ロンドンの賃貸物件における大家の実態:対応の悪さと対処法

ロンドンに住んでいる人々の間で、大家(ランドロード)が何もしてくれないという不満を持っている人は決して少なくありません。むしろ、ロンドンの賃貸市場において、大家が全く対応してくれないケースは珍しくないのが現実です。

「水漏れがあるのにバケツを置いておけと言われただけ」「真冬にボイラーが壊れてもまったく修理してくれない」「住み始めて1カ月もたたないうちにキッチンの配管が詰まったが、大家に『お前の責任だから自分で直せ』と言われた」など、こうしたエピソードは決して例外ではありません。

本記事では、ロンドンの賃貸物件における大家の実態と、困ったときの対処法について詳しく解説していきます。

1. ロンドンの大家が「何もしない」理由

1-1. 需要が高すぎる賃貸市場

ロンドンの賃貸市場は非常に需要が高く、家賃を支払える人が常にいるため、大家は物件の管理に熱心ではありません。入居者が不満を持って退去しても、すぐに新しい借り手が見つかるため、長期的な関係を築こうとする意識が低いのです。

1-2. 修理費をできるだけ抑えたい

大家は基本的に利益を最大化しようとします。そのため、修理費をできるだけ支払いたくないと考えています。例えば、水漏れが発生しても「バケツを置いて対処してくれ」と指示することで、業者を呼ぶコストを回避しようとするわけです。

1-3. 法律の抜け穴を利用して責任逃れ

イギリスの法律では、大家が一定の責任を負うことが義務付けられていますが、その範囲が曖昧な場合もあります。例えば、配管の詰まりに関しては「使用者の過失」であると主張されることが多く、責任を回避するケースが多発しています。

2. よくある大家の無責任な対応と事例

2-1. 水漏れに関する対応

事例: 「天井から水が漏れていると大家に報告したところ、『バケツを置いて様子を見ろ』と言われ、修理の手配を全くしてもらえなかった。仕方なく業者を手配したが、その費用を大家が負担することを拒否した。」

解説: 水漏れは建物の構造的な問題であるため、基本的には大家の責任です。しかし、多くの大家は修理費を負担したくないため、簡単に済ませようとします。

2-2. ボイラーの故障

事例: 「冬場にボイラーが壊れ、暖房もお湯も使えなくなった。大家に何度も連絡したが、まったく修理してくれなかった。」

解説: イギリスの賃貸法では、暖房とお湯の供給は最低限保証されるべきものです。しかし、多くの大家は修理を先延ばしにし、入居者が我慢することを期待します。

2-3. 配管の詰まり

事例: 「住み始めて1カ月もたっていないのに、キッチンの配管が詰まった。大家に相談したが、『お前の使い方が悪いのだから、自分でなんとかしろ』と言われた。」

解説: 配管の詰まりは、前の入居者が残した問題である場合も多く、本来は大家の責任ですが、できる限り費用を負担しないように責任転嫁するケースがよく見られます。

3. どう対処すればいいのか?

3-1. 契約書を確認する

まず、賃貸契約書(Tenancy Agreement)を確認し、大家の責任が明記されているかどうかをチェックしましょう。多くの場合、基本的な修理義務は大家にあります。

3-2. 書面で正式に通知する

口頭で伝えるだけでは、大家は対応しないことが多いため、Eメールや書面で正式に通知しましょう。具体的な問題と修理の必要性を明確に伝え、期限を設定すると効果的です。

3-3. 市役所や住宅トラブル相談窓口に相談する

イギリスには、住宅トラブルを相談できる公的機関があります。

  • Citizens Advice(市民アドバイスセンター):無料で法律相談が受けられる
  • Local Council(市役所):健康や安全に関わる問題がある場合、調査を行う
  • Shelter(住宅支援団体):住宅問題に関する専門的なアドバイスを提供

3-4. 修理費用を差し引く(Repair and Deduct)

法律的には、自費で修理を行い、その費用を家賃から差し引くことが認められる場合があります。ただし、これを行う際は事前に大家に通知し、証拠を残しておくことが重要です。

3-5. 小額訴訟(Small Claims Court)を利用する

もし大家が修理費用の負担を拒否した場合、小額訴訟を起こすことも選択肢の一つです。特に、修理の放置が健康や安全に悪影響を及ぼす場合、裁判所が大家に対して修理を命じる可能性があります。

まとめ:泣き寝入りしないために

ロンドンの大家は基本的に利益最優先で、入居者の生活の質には無関心なケースが多々あります。しかし、入居者には権利があり、適切に行動すれば問題を解決することも可能です。

  • 契約書を確認し、大家の責任を明確にする
  • 書面で修理を正式に依頼する
  • 公的機関に相談し、法的手続きを検討する
  • 必要なら自費で修理し、費用を家賃から差し引く

何よりも重要なのは、「大家の言いなりにならず、自分の権利を主張すること」です。泣き寝入りせず、適切な手段を講じて問題を解決していきましょう。

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