「ロンドンの夏は暑すぎる!運転マナー激変と街中の怒号──猛暑のロンドンで起きているリアルな風景」

ロンドンにようこそ──ただし、いつもと違う顔を持つ「暑すぎる夏のロンドン」へ。ここ数日、太陽は容赦なく輝き続け、私たちは待ちに待った夏だと喜んでいたのに、気付けば蒸し暑さにうんざり。街を歩けば蒸気でむせかえるし、地下鉄の車内はまるでサウナ。そんな中、車に乗れば、普段の穏やかなロンドンのドライバーたちが豹変しているのだ…… ☀️ 1.待ち焦がれた夏、期待と現実 数か月前、冬の寒さからようやく解放され、春に向けて芽吹く緑を見つめながら「今年こそは、あたたかいロンドンの夏を満喫したい!」と心躍らせていた。ピカデリー・サーカスの角でアイスクリームを買い、ハイド・パークで読書し、テムズ川沿いでゆるやかに過ごす──そんな夢を描いていた人は、私だけではないはずだ。 しかし、太陽が本気を出し始めたところから、状況は急変。ロンドンの気温は連日30℃以上、湿度も高め。日本とは違い、エアコン設備が街中に普及していないため、室内も車内もジワジワと蒸されるような感覚に囚われる。日陰に逃げ込もうとするも、アスファルトからの照り返しでまるで網の目に入った虫のように蒸されている──そんな日常だ。 🚗 2.ニコッと挨拶が消えた! 増す冷たい視線、そしてクラクション ● 空気が変わるドライブ風景 普段、ロンドンのドライバーは穏やかで控えめ。歩行者や他の車に道を譲り合うことで知られていた。それが、この暑さを境に、変わり果ててしまった。クラクションが無秩序に鳴り響き、赤信号無視や急発進急ブレーキが日常化。車線変更の際の横入りに割り込んでくる車も増え、背後には怒号と「Move it!」「What the hell are you doing?」といった短い悪態が飛び交う。ロンドンの街に走るのは緊張と苛立ち──「静かな闘争」だ。 ● 窓全開の地獄ツアー? 英国の夏、通称「ロンドン・スウェット・ツアー」は窓全開で走るのが常識だった。しかし今季はただの自虐的なサバイバルだ。熱気と排気ガスが入り混じり、車内が地獄のように暑い。にもかかわらず、「早く降りてエアコンのあるカフェにでも避難したい」という無言の圧力が背中を押す。そんな中、信号待ちで脚を伸ばし気を紛らわせていると、「ポンッ」と車の窓が開いて運転手が怒鳴ることも。「I’ve had enough!」「Keep your windows up!」と、猛暑下のストレスが一気に爆発する一瞬がそこかしこで見られる。 😡 3.なぜこんなに怒りっぽくなるのか? 気温と心理の関係 暑さ=短気のもと 心理学的にも知られるように、暑さは人の感情に大きく影響する。気温が1℃上がるごとに、怒りや攻撃性を司る生理的反応が増大しやすいという研究結果もある。ロンドンの住人も例外ではない。常に「これは暑すぎる」とイライラし、ちょっとしたミスにも敏感に反応してしまう。今日は歩行者が遅く渡った、昨日はドライバーが一瞬無視した──それだけでキレてしまう。 マナーの逆作用 ロンドンのドライバーは通常、きちんと順序を守ることに誇りを持っている。でも現状を冷静に見ると、「みんな暑さで疲れている」という共通認識があるからこそ、ちょっとした遅れやミスが”裏切り”に感じられるのだ。例えば、右折ウインカーを出すのを忘れただけで「この暑さのせいで常識すら忘れたのか?」と逆上する。つまり、マナーという名のハードルが逆に「完璧さ」を要求しているのだ。 🏙️ 4.街中の光景:車 vs 車、ドライバー vs 歩行者 交差点は戦場に変貌 信号待ちは露骨なストレス場に。早く青になってほしいがために、赤信号でも前に行こうとして交差点で詰まり合う車。