
はじめに
音楽の本場ともいえるイギリスでは、ロックやポップ、エレクトロニカ、クラシックなど多様なジャンルのコンサートが年間を通じて開催されています。特にロンドン、マンチェスター、バーミンガム、グラスゴーといった都市では、世界的に有名なアーティストやバンドのライブが頻繁に行われ、多くの音楽ファンがそのチケットを求めて争奪戦を繰り広げます。
本記事では、イギリスにおける有名アーティストのコンサートチケットの価格帯や、チケット予約の難しさ、さらに深刻化するチケット転売問題について詳しく掘り下げます。
コンサートチケットの価格帯:アーティストによって異なる料金設定
一般的な価格帯
イギリスで開催される有名アーティストのコンサートチケットの価格は、アーティストの人気度、会場の規模、座席の位置、日程などによって大きく異なります。以下におおよその価格帯を示します。
チケット種別 | 価格帯(ポンド) | 日本円換算(1ポンド=約190円として) |
---|---|---|
一般スタンディング席 | £40〜£80 | 約7,600円〜15,200円 |
指定席(中段) | £60〜£120 | 約11,400円〜22,800円 |
VIP席・プレミア席 | £150〜£500以上 | 約28,500円〜95,000円以上 |
例えば、エド・シーラン(Ed Sheeran)やデュア・リパ(Dua Lipa)、アデル(Adele)などのチケットは、発売直後に完売することも珍しくなく、定価でも比較的高額になる傾向があります。
会場別の傾向
- O2アリーナ(ロンドン)
約2万人収容可能。チケット価格は中程度から高額まで幅広い。 - ウェンブリー・スタジアム
超大規模イベントで使用。大規模なアーティスト(例:テイラー・スウィフト、ビヨンセ)のコンサートでは、一般席でも£100前後になることが多い。 - ロイヤル・アルバート・ホール
クラシックやアコースティック寄りの公演が中心で、価格は£50〜£150が一般的。
チケット予約の現状:簡単か、それとも争奪戦か?
オンライン販売が主流
イギリスでは、以下のような大手チケット販売サイトを通じて予約が行われます。
- Ticketmaster UK
- See Tickets
- AXS UK
- Eventim UK
- Gigantic
これらのサイトでは、販売開始日・時間が事前に告知され、開始直後には数万人規模のアクセスが殺到します。そのため、人気アーティストのチケットは数分以内に完売することも珍しくありません。
プリセール(Pre-sale)の存在
ファンクラブ会員やクレジットカード会社の会員向けに、一般販売よりも早くチケットが販売される「プリセール」が存在します。これにより、一般販売で購入できる枚数は限られている場合も多く、実際には予約は非常に困難であることが多いのが実情です。
実際の購入難易度
- 人気アーティスト(例:BTS, Taylor Swift)
→ 販売開始と同時にログインしても購入できないことがある。ボット対策も導入されているが、依然として難易度は高い。 - 中堅アーティスト(例:Snow Patrol, Florence and the Machine)
→ 発売後数時間〜数日で完売する傾向。多少余裕はある。 - 新進気鋭のアーティスト
→ 比較的取りやすく、直前でもチケットが入手できる場合が多い。
転売屋の存在とその影響
「転売屋(Scalpers)」はイギリスにも存在する
日本と同様に、イギリスでも転売目的でチケットを大量購入する業者や個人が存在します。彼らは公式チケット発売と同時に自動化された「ボット」を使ってチケットを買い占め、後に定価の2倍〜10倍の価格で転売サイトに出品します。
転売に使われる主なプラットフォーム
- Viagogo
- StubHub
- TicketSwap
- Facebook Marketplace
これらのプラットフォームでは、公式に認められていないチケットも多数出品されており、詐欺の被害に遭うリスクもあります。中には偽造チケットが出回ることもあり、注意が必要です。
政府と業界の対応
イギリス政府は2017年、「デジタル経済法」に基づいて転売問題への対処を強化しました。また、いくつかの興行団体やアーティスト側も、転売無効措置(例:本人確認付き電子チケット)の導入を進めています。
たとえば、エド・シーランは2018年のツアーで、Viagogoなどの転売サイト経由で購入されたチケットの無効化を行い、正規販売ルート以外の購入者の入場を拒否しました。
対策とおすすめの購入方法
チケット購入のコツ
- 事前登録・アカウント作成を済ませておく
販売前にログインし、決済情報を登録しておくことで購入時間を短縮できます。 - 複数のデバイスを使ってアクセスする
スマホ、タブレット、PCを併用するとチャンスが増える可能性があります。 - プリセールを利用する
ファンクラブやクレカ会員の特典を活用することで、先行入手の可能性が高まります。 - 定価取引のみのサイトを利用する
Twickets(定価以下のみで転売が可能)など、正規取引を重視するプラットフォームがおすすめです。
まとめ
イギリスにおける有名アーティストのコンサートは、音楽ファンにとって一大イベントであり、そのチケットを巡る争奪戦は激しさを増しています。チケットの価格はリーズナブルなものから高額なVIP席までさまざまですが、人気アーティストの場合、予約は決して簡単ではありません。
さらに、転売問題は深刻であり、ファンが正当な価格でライブに参加できるよう、業界全体の対応が求められています。コンサートを安全かつ楽しむためには、公式ルートからの購入やプリセールの活用、転売チケットの回避など、ユーザー自身の意識も重要です。
音楽の魅力を最大限に楽しむために、正規の手段でのチケット取得を心がけ、素晴らしいライブ体験をイギリスで手にしていただければと思います。
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