英国における天災の風景:ストームとその影響

天災といえば、日本では地震が代表的な自然災害です。特に南海トラフ地震が注目されるように、大規模な地震に対する備えが重要視されています。一方、英国では地震がほとんど発生せず、自然災害と言えば「ストーム(嵐)」が中心となります。この記事では、英国のストームに関する事情と、同国が観光地としていまいち評価されていない背景について探っていきます。

英国の天災:嵐と洪水

英国では地震はほぼ皆無であり、その代わりに「ストーム」と呼ばれる嵐が頻繁に発生します。とはいえ、日本のように台風や猛烈な暴風雨で家が吹き飛ばされるような被害は少なく、どちらかというと強風や大雨による局地的な被害が特徴です。多くの場合、ストームによる風の強さは日本でいう「強風」レベルで、そこまで深刻な被害をもたらすことは少ないと言えるでしょう。

ただし、大雨が降った際には、その後に洪水が発生することがあります。特に、河川の増水によって床下浸水や床上浸水が起き、住宅や建物に損害が出ることもあります。こうした洪水の被害は主に一部の地域に限定されており、ロンドン市内ではそれほど頻繁に見られるものではありません。

地形の影響:山や土砂崩れの少なさ

英国には険しい山岳地帯が少ないため、土砂崩れのリスクも非常に低いです。スコットランドの一部では多くの雪が降ることがありますが、イングランド南部やロンドン周辺では雪は年に1、2回程度しか降りません。したがって、雪による混乱も他国と比べれば限定的です。例えば、日本の北陸地方や北海道が毎年冬に大雪と格闘する状況とは大きく異なり、英国の冬は比較的穏やかです。

英国が観光地としていまいち評価されない理由

これほどまでに天災が少なく、自然災害に対する心配があまりない国であるにもかかわらず、英国は観光地としてはあまり高評価を受けていない傾向にあります。天災も戦争も少なく、治安も比較的良い国ですが、なぜ多くの観光客はフランスやイタリア、スペインなどの他のヨーロッパ諸国を選び、英国はそれほど観光のメインディッシュにされないのでしょうか?

理由1:天気の悪さ

一番大きな理由として挙げられるのが、英国の「天気の悪さ」です。英国の天気は、とにかく変わりやすく、年中どんよりした曇りや雨が続くことが多いです。特に観光客が期待するような、青空の広がる日々はかなり稀です。旅行者が高いお金を払って英国にやってきたとしても、ずっと雨や曇りの日が続いては、期待していたアウトドア活動ができず、室内で過ごす時間が増えてしまいます。観光名所を歩いて回る予定が、雨のために断念せざるを得なくなるというのは、旅行の大きなマイナス要素です。

例えば、ロンドンの象徴的な観光地であるビッグ・ベンやバッキンガム宮殿を訪れた際も、雨や曇りの中ではその魅力が半減してしまうでしょう。写真を撮ってもどんよりとした背景が映り込み、天気の良い地中海沿岸の明るい風景とは対照的です。これでは、せっかくの旅の思い出もどこか物足りなく感じられるかもしれません。

理由2:食事の選択肢

次に、英国が観光地として敬遠されがちなもう一つの理由は、食事に対する期待が低いことです。イタリアやフランスといった国々は、美食の国として名高く、食文化が豊かです。旅行の楽しみの一つとして、美味しい地元料理を味わうことは欠かせない要素ですが、英国料理は世界的にはあまり高い評価を受けていないのが現状です。

もちろん、近年は多国籍料理のレストランが増え、ロンドンを中心に美食の選択肢が広がりつつありますが、一般的には「英国料理=フィッシュ・アンド・チップス」といった単調なイメージが根強いです。さらに、物価の高さも観光客にとっては大きなハードルとなります。高い料金を払っても、それに見合う食事が得られるかどうかが不確実だと、やはり他の国に目が向くのは自然な流れです。

理由3:EU離脱の影響

もう一つの要因として、英国のEU離脱(ブレグジット)も観光業に影響を与えています。EUからの離脱により、EU諸国からの旅行者にとって英国は以前よりも訪れにくい場所となりました。これまではビザや通貨の問題が少なかったEU内の旅行が、離脱後には手続きが増えたため、観光客の流れが減少している可能性があります。

英国人自体も、EU離脱後にはヨーロッパへの旅行が減少しているとされていますが、それに伴って国内旅行が増加しているかというと、必ずしもそうではありません。多くの英国人は依然として、国外への旅行を選び続けています。特に、欧州以外の国々や、為替レートの有利な地域への旅行が人気を集めています。

日本への影響と英国からの観光客

一方で、英国の観光客が増加している地域として注目されているのが日本です。近年、円安が続いており、英国から日本への旅行が比較的安価になっていることが背景にあります。英国人にとって、独特な文化や歴史、美しい自然が広がる日本は非常に魅力的な旅行先であり、特に京都や東京、北海道といった都市は人気が高まっています。これも、英国国内の天気や観光の物足りなさが影響していると言えるでしょう。

まとめ

英国は地震や台風のような大きな自然災害に悩まされることがほとんどない国ですが、その代わりにストーム(嵐)による洪水が時折問題となります。また、天候不良や食事に対する評価、ブレグジットによる影響が重なり、観光地としては他のヨーロッパ諸国に劣る面があります。それでも、日本への旅行者が増加しているように、英国人にとっても国外旅行は今後も重要な娯楽の一つとなるでしょう。

また、英国自身も、他国からの観光客を増やすために、天気に左右されない室内アクティビティの充実や、食文化の多様化に力を入れていく必要があるかもしれません。

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