後ろでは、割り込もうとする車と押し合うようにクラクションの応酬──一瞬だけだが、光景はまるで小さな戦場だ。 歩行者との無言のバトル 歩道からは車窓に向かってボタンを連打し抑制を促すドライバー、逆に歩行者は「ちょ、早くしろよ」の顔で対峙。お互い目を合わせて火花が散り、ロンドンらしい淡々とした空気が突如緊張感に包まれる。しかしすぐに冷えてまた、ロンドンでしかできない「あうんの呼吸」に戻る。 🧊 5.対策? 暑さ対コンクリートジャングルでの知恵 クールダウンのための準備 コミュニケーションで希薄さを補う 🌿 6.それでも夏は必要だった この暑さの中での飛び交う怒号と苛立ちに触れて、つい人混みにゲンナリしてしまうかもしれない。でも振り返ってみれば、これは「生きてる」証。ロンドンの街が、気温とともに生気を帯びている瞬間でもある。 ──待ちに待った夏だからこそ、「暑すぎる!」と文句を言いたくなるのは自然だし、「今日はちょっとイマイチだな」と切りたくなる人がいても当たり前。むしろそこにこそ、夏の醍醐味、いや、夏の“本性”がある。 🎶 7.まとめ:この夏、あなたが遭遇するかもしれないこと シチュエーション 予想される事象 対応ポイント …
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【イギリス滞在者向け】強い体臭の背景にある「見えないサイン」──注意すべき理由とその意味

イギリスに滞在している、あるいはこれから訪れる日本人の多くが、街を歩いて最初に感じる意外なことのひとつに、「体臭が気にならない人が多い」という点があります。ヨーロッパ=肉食文化=体臭が強い、という固定観念を抱いていた人ほど、この現実に驚くことになるかもしれません。 では、なぜイギリスでは「強い体臭を持つ人が少ない」と感じるのでしょうか?そして、稀に出会う「強烈な体臭を放つ人」に対して、なぜ注意が必要なのか?その背景を深く掘り下げていきます。 デオドラント文化と清潔意識の高さ イギリスでは、日常生活において体臭ケアがしっかりと根付いています。スーパーやドラッグストアでは、スプレータイプやロールオン、香り付き・無香料・敏感肌用など、さまざまな種類のデオドラント製品が所狭しと並んでいます。使用は習慣のようなもので、朝の身支度の一部としてデオドラントを使うのは、洗顔や歯磨きと同じくらい当たり前の行動です。 さらに、香水文化も生活の一部として浸透しています。香りをまとうことが「身だしなみ」として認識されており、職場でもカジュアルな場でも、心地よい香りを意識的にまとう人が多くいます。 高齢者も例外ではない 高齢の方々もまた、意外なほどきちんとした身だしなみを保っています。香水の使い方が控えめながらも上品で、若年層よりも洗練された香りの選び方をしていることも少なくありません。「年を取ったら匂いに鈍感になる」というのは一面的な見方であり、実際のイギリスでは、年齢に関係なく体臭ケアが行き届いている人が多いという印象を受けます。 稀に遭遇する「強い体臭の持ち主」とは? しかし、ごく稀に街中やバス・地下鉄などの公共交通機関で、明らかに強い体臭を放つ人物に出会うことがあります。その体臭は、単なる汗の匂いや運動後のにおいとはまったく異なる種類のもので、時に鼻を突くような刺激臭を伴うこともあります。 こうした場合、「不潔な人」だと単純に判断するのは早計です。強い体臭の背景には、深刻な社会的あるいは健康的問題が潜んでいる可能性が高いのです。 なぜ「注意」すべきなのか?──見落とされがちな背景要因 ① 薬物依存による嗅覚の異常 イギリスでは、一部の都市部を中心に薬物問題が深刻化しています。