
はじめに
オックスフォード大学は、世界的に高い評価を受けるイギリスの名門大学の一つであり、歴史的にも学問の中心としての役割を果たしてきました。その一方で、長年にわたって「エリート主義」や「社会的多様性の欠如」といった課題も指摘されてきました。しかし近年、オックスフォード大学は多様性の向上に力を入れており、その取り組みが着実に成果を上げています。
特に、イギリス国内出身の学生に関しては、少数民族(BME: Black and Minority Ethnic)グループの割合が増加しており、社会全体の多様化を反映する形で進展が見られます。本記事では、オックスフォード大学の多様性に関するデータを詳細に分析し、その背景や影響について掘り下げます。
BME学生の割合の推移
全体の傾向
2023年の入学者データによると、イギリス国内出身の学生のうちBME学生の割合は 28.8% に達しました。この数字は、2019年の 22.0% から大幅に増加しており、大学の多様性促進の取り組みが成果を上げていることを示しています。
年度 | BME学生割合 |
2019 | 22.0% |
2020 | 23.5% |
2021 | 25.4% |
2022 | 27.1% |
2023 | 28.8% |
この上昇の背景には、大学側の積極的な広報活動や奨学金制度の拡充、そして社会全体における教育の平等性向上の流れがあります。
人種・民族別の詳細分析
BME学生の中でも、アジア系、バングラデシュ系およびパキスタン系、ブラック・アフリカ系およびブラック・カリブ系、混合的背景を持つ学生の割合について詳細に見ていきます。
アジア系学生
アジア系学生の割合も増加傾向にあります。2019年には 9.6% だったのが、2023年には 13.1% へと上昇しました。
年度 | アジア系学生割合 |
2019 | 9.6% |
2020 | 10.5% |
2021 | 11.3% |
2022 | 12.0% |
2023 | 13.1% |
この増加は、特にイギリス国内におけるアジア系コミュニティの教育水準の向上や、大学が提供する奨学金制度の利用が進んだことが影響していると考えられます。
バングラデシュ系およびパキスタン系学生
バングラデシュ系およびパキスタン系の学生も増加しています。2019年には 2.1% を占めていましたが、2023年には 3.0% へと上昇しました。
年度 | バングラデシュ系およびパキスタン系割合 |
2019 | 2.1% |
2020 | 2.4% |
2021 | 2.6% |
2022 | 2.8% |
2023 | 3.0% |
これらのコミュニティからの応募者数の増加は、大学側の積極的な受け入れ姿勢や、特定の地域に焦点を当てた啓発活動によるものと考えられます。
ブラック・アフリカ系およびブラック・カリブ系学生
ブラック・アフリカ系およびブラック・カリブ系の学生の割合も増加傾向にあります。2019年には 3.2% だったのが、2023年には 3.6% となっています。
年度 | ブラック・アフリカ系およびブラック・カリブ系割合 |
2019 | 3.2% |
2020 | 3.3% |
2021 | 3.4% |
2022 | 3.5% |
2023 | 3.6% |
この増加の背景には、大学の多様性推進プログラムや、Black Access Programme などの支援制度の拡充があります。
混合的背景を持つ学生
混合的な人種的背景を持つ学生の割合も増加しています。2019年には 8.1% だったのが、2023年には 9.8% に達しました。
年度 | 混合的背景の学生割合 |
2019 | 8.1% |
2020 | 8.5% |
2021 | 8.9% |
2022 | 9.3% |
2023 | 9.8% |
この増加は、イギリス全体で人種的な混合が進んでいることを反映していると考えられます。
多様性促進のための大学の取り組み
オックスフォード大学では、多様性を促進するためにいくつかの重要な施策を展開しています。
- アクセス・アウトリーチプログラム:
- 低所得層やマイノリティ出身の学生向けの特別な入学支援制度。
- 各地域での学校訪問やワークショップを実施。
- 奨学金制度の拡充:
- BME学生向けの特別奨学金の創設。
- 低所得層の学生に対する授業料免除や生活費補助。
- 教職員の多様化:
- 教員の多様性を促進し、マイノリティ出身の教授を増やす取り組み。
まとめ
オックスフォード大学は、ここ数年で多様性の促進に積極的に取り組み、その結果としてBME学生の割合が着実に増加しています。特に、アジア系、バングラデシュ系およびパキスタン系、ブラック・アフリカ系およびブラック・カリブ系、混合的背景を持つ学生の割合が上昇しており、大学の施策が功を奏していることが分かります。今後もこの流れが続くことで、より多様な学問環境が形成されることが期待されます。
コメント