常に嫌われる

という傾向が強いです。

2.2 社交のマナー重視

イギリス社会には「社交の距離感」という概念があります。ほどよくフレンドリー、でも秩序と尊重を忘れない。陰口はその秩序と信頼を壊す行為として見られ、無礼で不誠実と見なされがちです。


3. 陰口が好まれない理由

3.1 信頼を失う

陰口を言う人は、「信頼できない」「信用されない」人物とみなされます。イギリス社会でも、信頼は人間関係の基盤。もちろん、一部の娯楽的ゴシップや週刊誌の話などは別ですが、

  • 身近な人物への陰口 → 信頼を大きく損なう

というマイナス効果は共通しています。

3.2 性格的に卑しい印象を与える

人の悪口を陰で言いふらす行為は、「人を落とすことで自分が上になりたい」という卑しさを匂わせます。品格を重んじるとされるイギリスでは、そういった人は一気に“social pariah”化します。


4. 具体場面に見るイギリス人と陰口

4.1 職場

  • チームミーティング中の陰口:避けられ、本当に失敗的な評論や懸念があるなら、堂々と議題で取り上げられる。
  • 休憩室やランチ中の愚痴:親しい人同士ならまだ可。但し、ターゲットの噂が過熱した時点で「あの人、こないだ◯◯やらかしたんでしょ?」といったネガティブ陰口は、「噂で話すな、当人に直接聞けば?」と嗜められることも。

4.2 友人関係

日本と同様、友人間での陰口ってあるわけですが…

  • 許される範囲(軽い愚痴やネタ化)と、許されない範囲(人格攻撃や陰湿なテーマ)がクッキリ分かれます。
  • 許されないと判断された場合、「A君がそんな酷いこと言ってたよ」「わたし、真剣にそれ嫌だ」など“露骨な批判”を浴びせる人もいて、それが集団からの排除・孤立に直結することも。

4.3 SNSでの陰口

ネット時代の今、SNS内の陰口やゴシップもかなり問題に。特に匿名掲示板など“エコーチェンバー”(同調室)では陰口が蔓延しやすく、コメント欄が炎上する例もしばしば。

しかしリアル社会とSNSをつなぐ「バーンブリッジ」(inflamed trust)が狭いイギリスでは、「ネットで言ったことは実社会に持ち込まれる」と認識している人が多くいます。そのため、

  • 匿名であっても誹謗中傷的陰口は、労働法・名誉毀損の観点からリスクが高い
  • 結果として、ある程度「軽いジョーク」で止めるのが賢明、と判断されることが多い

という傾向です。


5. 「陰口嫌い」はメディアにも反映されている?

イギリスのドラマ・映画・小説を見ると、陰口シーンは意外と多く登場しますが、多くの場合、

  • 陰口を言うキャラクターは「脇役」か「悪役」
  • ストーリーの中で批判的な視点で描写されるケースが目立つ

つまりドラマ的スパイスとしての魅力はあっても、称賛される対象ではないというスタンスです。

例:

  • 『ダウントン・アビー』:メイド同士の陰口合戦が描かれるが、最終的には上層階級から「言いたいなら直接話しなさい」とたしなめられる
  • 『ザ・クラウン』:宮廷内での陰口やゴシップが展開されるが、「陰で噂を流す側」より「噂を受けて傷付く側」に感情移入させる作りになっている

こうした演出からも、「陰口=娯楽にするならともかく、現実では好意的に見られない」という価値観がにじみ出ています。


6. 陰口と「ストレートさ」のバランス文化

イギリス人は、皮肉やウィット(ユーモア)には長けていますが、それは「相手も笑って乗れる距離感」が前提です。一方で、ストレートでダイレクトなコミュニケーションも好みます。

つまり、「悪口」を言いたければ本人に直接投げかけろ、という価値観が根付いており、背後で悪口を囁く行為は文化的にも苦手とされるのです。


7. 陰口を避けるための「気遣いフレーズ」

イギリスで過剰な陰口・愚痴にならないために使える表現をご紹介:

  • “I’m not sure this is a good time to say this, but…”
    → 直前に相手の反応を確認するトリガー
  • “No offence, but…”
    → 軽い注意や提案的な意図をやんわり示す
  • “This is just my two cents…”
    → あくまで個人的意見であることを強調

怒りや批判ではなく、「私見です」と柔らかく伝えるラインを意識すれば、陰口にも聞こえにくくなります。


8. 日本との比較:イギリスとの違いは?

8.1 言葉の裏表文化

日本でも陰口は嫌われますが、その許容度や場・内容のボーダーは、文化的にイギリスよりもグレーゾーンが広い印象。たとえば「会社の飲み会で上司の悪口をボソッと…」は、日本ではある程度日常的に起こり得ますが、イギリスでは「そんな場すら害」「上司に直接相談する」とされることが多いです。

8.2 ハラスメントの認識

イギリスでは“bullying”“harassment”への意識が強く、陰口もその一環として扱われやすい。無意識の侮辱でも、悪意が働けば法的・倫理的に問題視されるケースが増えました。一方、日本では陰口自体を法的に規制する流れは現時点では限られています。


9. 海外生活で「陰口に巻き込まれたら」どうする?

海外生活では、陰口のストレスを避けたいなら:

  1. 聞き役に徹する
    → 悪口が始まっても、自分は意見を足さず「ふんふん」と受け流す
  2. 自分の考えを一言添える
    → “I’m not sure that’s helpful” とやんわりと一石投じるスタンス
  3. 話題を変えるor退出する
    → 無駄な熱量を、不快感を溜めずに回避する基本術

イギリス人は直接的な注意を好むので、シンプルに “I’d rather not talk about that” と言えば、意外とすんなり話が収まることが多いです。


10. 結論:「イギリスでも陰口は超嫌われている」は本当か?

✅Yes!

  • 英国社会では「陰口=不誠実」「信頼失墜」「文化的にアウト」と見なされることが多数。
  • 日常的な“軽い愚痴”なら許容範囲でも、対象を落とすネガティブ陰口には厳しい目が向けられます。
  • 職場・社交・SNSすべてにおいて、陰口の影響は信頼関係を壊す要因と捉えられています。

その背景にあるのは、イギリス文化における「誠実さ」「礼節」「ストレートさ」への重視。陰口が望ましくないという価値観は、実際に生活していてもとてもクリアに感じられます。


11. 最後に:陰口を避けて円滑コミュニケーション!

ブログを読んでくれてありがとう!皆さんも、どこの国でも「陰で言われるより、本人に直接言ってほしい」と望んでいる人がほとんどだと思います。特に英国では、そのスタンダードがより明確です。

もし「陰口を言われたかも…?」「逆に言ったかも…?」と迷ったら:

  • 自分自身が陰口についてどう感じているか、素直に見直してみる
  • もし誰かの心を傷つけた可能性があるなら、「ごめん、さっきのこと気になってて」とフォローしてみる

— そんな小さな気遣いが、信頼関係を築く大きな一歩になったりします。

それではまた次回、英国生活やカルチャー、言語など気になるテーマがあれば是非コメントや質問ください。読んでくれて本当にありがとう!😊

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