薬物を長期的に使用している人の中には、嗅覚が鈍くなり、自分の体臭にまったく気づかなくなっているケースがあります。また、乱用によって脳の働きにも影響が出ており、他人との距離感や衛生に対する意識そのものが低下している場合もあります。 ② 経済的困窮・ホームレス イギリスでは、貧困やホームレスの問題も社会課題のひとつとなっています。そうした人々は毎日の入浴や衣類の洗濯といった基本的な衛生管理すら難しい状況にあり、結果として強い体臭につながってしまうことがあります。 また、公共施設のシャワー設備や福祉支援も限られており、継続的なケアを受けられる環境が十分とは言えないのが現実です。 ③ 肝機能障害などの内臓疾患 医学的に見ると、肝臓や腎臓に障害があると、アンモニア臭や腐敗臭のような特有の体臭を発することがあります。とくにアルコール依存症の末期や慢性的な肝炎などでは、「フェトール・ヘパティカス(肝性口臭)」と呼ばれる独特の臭いを伴う場合があります。 こうしたケースでは、体臭は単なる衛生問題ではなく、明確な健康リスクのサインとして現れている可能性が高いのです。 無理に関わらず、冷静な観察と対応を では、強い体臭を感じたとき、私たちはどう対応すべきでしょうか。 まず大切なのは、無用なトラブルを避けるためにも「無理に関わろうとしない」ことです。体臭は時に深刻な事情の“サイン”である一方、その背景が薬物依存や精神疾患である場合もあり、予測不能な行動につながる可能性もあります。 そのため、できるだけ静かに距離を取り、状況によっては場所を移動するなどの自衛行動を取ることが賢明です。決して侮蔑的な視線を向けたり、無理に注意を促したりするべきではありません。 まとめ:体臭は「その人の人生の背景」を映す鏡 イギリスでの日常生活では、基本的に体臭への配慮が行き届いており、街中では心地よい香りが漂うことも珍しくありません。しかし、だからこそ強烈な体臭に遭遇したときは、それが異常であるという“サイン”として受け取ることができます。 その匂いの裏にあるのは、貧困、病気、依存、孤独──一人ひとりの人生の背景です。私たちはそれを完全に理解することはできませんが、「見逃さない意識」を持つことで、ただの不快な経験を、社会への理解を深める学びに変えることができるのです。 イギリスという異文化の地で、匂いひとつをとってもそこには「見えない物語」が存在している。そんな感受性を持つことが、異国での生活をより豊かにする手助けになるかもしれません。

イギリス人が驚く日本人の当たり前の行動とは?~文化のギャップが生む誤解と発見~

はじめに 日本とイギリスは、互いに礼儀正しく歴史ある文化を大切にする国として知られています。しかし、両国の文化や社会の仕組み、価値観には意外なほど大きな違いがあります。日本では日常的に行われている行動が、イギリス人にとっては驚きや戸惑いを感じさせることも少なくありません。本記事では、日本では当たり前でもイギリスでは「非常識」と受け取られがちな日本人の行動について、具体的な事例とその背景を紹介しながら考察していきます。 おわりに 文化の違いは、しばしば誤解や驚きを生みますが、それは同時に新たな視点を与えてくれる貴重な体験でもあります。日本の「当たり前」がイギリスでは通用しないこともありますが、そこから異文化理解が始まります。重要なのは、違いを尊重し、お互いに歩み寄る姿勢です。国際社会に生きる現代人として、異なる価値観を受け入れる柔軟さを持つことが、よりよい関係構築への第一歩となるでしょう。

ロンドン地下鉄「カレー手食べ騒動」に見る文化と公共マナー:何が問題だったのか?

