イギリスに住んで10年以上たつが、いまだにこの国はレイシスト(人種差別主義者)から抜け出せていません。そのためイギリスではヘイト・クライムに関係した事件などがテレビや新聞などで取り上げられることがほとんどありません。地方の小さなニュースで取り上げられる程度です。その反面、イギリス白人が被害者になったりした事件はメディアが大々的にとりあげ連日連夜テレビやネットで騒ぎ立てます。そのわけは、イギリスはレイシストの国だからです。 イギリス白人の割合が86%を占める イギリス白人が全体の86%を占めているこの国ではどうしても考え方が白人よりになってしまいます。多数派の意見が勝ってしまうのは民主主義国家なのでしょうがないと思いますが、国を動かす国会議員や政治家の大半を白人が占めてしまうことになります。ちなみに国会議員のなかでイギリス白人以外の人種が占める割合は10%に過ぎません。イギリス白人以外の人種の割合が低いので政治家の数も必然と少なくなってしまいます。 大都市に住むイギリス白人 ロンドンなど大都市に住むイギリス白人たちは人種差別しないように気を付けています。彼らがレイシストじゃないと言っているわけではありません。本当はレイシストだけどもそうじゃないふりをしているといったところでしょうか。なぜかといいますとロンドンは他のエリアに比べイギリス白人が少ないからです。約40%がイギリス白人の割合と言われています。ロンドンで生活していくためにはイギリス白人以外と付き合っていかなければいけないので、レイシストとしてのレッテルを張られてしまえば不利になります。もしロンドンでビジネスをしていたら、単純に60%の顧客はイギリス白人以外なのです。 多くの白人がロンドンから出て行った 過去20年間のあいだロンドンから多くの白人が出ていきました。理由は白人として住みにくくなってしまったからです。いろいろな人種が入ってきたことによりもともとあったイギリス独特の文化が多文化で浸食されてしまいました。イギリス人としての常識が通用しなくなってしまったのです。街を歩けば英語以外の看板が目立つようになり、街を歩く人々から聞こえてくるのは英語以外の言語です。今や大都市はイギリス白人人が住みやすい環境じゃなくなってしまったのです。過去20年間で実に170万人以上のイギリス白人がロンドンから出て行ったのです。 ヘイト・クライムの数 ロンドン警視庁によりますと、コロナウィルス感染がはじまった2020年の1月~6月にかけての人種差別がらみの犯罪は457件にのぼります。457件という数は昨年の同時期に比べ2倍以上の件数です。しかしこの457件という数はあくまで暴力がからんだ件数だけで、暴言を浴びせられたなどの件数はほとんど含まれていません。例えば通りを歩いていて道の向こう側から「コロナウィルスを持ち込むな!」などと罵声を浴びせらるといったことが日常的に起きていますが、こういったことは被害届すら出されていないことがほとんどです。ただ、こういったこともヘイト・クライムとして成立しますので実際の数はおそらく10倍から20倍と言われています。 警察もレイシスト ヘイト・クライムが報告されない理由の一つとして警察官がほぼ白人だということも関係しています。イギリスの警察官の実に93%がイギリス白人なのです。イギリスの警察もアメリカの警察と同じでレイシストの集まりといってもいいでしょう。私事ではありますが、以前アパートの自分の駐車場に車をとめていて夜中に車にいたずらされたことがありました。私が犯人を目撃ししかもその犯人は自分の財布を現場に落としていたので、警察に届けましたが、財布が現場にあったからといって犯人とは限らないと取り合ってくれなかったどころか、財布を本人に郵送で返却したのです。理由は私がアジア人で犯人はイギリス白人だったことは明白でした。 イギリス白人ではないことに慣れるしかない ロンドンのような都会では日常的に差別されるということはありませんが、地方に行きますと日常茶飯事です。場所によっては白人が99%を占めるところもたくさんあります。そういったところに行くと普通に無視されたりします。でも、そんな国なんだと諦めるしかありません。日本人ごときにイギリスの差別主義を変えることは絶対にできないからです。
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故サラ・エヴァラードさんが話題になる理由
若い女性が誘拐され殺害される事件 ロンドン南西部の町クラプハムに住む33歳のイギリス人女性サラ・エヴァラードさんが殺害されるという事件が発生しました。3月3日夜の9時ごろ友人宅をあとにしたエヴァラードさんは9時30分に一般家庭で取りつけているインターフォンのカメラに写っていたのを最後に行方がわからなくなっていました。1週間後エヴァラードさんの住む町クラプハムから90キロ離れたケント州の森林で遺体が発見されました。数日後、容疑者として逮捕されたのはケント州に住む警察官のウエイン・コーゼンズ(48歳)でした。 各地でおこるデモ エヴァラードさんが国民を危険から守るはずの警察に殺害されたということで女性中心のなったデモが起こっています。警察という国家権力が起こした事件をイギリス人が見過ごすはずがありません警察という立場を利用して、エヴァラードさんに近付き、殺したのかどうかは定かではありません。逮捕された犯人の公判は今も続いています。 確かにおぞましい事件ではあるが、少し騒ぎすぎではないか? 確かに警察官が一般市民を殺害するというショッキングな事件ではありますが、警察官も人間です。精神的におかしくなってしまうひともいれば間違いをおかしてしまうひともいます。イギリス人が騒いでいるのは本当の理由はそこではなく、もっと根深いところにあるのではないかと思っています。 黒人差別批判に対する白人の逆襲 少し前にアメリカで警察官が黒人を射殺する事件があり、そのあと世界各地で抗議デモが起きました。イギリスでもロンドンをはじめいろいろところでデモが行われました。差別に虐げられてきたマイノリティがデモやメディアをとおして白人のゆるぎなかった立場をおびやかしはじめました。今でもテレビなどでは人種差別をテーマにした特別番組が毎週のように放送されています。さらにここへきてヘンリー王子がイギリス王室での差別を告発したことにより、人種差別はコロナウィルスをぬき今いちばんの話題となっています。今回の白人女性が殺害された事件は、今まで差別にあっていなかった白人にとって世間に逆襲する場を与えたのです。白人女性が弱者の代表になれたのです。 マイノリティが被害者となってはじめて国が動く イギリスという国はつくづく白人社会だと痛感します。昨年6月にウェンブリーという町で若い黒人の姉妹が刺されて殺されるという事件がありました。しかし、この事件は地方のテレビ放送で一瞬取り上げられただけで、全国放送にすらなりませんでした。この違いはいったいなんなのでしょうか。サラ・エヴァラードさんという金髪で青い目をしたきれいな女性が殺害されたことが連日連夜放送され、新聞でも何日も一面を飾っています。過熱報道としか思えません。そうです、白人女性だったからここまで騒がれているのです。ジョンソン英首相も事件についてコメントをする始末です。メディアをはじめ多くの著名人は今後こういった事件が起きないように警察の数を増やすと言いだしました。イギリスは、これからもどんどん人種差別主義の色を強くしていくつもりでしょうか。
アジア系のひとたちへの攻撃はいまでもあるのか?
