日本人にはあまり聞きなれない賃貸契約前のレファレンスチェック

日本人の英語力がどんどん高くなるにつれ、英系企業のサービスを利用するひとが増えてきました。というか、日本人向けのサービスを提供する会社はコロナパンデミック以降減少傾向にあるので現地のサービスを使わざるをえないといった状況です。そこで、今日は英系不動産を利用する際に注意しなければいけないレファレンスチェックについてお話します。 レファレンスチェックとは? では、レファレンスチェックとは、いったい何なのでしょうか。簡単に説明しますと、審査です。ロンドンで賃貸物件を契約したいとなった場合に不動産会社が知りたいのは「仕事は何をしていて、年収はどのくらいあるのか」につきます。英国では、家賃を滞納するひとが年々増えており、大きな社会問題となりつつあります。そこで、家賃の支払い能力があるのかが賃貸物件の契約をスムーズにしてくれる鍵なのです。 自分の支払い能力を知りたい 支払い能力とひとえに言いますが、いったい自分には毎月いくらぐらいの家賃が相応なのか。答えは簡単です。下の式をご覧ください。 年収 ÷ 30 = 月の家賃 年収10万ポンドのひとの場合ですが、上の式に当てはめると月3,333ポンドという計算になります。自分には貯金もあるので、月にもっと支払えるという場合も同じ計算式が採用されます。 貯金額 ÷ 30 = 月の家賃 貯金額が10万ポンドあったとした場合、毎月の家賃は3,333ポンドですので、上の3,333ポンドと合わせると月6,666ポンドの賃貸物件の契約が可能になるということです。 日本人はレファレンスチェックが通らない? 日本人は英国での金銭の支払い記録がないので、レファレンスチェックが通らないという嘘の情報を教えてくれるひとがたまにいますが、そんなことはりません。日本人だろうが、ドイツ人だろうが、アメリカ人だろうが、この国に初めて来たひとでも収入の証明さえできれば、レファレンスチェックは通ります。 無職のひとは賃貸物件を借りることができないのか? 無職のひとでも賃貸物件を契約することはできます。ただし条件として、銀行に十分な貯蓄があること。先ほど言いましたように、貯金も収入とみなされます。では、職もない、貯金もないひとは賃貸物件を借りられないのかといいますと、正直難しいですね。たまに、海外での仕事をリモートでやりながら英国に移住してくるひとがいますが、ここで言う収入の証明というはあくまで英国内での収入に限ります。 審査を受けずに賃貸物件を契約する方法 審査など煩わしい手続きを端折って契約する方法も、実はあります。通常の賃貸契約は1年契約となります。家主がいちばん気にしているのは、家賃の滞納です。では、家賃を契約の満了まで先払いするという条件であれば、その心配がなくなり、審査という煩わしい手続きを省くことができます。2021年1月から英国は香港からの移民を受け入れていますが、多くの香港人は1年分の家賃を先払いすることによって審査をしないで済んでいます。 レファレンスチェックが通らなかったときのペナルティは? もし、仮に気に入った物件が見つかり、申し込みをしたとします。レファレンスチェックをする前に、不動産会社に手付金(ホールディングデポジット)を支払なければいけません。手付金は1週間分の家賃と法律で決まっています。手付金を支払うとレファレンスチェックが始まります。すべてインターネット上で行われるので、オフィスに出向く必要はありません。英国でいちばんメジャーなレファレンスチェック会社はHomeLetです。HomeLetからリンク付きのメールが送られてきますので、迅速にオンラインフォームの入力をします。フォームの内容は、名前、勤め先、現住所(ホテルの場合はホテル)などの簡単な情報です。もっとも重要なのは、勤め先の連絡先です。ここには会社の人事、または総務の担当者の電話番号とメールアドレスを入力します。間違った担当者の連絡先を入れたりしますと、雇用と収入の証明が遅れ、レファレンスチェックが通らない場合もありますので注意してください。