イギリス人とペット事情:猫派が多いのは怠惰の証拠か?

イギリスといえば紅茶と雨、そして猫。あ、間違えた。紅茶と雨と「猫派の多い国民性」だった。犬派の皆さん、これはあなた方にとって耳の痛い話かもしれないが、イギリス人の心をがっちりつかんでいるのは、ふわふわの肉球を持つ気まぐれな猫の方である。もちろん、犬好きのイギリス人がいないわけではない。しかし、イギリス全体を見渡すと、どうやら犬より猫の方が歓迎されている気配が濃厚だ。

なぜか? それはひとえにイギリス人の「面倒くさがり」な性格に起因するのではないか、という説がある。今回は、イギリス人がなぜ猫派に偏りがちなのかを、皮肉たっぷりに検証してみよう。

1. 犬は手がかかる? いや、イギリス人の「お世話嫌い」

犬を飼うということは、責任感のかたまりのような生活が待っているということだ。毎日の散歩、餌やり、しつけ、さらにはうっかり粗相でもしようものなら、飼い主はその後始末に追われる。さらに、犬は愛情を求めてくる。「ねえ、かまって!」「遊んで!」「散歩に行こう!」という目をされたら、無視することはできない。

しかし、ここで問題なのは「イギリス人がそんな面倒なことを好むか?」という点である。答えはおそらく「ノー」だろう。イギリスの家庭には「ゆったりとソファに座り、紅茶を片手にのんびり過ごす」という文化が根付いている。そんな時、隣で犬が「今すぐ散歩に行こう!」とせがんでくるのは、正直言って迷惑以外の何ものでもない。

一方、猫はどうか?

「私に構わずどうぞご自由に」というスタンスで、気まぐれに寄ってきたり、そっと離れたりする。人間が「ちょっと今日は疲れてるんだ」と思った時に、猫も「別に私も暇じゃないし」という顔をしているのは、まさにイギリス人の性格とマッチしているのではないか。

2. 雨と犬の散歩:この国には向いていない組み合わせ

イギリスといえば雨。年間を通して曇りや雨の日が多いこの国では、外に出るのが億劫になりがちである。ここで問題となるのが犬の存在。犬を飼っている以上、雨だろうが嵐だろうが、外に連れ出さなければならないのだ。

「せっかくの週末、家でのんびりしようと思ったのに、犬の散歩でずぶ濡れになるなんてまっぴらごめんだ」と思うイギリス人は少なくないだろう。

猫ならば、そんな心配はない。むしろ猫は「雨? そんなもの、外に出る理由にならない」と言わんばかりに家にこもる。そして、暖炉の前で丸まって寝る。飼い主もそれを見て「そうだね、外なんか出たくないよね」と同調する。犬との生活が「義務感と労働」に満ちているとすれば、猫との生活は「共存と自由」に満ちているのだ。

3. 「しつけ」という概念が希薄なイギリス人

犬を飼うなら、最低限のしつけが必要だ。しかし、イギリス人が本当にしつけを得意としているかというと、疑問が残る。何しろ、子供ですら自由奔放に育てる国民性なのだから、犬に対して「おすわり」「待て」を徹底するのは至難の業だ。

猫ならば、その心配はいらない。そもそも猫はしつける必要がない。というより、しつけようと思ったところで、猫が言うことを聞くはずがない。イギリス人は「しつけるべき相手」を求めていない。むしろ「自然体で共存できる相手」を好むのだ。だから、自由気ままな猫の方が性に合っているのである。

4. イギリス人の「労働嫌い」と猫の親和性

「できるだけ働きたくない」というのは、イギリス人の密かな願望だ。もちろん、ちゃんと働いている人もいるが、基本的に「なるべく楽したい」という気持ちが強い。その点で言えば、犬を飼うことはまるでフルタイムの仕事のようなものだ。

犬を飼えば、朝早く起きて散歩、エサを準備し、運動させ、シャンプーしてやる必要がある。休日だからといって、朝寝坊することは許されない。一方で、猫はというと「朝起きたら勝手に自分で食事をし、好きな時に昼寝をする」という素晴らしいライフスタイルを持っている。飼い主がダラダラしていようが、猫も「まあ、どうでもいいか」と思っているので、相性は抜群なのだ。

5. イギリスの犬派は貴族?

もちろん、犬好きのイギリス人もいる。特に、イギリスの貴族層は犬を好む傾向がある。エリザベス女王とコーギーの関係が良い例だ。しかし、これは単なる「上流階級の趣味」にすぎない。

一般庶民はどうか? 彼らは「散歩の時間? そんな余裕はない」「しつけ? そんな手間はかけられない」と思っている。そして「紅茶を飲みながら、窓際でのんびりできるペットがいいな」という結論に達するのだ。

結論:イギリス人と猫は最高の相棒

結局のところ、イギリス人が猫を好む理由は単純明快だ。猫は「手がかからない」「自由気まま」「散歩不要」「しつけ不要」というメリットを兼ね備えている。そして、それこそがイギリス人のライフスタイルにぴったりなのだ。

犬派の皆さん、ごめんなさい。あなた方のペットは素晴らしいですが、イギリス人にとっては「ちょっと手がかかりすぎる」のかもしれませんね。

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