2025年初頭、ロンドンの地下鉄内でインド人女性が素手でカレーライスを食べていたという出来事が、SNSを中心に大きな話題となった。ある乗客がこの様子を隠し撮りし、コメント付きで投稿したことで、瞬く間に拡散。動画のコメント欄には、「不衛生」「公衆の面前で食事をするなんてあり得ない」「だから移民は…」というような批判が並ぶ一方、「ハンバーガーなら許されるのに?」「手で食べるのは文化だ」「イギリス人のダブルスタンダードだ」と擁護や反論の声も数多く見られた。 本記事では、この一件をきっかけに、イギリスにおける公共の場での「食べる行為」の文化的位置づけ、差別と偏見の構造、そして多文化社会ロンドンのあり方について、様々な視点から深掘りしていく。 1. 公共の場で「食べる」ということ──イギリス文化における暗黙のルール まず初めに確認しておきたいのは、「ロンドンの地下鉄で食事をすることは違法なのか?」という点である。答えは「ノー」だ。ロンドン交通局(TfL)の公式規定では、明確に「車内での飲食を禁止」としているわけではない。ただし、「匂いが強く、他人の迷惑になる可能性がある食事は控えるように」といった注意喚起はある。 実際、ロンドンの地下鉄内では、多くの人がテイクアウトのコーヒーや軽食を手に持って乗車しており、朝のラッシュ時などにはサンドイッチやペイストリーを片手に通勤する人の姿も日常的に見られる。つまり、「公共の場で食事をする」ことそのものは、イギリス文化の中で決して禁忌とはされていない。 しかし、「何をどう食べるか」については、明確な階層や文化の無意識の基準が存在する。例えば、フォークやナイフ、少なくともプラスチックのスプーンであれば許容されるが、「手で食べる」という行為は、どこか「原始的」「不衛生」「下品」といったニュアンスを含む目で見られる傾向がある。 2. 手で食べる文化は「野蛮」か?:西洋中心主義の罠 では、「手で食べる」ことは本当に不衛生であり、公共の場にふさわしくない行為なのだろうか? 答えは文化によって異なる。インドや中東、アフリカの多くの地域では、手で食事をすることはごく普通のことであり、食事に対する敬意を示す行為ですらある。手で食べることによって料理の温度や質感を感じ取り、五感をフルに活用するという食文化が根付いている。 この視点からすると、「手で食べる=下品・不衛生」という認識は、あくまで西洋的な価値観に基づいたものであり、他の文化を自らの物差しで測る「西洋中心主義」に他ならない。 今回の一件で問題視されたのは、単に「手で食べた」ことではなく、それが「見慣れない」「異質な」文化の行為だったという点である。つまり、問題は衛生の有無やマナーの良し悪しではなく、偏見と無知からくる「文化的差別」に根ざしている。 3. ハンバーガーならOK?:許される食べ方・許されない文化 批判の中には、「カレーを手で食べるなんて」というコメントが多く見られたが、それと同時に、なぜ「ハンバーガーやフィッシュアンドチップスならOKなのか?」という問いも浮かび上がった。 実際、ロンドンの地下鉄では、ファストフードの包装紙を抱えてハンバーガーやチキンを食べている若者も少なくない。彼らに対しては、同じようなレベルの批判はほとんど見受けられない。 ここにあるのは、「見慣れた文化」への寛容と、「異文化」への無意識の排除だ。ハンバーガーやサンドイッチは「西洋的」「現代的」「便利な」食べ物として許容されるが、手でカレーを食べる行為は「異質で原始的で、公共の場にそぐわない」と捉えられてしまう。