オンラインフォームの入力が終わりますと、そこから調査が行われ、不動産会社に結果が送られています。もし、万が一あなたの収入が規定に満たなかったり雇用形態に問題があったりした場合は、Not acceptable(審査が通りませんでした)というレポートが不動産会社に届きます。その場合は、手付金が不動産会社に没収されてしまいます。時々ですが、調査会社で働くひとも人間ですので、ミスをすることもあります。もし、調査結果に不服がある場合は、すぐに不動産会社に文句を言いましょう。 日本人が、現地不動産会社からあまり好かれない理由 日本人は物件をとてもキレイに使ってくれますし、家賃の支払いも期日をしっかり守ってくれますが、あまり現地の不動産会社には人気がありません。理由は2つあります。 物件に対しての注文が多すぎる 家具を交換してほしい、エアコン付けてほしい、絨毯をフローリングにしてほしい、などなど。私が過去に受けた注文でいちばんショックだったのが、シャワーしかない家に浴槽を付けてくほしいと言われたときです。もちろん、そのひとの申し込みは丁重に断られました。 契約内容が家主向けではない 以前も何度か話しましたが、契約期間中にテナント側から途中解約ができるという条件が必須ということです。基本的にこの条件を現地不動産会社に伝えても、担当者は家主にさえ伝えないケースがほとんどです。 少し最後話が脱線しましたが、お金さえ積めばロンドンでの賃貸契約に困ることはないということです。

法人契約は現地の不動産会社には不評

ロンドンのおしゃれなエリアに住みたいと思っている方に、残念なお知らせがあります。ロンドン市内で人気のあるエリアはどこかご存じですか?フィンチリー?イーリング?センジョン?そんなエリアはイギリス人、ヨーロッパ人は見向きもしません。今、ロンドンで人気のエリアは以下のものになります。 カムデン グリニッチ ショアディッチ パットニー メアリルボーン ブリクストン ダリジ バーモンドジー ハイベリー アンド イズリントン クラップハム(Expatica調べ) ちなみに現在上のエリアにすんでいるという日本の方、あなたはロンドンのトレンディなエリアに住んでいると胸をはって日本のお友達に自慢してもいいと思います。少し昔に日本人のよく住むエリアにあったセンジョン(セント・ジョンズ・ウッド)はといいますと、上層中流階級(アッパーミドルクラス)が住む素敵なエリアとして少し前までは注目をあびていましたが、今は少し落ち目です。どちらかというと隣のプリムローズ・ヒルのほうに人気が集まっています。 なぜ人気のエリアに住んでいる日本人が’少ないのでしょうか。 上にあげたエリアに日本人があまり住んでいません。日系不動産会社のひとに言わせると現地のひとに人気のあるエリアは、治安があまり良くないから日本人向けではないとか、日系のスーパーがあまりないとか、意味不明なことを言っていると思いますが、正直いってそんなことはいっさい関係ありません。現地のひとであろうが好んで治安の悪いエリアに住むひとはいません。日系のスーパーですが、たとえ近くになくても、今の時代みなさんオンラインで注文して自宅に配達してもらっています。特にコロナ禍のような状態が今後も続くと予想される時代に、毎日スーパーで買い物するひとなんて皆無です。では本当の理由は何なのでしょうか。それは、日本企業が駐在員に法人契約を強制しているからです。法人契約といえば聞こえはいいのですが、現地の不動産会社にとっては胡散臭い契約としか思われていません。日本の企業と契約がしたことがない家主は法人契約と聞くと二の足を踏んでしまいます。法人契約は家主にとってとても不利な契約だからです。日本人だろうが、イギリス人だろうが、自分が不利になる契約書にサインをするひとはいません。 法人契約は家主にとって何が不利なのか? 具体的に法人契約は家主にとって何が不利なのでしょうか。いくつかの理由があげられますが、いちばんの大きな理由は、家主に途中解約の権利がないということです。家主が都合により物件を自分の手元に戻したくても簡単に戻すことができません。