日本人にとってイギリスは本当に安全なのか――「殺害事件がない」理由を文化的背景から探る

世界各国で日本人が殺害されたというニュースは毎年のように耳にする。旅行者や留学生、ビジネスマンなどが不幸にも犯罪に巻き込まれて命を落とす事件は、南米やアジア、欧米諸国でも時折報道される。しかし不思議なことに、「イギリスで日本人が殺された」というニュースはほとんど聞かない。これは単なる偶然なのだろうか。それとも日本人特有の行動様式や文化的背景が大きく関わっているのだろうか。


英語力の低さが「衝突」を避ける

一つの理由として、日本人の英語力の問題がある。多くの日本人は英語を長年学んでいるにもかかわらず、会話には苦手意識を抱いている。そのため、留学や観光でイギリスを訪れても現地の人と積極的に深く関わろうとしない傾向がある。結果として、現地の人との衝突や口論に発展する場面が少ないのだ。

韓国人や中国人は日本人よりも英語力が高いとされるが、その分現地社会に踏み込み、摩擦を経験することもある。日本人は「英語が分からない」という壁と、シャイで控えめな性格によって、トラブルの火種から自然と距離を置いている。英語力の不足が皮肉にも「安全弁」として働いているとも言える。


危険な場所を避ける日本人の行動パターン

日本人は基本的に危険な地域や時間帯を避けて行動する。観光客であれば有名な観光地や文化的なスポットを中心に動き、治安の悪いエリアや深夜の繁華街にわざわざ足を運ぶことは少ない。留学生や駐在員も、比較的安全とされるエリアに住むことが多い。

小さい頃から「夜道は気をつけなさい」「知らない人について行ってはいけない」と教育される文化も影響しており、危険を直感的に避ける能力が他国の人よりも高いのかもしれない。たとえ言葉が分からなくても、雰囲気や表情から危険を察して近づかない、そうした無意識の自己防衛が働いていると考えられる。


非暴力的な国民性がもたらす安心感

日本人の「非暴力的な国民性」も無視できない。日本人は争いを避け、自己主張を控える傾向が強い。酒に酔って騒ぐことはあっても、殴り合いや暴力に発展することは少ない。そのためイギリス社会においても「害のない存在」として認識されやすい。他の外国人に対して偏見や敵意を抱く人がいたとしても、暴力的でもなく目立ちもしない日本人にわざわざ攻撃の矛先を向けることは稀だろう。


「殺されない」けれど「盗まれやすい」日本人

もっとも、イギリスに住む日本人が全く被害に遭わないわけではない。むしろ殺人事件は少ないが、スリや置き引き、強盗の被害は相当数ある。最大の理由は「平和ボケ」だ。

日本ではカフェやファストフード店で席を確保する際、バッグやスマートフォンを机の上に置いたまま離れても盗まれる心配は少ない。しかしイギリスを含むヨーロッパでは、それは「どうぞお取りください」と言っているに等しい。つい日本での感覚を持ち込んでしまい、被害に遭う日本人が後を絶たない。実際に留学生や観光客の体験談を聞くと「財布をすられた」「スマホを取られた」という話は珍しくない。

命の危険は低いが、金品を狙われやすい存在として見られているのは間違いない。つまり、イギリスは日本人にとって「殺されにくいが、盗まれやすい国」と言えるだろう。


安全に過ごすための心得

イギリスで日本人が安全に暮らす、あるいは旅行を楽しむために大切なことは、日常的な警戒心を忘れないことだ。具体的には、以下のような点に注意すべきである。

  1. 貴重品を机に置いたまま離れない ― 最もやりがちなミスであり、盗難の格好の機会を与えてしまう。
  2. 夜間の一人歩きを避ける ― 特にロンドンの一部エリアは治安に不安がある。
  3. 公共交通機関ではバッグを前に抱える ― 地下鉄やバスはスリが多発する。
  4. 親切すぎる人に警戒する ― 声をかけてくる人が共犯者の可能性もある。
  5. 「自分は大丈夫」と思わない ― 日本の感覚を持ち込まないことが最大の防衛策である。

結論

イギリスで日本人が殺害される事件が少ないのは、偶然ではなく、英語力の低さや控えめな性格、危険回避の行動様式、非暴力的な国民性といった複数の要因が作用している結果だと考えられる。ただし、それに安心しきるのは危険である。命の危険は少なくても、財産を狙われるリスクは高い。

イギリスは「殺されないが盗まれやすい国」である。この二面性を理解し、日常的に警戒心を持って行動することこそが、本当の意味での安全につながるのだ。

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