
イギリスでは、真新しいピカピカのスニーカーよりも、少し履きならされて“味”が出てきたスニーカーを好むスタイルが根強くあります。その背景には、UK特有のカルチャーや階級意識、ファッションの価値観が色濃く影響しています。
1. なぜ“履きならされた感”が好まれるのか?
■ カジュアルに根差した価値観
イギリスでは“ちょっとラフ”なスタイルが好まれます。とくに若者やサブカル系ファッション層は「気取りすぎていない」「リアルな生活感」がある装いに好感を持ちます。新品スニーカーは「頑張りすぎ」「気取りすぎ」と見られることも。
■ 音楽・ストリートカルチャーの影響
ブリットポップやパンク文化では、完璧に整ったルックよりも、ユーズド感のあるアイテムがリアルで格好いいとされてきました。スニーカーも同様です。
■ 環境意識・サステナビリティ
“履き続けること”自体がエコであり、物を大切にする価値観とつながっています。
2. UKで好まれる「履きならしやすいスニーカー」ブランド・モデル
★ Adidas Samba / Gazelle / Spezial
- スエード素材やガムソールは時間と共に味が出やすく、履き皺も魅力に。特にSamba OGは履き込むほどクラシックな風合いに。
★ Converse Chuck Taylor
- 白キャンバスの「少し汚れた感じ」がむしろスタイルに。「履き潰し感」込みで完成するルック。
★ Vans Old Skool / Authentic
- ロンドンのスケート・カルチャーとも相性抜群。汚れや色落ちが“個性”になるスニーカー。
★ New Balance 574 / 990シリーズ
- グレー系の落ち着いたカラーは、色褪せてもなおスタイリッシュ。ソールの擦り減りすら「リアルな味」として愛されます。
★ Clarks Tor Run(UKブランド)
- スニーカーとレザーシューズの中間のような風合いで、履き皺やエイジングが楽しめるモデル。特にUK中高年層に人気。
3. 「わざと古く見せる」カルチャー:Pre-distressed sneakers
イギリスの一部ファッショニスタは「履き慣れた感の演出」を目的に、あえて汚したり加工を施すことも。ヴィンテージショップやマーケット(Portobello Roadなど)では、程よく履き込まれた中古スニーカーが人気です。
また、Golden Gooseなどの“最初から汚れている高級スニーカー”も限定的に人気ですが、イギリス人の多くは「本当に履き込んだ方がカッコいい」と考える傾向があります。
4. まとめ:新品より“物語”を重視するスタイル
イギリスにおけるスニーカースタイルは、「真新しさ」よりも「履いた年数」「自分らしさ」「過ごした時間」が価値になります。少し擦れたレザー、薄くなったソール、スエードの変色……それら全てが、スニーカーに深みと個性を与えてくれるのです。
英国紳士が長年履いた革靴に価値を見出すように、スニーカーにも“育てる”文化が根付き始めているのかもしれません。
おすすめの履きならしスタイル:
- ダークジーンズ+Sambaのスレ感
- ロールアップしたチノ+汚れたVans
- グレーのスウェット+くたびれたNB990
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