経済事情により物件を売りに出さないといけないとか、自分の息子夫婦に住ませたいなどの状況になった際に、法人契約をむすんでいると家主に選択肢はありません。だから、日本人の住むエリアというのはおのずと一部のエリアに限られてしまうのです。 日本人が人気エリアに住む方法は? では、これから来る日本人がロンドンの人気エリアに住むためにはどうすればいいのでしょうか。答えは、とても簡単です。法人契約をせず、個人契約で契約すればいいのです。お勤め先の会社が個人契約はだめですという権利はありません。日本の企業の総務に特段頭のかたいひとがいない限りこの交渉はうまくいくでしょう。社員に対して会社が住む場所を強制させる権利はいっさいありません。「家賃は会社が支払うのだから、会社のやり方に従ってもらう必要がある。」というのは日本特有の考え方で、イギリスではあまり一般ではありません。社員にも人権があり、家族がいます。住む場所を決めるのは、住むひとの権利で、優先順位は家族が安心して暮らせることであり、会社にそれを否定することはできません。 でも個人契約だと突然追い出されるケースもあるのでは? 個人契約は法人契約と違い、家主側にも途中解約の権利が与えられます。つまり、家主が突然に来月退去してくださいということも起こりえるということです。逆をいえば、もし物件が気に入らなかったら、いつでもお引っ越しができるということになります。法人契約の場合、家主だけにではなく、テナント側にも物件が気に入らないから退去しますというのができないのです。法人契約の途中解約は、住んでいるひとが会社からイギリス国内に異動になったという理由以外は認められないのです。家主から出ていけと言われる心配がないが、嫌な物件でも住み続けなければいけないという生き地獄を味わう可能性があるのです。ただ、みなさん勘違いしないでほしいのは、法人契約であれ、個人契約であれ入居してから最初の6か月間は特別な理由をのぞいて退去できないというのが法律で決まっていますのでご注意ください。 特別な理由というのは? 特別な理由があれば、6カ月以内でも退去ができると前項で申し上げましたが、どういった理由でしたら退去が可能になるのでしょうか。ロンドン市内でよくある6カ月以内に退去できたひとの特別な理由ですが、いちばんは「物件に住めない状態になった。」です。「物件に住めない状態」とはいったいどんな状態をさすのでしょうか。よくある理由をあげていきます。 ボイラーが壊れていて暖房もお湯も使えない。 水道が使えない。 電気系統に問題があり、電化製品や照明器具がいっさい使えない。 ガス漏れがしている。 もし上の状態が入居した時点であるのでしたら、すぐに家主、管理不動産会社に退去通知を出し、支払った家賃の返金も求めましょう。 個人契約をするうえでの注意点 日本人がロンドンで不動産の賃貸契約をする際に必要なものといえば、 パスポート、BRPカード(必須) 雇用証明書 銀行口座 必ず必要なのはビザ(BRPカード)です。入国してBRPカードを受け取るまでの間、パスポートにはっている1カ月期間限定のビザは役にたちませんのでご注意下さい。まずは、BRPカードの取得をしましょう。雇用証明書ですが、年俸が記載されていないと意味がありません。年俸に関してですが、月の家賃の30倍以上の年俸でなければ、審査に通りませんのでご注意ください。家賃を別途で支給される場合は、家賃の支給額もしっかりと雇用証明書に記載されている必要があります。日本の駐在員は、イギリス国内でのクレジットヒストリーがないので審査がとおらないというウソの情報がはびこっていますが、そんなことはありません。基本的に収入の証明さえあれば、誰でも審査はとおります。会社の人事部の担当者に事前に審査会社から連絡がある旨を言っておけば、何の問題もなく審査がとおります。ちなみにロンドンでは審査のことをリファレンスチェックと言います。 会社の決まりだから仕方がないと、住みたくもないエリア、住みたくもない住居で妥協せず、せっかくのロンドン駐在をおしゃれな場所で過ごすことを英国生活サイトは強くおススメします。