これは食文化の問題ではなく、「誰がどの文化を体現しているか」によって態度が変わる、という構造的な偏見の現れである。 4. 移民、階級、公共空間──ロンドンという都市の複雑性 ロンドンは、世界でも最も多文化的な都市の一つであり、人口の約40%以上が非白人系住民と言われている。特にインド系移民は、イギリスの歴史的背景からも多く住んでおり、カレーは今や「国民食」として認知されているほどである。 しかし、どれだけ食文化が融合しても、「誰がその文化を体現するか」という要素は、依然として大きな意味を持つ。白人のイギリス人がタンドリーチキンを食べていれば「多文化の享受」として好意的に捉えられるが、インド系女性が手でカレーを食べれば「不衛生」「マナー違反」とされる。 この現象は、単なる文化の違いではなく、移民に対する根強い階級意識や人種的偏見の表出であり、「誰が公共空間にふさわしいか」という無意識の線引きが、いかに差別的であるかを示している。 5. SNS時代の監視と羞恥文化──「晒し」の暴力 この騒動が広がった背景には、もう一つ大きな問題がある。それは、「他人の行為を勝手に撮影し、SNSで晒す」ことへの倫理的な問題だ。 今回のケースでも、撮影者は女性の同意なく動画を撮影し、「見て、これが今のロンドンだ」と皮肉混じりに投稿していた。これに対し、一部のユーザーからは「盗撮ではないか」「プライバシー侵害だ」という批判も出たが、炎上はすぐに「彼女のマナー」へとすり替えられていった。 現代のSNS文化では、「公共の場で目立つ行為をすると晒される」「常に他人の視線がある」という一種の“監視社会”が形成されており、それが羞恥心や自己検閲を過剰に促す構造を作り出している。これは自由と多様性を尊重する都市社会にとって、決して望ましい傾向ではない。 6. 「公共性」とは誰のものか?:これからの多文化共生社会へ 最後に考えるべきは、「公共空間とは誰のものか」という問いである。 公共の場におけるマナーや常識は、時代や文化によって変化し続ける。現代ロンドンのような多文化都市においては、単一の文化や価値観だけでマナーを定義することは、むしろ排他的で不公正になり得る。 今回の騒動を通して浮かび上がったのは、「異文化への無理解」ではなく、「異文化に対する選択的な拒絶」の構造だ。言い換えれば、「文化を受け入れるふりをして、実際は排除している」という偽の寛容性が、我々の社会に根強く残っているということである。 多様性とは、単に様々な文化が「共存する」ことではなく、相互理解とリスペクトを通して「共に在る」ことだ。そして、それを実現するためには、目に見えないバイアスや無意識の偏見に気づくところから始めなければならない。 結びに代えて:問い直すべきは「彼女の行為」ではなく、「私たちの視線」 ロンドン地下鉄の「カレー手食べ騒動」は、単なる日常の一コマが、いかにして社会全体の無意識な構造を映し出す鏡となるかを示してくれた。 公共空間における行為は、その行為それ自体よりも、「誰がそれを行っているか」という文脈によって判断されがちだ。そして、それが文化的・人種的な偏見と結びついた時、マナーや常識は、他者を排除する武器に変わってしまう。 本当に問い直すべきなのは、手でカレーを食べた女性の行為ではなく、それを見た私たちの視線と、そこに潜む無意識の優越感ではないだろうか。

イギリスのレストラン文化と「静かなる注文」──店員を呼ばずに注文する理由とその方法とは?

