イギリスでは、物件価格が住宅ローン残高を下回っている物件所有者が約46万3千人いると推計されている。
この数字は、一見すると住宅市場に対する強い警告のようにも映る。
だが、この事実をどう解釈するかで、見える景色は大きく変わる。
ネガティブ・エクイティ=市場崩壊ではない
ネガティブ・エクイティが発生する背景の多くは、構造的な崩壊ではなく局地的・時間的な歪みだ。
- 金利急上昇による取引量の減少
- 高値圏で購入した層のローン残高
- 頭金の少ない購入スキーム
特に影響を受けているのは、直近数年で高いローン比率で購入した層であり、市場全体が無価値になったわけではない。
投資家にとって重要なのは「苦境の分布」
約46万3千人がネガティブ・エクイティにあるという事実は、
投資家の視点ではこう言い換えられる。
「価格交渉に応じざるを得ない売り手が一定数存在している」
これは必ずしも悪材料ではない。
- 価格調整が進む局面
- 短期売却案件の増加
- 利回り基準での再評価
キャピタルゲインを狙う市場ではないが、中長期保有や賃料収入を重視する投資にとっては、検討余地のある環境とも言える。
それでも「投資しない」判断は合理的
一方で、投資を見送る判断も極めて妥当だ。
- 高金利環境が続く可能性
- 不動産価格回復までの時間的不確実性
- 税制・規制変更リスク
そして何より、日本人投資家にとって無視できないのが為替リスクである。
結論:数字よりも「立ち位置」の問題
46万3千人がネガティブ・エクイティにある──
この数字は、危機でもあり、同時に調整局面の象徴でもある。
ただし投資判断は、市場環境以上に
自分がどの通貨で稼ぎ、どの通貨でリスクを取れるかに左右される。
皮肉なコメントとして最後に一言
そもそも、
これだけ日本円が弱い状況で、為替・金利・海外不動産という三重リスクを背負える日本人投資家が本当にどれだけいるのか。
イギリス不動産に投資するかどうか以前に、
「リスクを取れる通貨を、私たちはまだ持っているのか」
——そこから考える必要があるのかもしれない。










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