ひと昔前、イギリスといえばアジア人が歩いていると「Yellow monkey」などと呼ばれ石をぶつけられたりした時代もありました。今はそんなバカなことをするイギリス人はさすがにいなくなったのではと思いきや、残念ながらいまでもいます。(昔よりは少なくなりましたが)おそらく根がレイシストなのでそんな簡単には変わらないのでしょう。その結果として「EU離脱」が起こったといっても過言ではありません。どういうことか説明します。イギリスの極右政党のUK Independence Partyが田舎に住むイギリス人労働者に生活が苦しいのは東ヨーロッパからきているひとたちに仕事を奪われているからだと東ヨーロッパ人を悪者に仕立て上げたのです。まともな教育を受けていない労働者たちは、これを信じ、多くの地方労働者はEU離脱に投票したのです。けしかけた政治家も悪いとは思いますが、もともとイギリス人の心のなかには東ヨーロッパ人に対して強い嫌悪感はあったのです。 「ヘイト・クライム」とは? ヘイト・クライムとは英語でHate Crimeと書かれるように、嫌いな人に対しての暴言や暴力行為のことです。ただ嫌いだから暴力をふるったのでは傷害罪となりますが、ヘイト・クライムは暴力をふるった理由が下記のようなものの場合をさします。 黒人だからとか、アジア人だからとかなどの人種のちがい 彼女は女性だから、彼はゲイだからなど性別のちがい 傷害者に対して 宗教の信者に対して 新型コロナウィルスがらみのヘイト・クライム オックスフォードストリートを歩いていたシンガポール人学生のジョナサン・モクさん(23歳)は突然イギリス人少年4人組に「I don’t want your coronavirus in my country. (コロナウィルスを持ち込むな!)」などと言われ顔を殴られるなどの暴行を受けました。これはイギリス国内でコロナウィルス感染拡大がはじまったばかりの1年前におきた事件です。1年前にイギリス国内でそんなに騒がれかといいますと、BBCやSky Newsなどの全国放送のニュースでとりあげられたのが1日だけで、それも1日中ではなく、夕方のニュースで一瞬とりあげられただけと記憶しています。イギリス人からすれば外国からきた学生が観光地で殴られたというだけのよくある話ですが、アジア人である私たちにとってはとてもショッキングなニュースだったのを覚えています。 ヘイト・クライムの増加率 イギリス国内のヘイト・クライムはイギリスのEU離脱への国民投票が行われた2016年6月をかわきりに増えはじめました。2016年、2017年は東ヨーロッパ人に対しての攻撃です。もちろんこれをきっかけに多くの東ヨーロッパ人がイギリスを立ち去る結果となりました。そして2020年のコロナパンデミックによりターゲットとされているのは中国をはじめとする東南アジア人です。ヘイト・クライムは増加傾向となっており、1度目のロックダウンが解除された昨年の7、8月の件数をみてみますと2019年にくらべ62%も増えています。 ロックダウンが解除されてからが危険 ロックダウン中のいまでもヘイト・クライムはおきています。最近ですと1月末にダービーにある大学病院で働くフィリピン人看護師アルダリオ・ジュニア・バラスコさんが患者に「中国人のクソ野郎!」と暴言をはかれるという事件がありました。今はまだひとが自由に出歩けない状態なので、ヘイト・クライムはそこまで目立っては発生してはいません。イギリスのメディアも中国の武漢での調査のニュースを日々放送していて、中国に対する不信感はどんどん強くなっています。ロックダウンが解除され人々が街やストリートに出てくるようになれば多くのアジア人が攻撃の的にされるものと思われます。 日本人だから大丈夫というのは通用しない たまに「自分は中国人じゃないから大丈夫だ」ということを言っているひとがいますが、それが通用するのは日本国内にいる場合です。イギリスに関していいますと、日本人、韓国人、中国人の区別ができるひとはほとんどいません。それどころか日本を中国の一部だと思っているひともいるぐらいです。もうすでにチケットを買ってしまったひとはしかたがないですが、海外への移動はコロナパンデミックが完全に終息し、人々がコロナウィルスを忘れてしまったころにすることをおすすめします。