海外旅行や留学、あるいはビジネスでイギリスを訪れる際、多くの日本人が最初に戸惑うのが「レストランでの注文方法」です。日本では手を挙げて「すみません」と声をかけるのがごく自然な行動ですが、イギリスで同じことをすると、あまり良い印象を与えないどころか、無作法と受け取られることもあります。では、イギリス人はどうやって店員を呼び、どのように注文するのでしょうか? 本記事では、イギリスのレストランでのマナー、接客文化の背景、実際の注文の流れ、旅行者が気をつけるべき点まで、7000文字のボリュームで詳しく紹介していきます。 1. 「大声で呼ばない」「手を挙げない」──イギリスの静かな接客文化 まず強調しておきたいのは、イギリスにおいて「店員を大声で呼ぶ」「手を高く挙げてアピールする」といった行為は、一般的に無礼と見なされるという点です。もちろん状況や場所によっても異なりますが、多くのレストラン、特に伝統的なブリティッシュ・レストランや中〜高級店では、客が声を張り上げたり手を振ったりするのはご法度です。 イギリス社会は、控えめで落ち着いた態度が重んじられる文化です。「他人の空間を尊重する」ことが社会的な美徳とされており、その価値観はレストランの中にも反映されています。店員に声をかけるときでさえも、できるだけ周囲に配慮した穏やかな方法が求められるのです。 2. では、イギリス人はどのように注文するのか? (1) 着席型レストランでは「待つ」のが基本 イギリスのレストランでは、席に案内された後、注文を取りに来るのを静かに待つのがマナーです。たとえ店内が忙しそうでも、店員が「準備ができた」と見なしたタイミングで注文を取りに来るまで待機するのが一般的です。 (2) パブやセルフサービス形式では「カウンターで注文」 イギリスのもう一つの食文化の特徴は「パブ(pub)」の存在です。パブでは、基本的にテーブルに座って待っていても誰も注文を取りに来ません。代わりに、自分でカウンターまで行き、注文と支払いを済ませるスタイルです。 この点を知らずにテーブルで長時間待っていると、いつまでも料理は運ばれてきません。多くの旅行者が最初にこの「セルフ注文スタイル」で戸惑うことになります。 3. イギリスの店員は「察するプロフェッショナル」 イギリスのレストランでは、店員は常に客の様子を「観察」しています。つまり、あえて客が呼ばなくても、食事の進み具合や視線、雰囲気から「このテーブルは注文の準備ができた」「次の飲み物を頼みたがっている」「会計をしたい」といったサインを読み取る能力が求められているのです。 この文化的背景には、イギリスの「非言語コミュニケーション」の重視があります。直接的な表現よりも、控えめな仕草や間接的なサインを読み取ることが洗練された態度とされており、それは飲食店にも反映されています。 4. 旅行者が注意すべきポイントとアドバイス ■ 呼び方のNG例とOK例 状況 NG例 OK例 店員を呼びたい 手を振り上げて「Excuse me!」と叫ぶ 店員が近くを通った時に目を合わせて軽く微笑む/静かな声で「Excuse me」と声をかける 注文を急かす 「まだ来ないんですか?」と不満気に言う 「Sorry to trouble you, but may I order when you have a moment?」のような丁寧な言い回し ■ 表情や態度のコツ 5. 注文以外のマナーも要注意 イギリスではチップ文化もありますが、レストランによってはサービスチャージが含まれていることがあります。伝票をよく確認し、「Service charge included」と書かれていれば追加のチップは不要です。含まれていない場合、10〜12.5%程度を上乗せするのが一般的です。 また、食事中に店員が水を注ぎに来たり、何度も様子を見に来ることは少ないため、必要があれば自分から静かに伝えるようにしましょう。 6. …
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日本人が気づきにくい!? イギリス人が嫌うマナー15選

~知らずにやってない?旅先や留学・ビジネスでも大切な英国流エチケット~ はじめに 「イギリス人って礼儀正しいよね」と耳にしたことはありませんか?紅茶とスーツの国、イギリス。落ち着いた雰囲気と気品のあるイメージがありますよね。しかしその裏には、厳格ともいえる「マナー文化」がしっかりと根付いています。 一見、穏やかで寛容に見えるイギリス人ですが、実は“心の中では不快に感じている”というケースも少なくありません。特に日本人が普段気にしないちょっとした行動や癖が、「えっ、それはちょっと…」とイギリス人に眉をひそめられている可能性も! この記事では、日本人が気づきにくいけれど、イギリス人が密かに嫌うマナーを15個厳選して深掘りしていきます。旅行・留学・ビジネス・国際恋愛…どんなシーンでも役立つ内容ですので、ぜひチェックしてみてください。 1. げっぷは超NG!「ごちそうさま」になりません 日本では子どもが「げっぷ=満足のサイン」として捉えることもありますが、イギリスでは完全にマナー違反。たとえ食後でも、音を立ててげっぷをするのは「無作法で下品」とされます。どうしても出てしまいそうなときは、音を立てないようにするか、「Excuse me(失礼)」と一言添えるのが最低限の礼儀です。 補足ポイント: 2. おならも当然NG!笑い事では済まない空気感 こちらも当然ですが、イギリスでは公共の場でのおならはかなりのタブー。日本では小さな子どもが「ぷっ」と音を出して笑いになるシーンもありますが、イギリスではその場の空気が一瞬で凍ることも。「体のことだから仕方ない」では済まされず、「コントロールできない人」「気を使えない人」と思われてしまいます。 3. 爪切りを人前でするのは絶対NG!「不潔」「だらしない」と思われる 日本では職場でちょっと爪を整えたり、旅行中にホテルのデスクで切ったりする人も見かけますが、イギリス人から見ると「えっ…信じられない!」という行為。爪を切るのは完全なるプライベート空間、基本的にはバスルームで静かに行うのが常識です。 4. 大声で話す=マナー違反!静かなのが“品” 日本人は自覚しにくいですが、イギリス人の耳からすると、日本語は音がはっきりしていて「大きく聞こえがち」。特に友達同士でテンションが上がったとき、つい声が大きくなっていませんか? イギリスでは、公共交通機関やレストラン、カフェなどでは「静かに話す」のが基本。騒がしくしていると、「育ちが悪い」と思われてしまうかも。 5. 列に割り込むのは“最大級の罪” イギリスといえば「並ぶ文化」。とにかく、どんな状況でも列を守るのは鉄則中の鉄則です。スーパーのレジ、バス停、パブのカウンターでも、誰が先に来たかを周囲はちゃんと見ています。 NGな例: → これ、イギリス人から見たら「ズルいし、無礼」とされます。 6. チップの習慣、場面での“空気読み”が重要 イギリスではアメリカほどチップ文化は強くありませんが、レストランやホテルなどでは一定のチップマナーがあります。サービスが良かった場合、10~15%ほど上乗せして支払うのがスマート。特にテーブルでの食事では必須に近いマナーです。 注意点: 7. 公共の場でのイチャイチャは控えめに 手をつなぐ程度は問題ありませんが、激しいキスや長時間の抱き合いなどは、年配者や保守的な地域ではかなり不快に思われることもあります。イギリス人は「感情の抑制」を美徳とする傾向があるため、過度なラブラブ表現はTPOを弁える必要があります。 8. スマホで通話しながらレジに並ぶ これもイギリスでは無礼とされがちな行動。店員さんとのやり取りは「人と人とのやりとり」として大切にされており、スマホに夢中になっていると「無礼」「相手を軽視している」と感じさせてしまいます。 9. 店員さんに命令口調で話す 例えば「Water, please.(水、ください)」という言い方ですら、言い方次第では「ぶっきらぼう」と感じられます。イギリスでは“やんわりお願いする”のが礼儀。「Could I have some water, please?」など、丁寧な言い回しが好印象を与えます。 10. 他人に馴れ馴れしく話しかけすぎる 日本では“フレンドリー”が好意とされますが、イギリス人は初対面では適度な距離を好む人が多いです。いきなり名前で呼んだり、プライベートな話題(収入、家族構成、宗教など)に触れるのは控えましょう。 11. 食べながら歩くのは“みっともない” 日本のように「歩きながらおにぎり」「飲みながら移動」というスタイルは、イギリスでは基本的にNG。特にロンドン以外の都市部では「だらしない」「行儀が悪い」と思われることもあります。 12. 話の途中で割り込む 会話のキャッチボールを大事にするイギリス人にとって、相手の話を遮るのは非常に失礼。たとえテンションが上がっていても、「I’m sorry …
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