若い女性が誘拐され殺害される事件 ロンドン南西部の町クラプハムに住む33歳のイギリス人女性サラ・エヴァラードさんが殺害されるという事件が発生しました。3月3日夜の9時ごろ友人宅をあとにしたエヴァラードさんは9時30分に一般家庭で取りつけているインターフォンのカメラに写っていたのを最後に行方がわからなくなっていました。1週間後エヴァラードさんの住む町クラプハムから90キロ離れたケント州の森林で遺体が発見されました。数日後、容疑者として逮捕されたのはケント州に住む警察官のウエイン・コーゼンズ(48歳)でした。 各地でおこるデモ エヴァラードさんが国民を危険から守るはずの警察に殺害されたということで女性中心のなったデモが起こっています。警察という国家権力が起こした事件をイギリス人が見過ごすはずがありません警察という立場を利用して、エヴァラードさんに近付き、殺したのかどうかは定かではありません。逮捕された犯人の公判は今も続いています。 確かにおぞましい事件ではあるが、少し騒ぎすぎではないか? 確かに警察官が一般市民を殺害するというショッキングな事件ではありますが、警察官も人間です。精神的におかしくなってしまうひともいれば間違いをおかしてしまうひともいます。イギリス人が騒いでいるのは本当の理由はそこではなく、もっと根深いところにあるのではないかと思っています。 黒人差別批判に対する白人の逆襲 少し前にアメリカで警察官が黒人を射殺する事件があり、そのあと世界各地で抗議デモが起きました。イギリスでもロンドンをはじめいろいろところでデモが行われました。差別に虐げられてきたマイノリティがデモやメディアをとおして白人のゆるぎなかった立場をおびやかしはじめました。今でもテレビなどでは人種差別をテーマにした特別番組が毎週のように放送されています。さらにここへきてヘンリー王子がイギリス王室での差別を告発したことにより、人種差別はコロナウィルスをぬき今いちばんの話題となっています。今回の白人女性が殺害された事件は、今まで差別にあっていなかった白人にとって世間に逆襲する場を与えたのです。白人女性が弱者の代表になれたのです。 マイノリティが被害者となってはじめて国が動く イギリスという国はつくづく白人社会だと痛感します。昨年6月にウェンブリーという町で若い黒人の姉妹が刺されて殺されるという事件がありました。しかし、この事件は地方のテレビ放送で一瞬取り上げられただけで、全国放送にすらなりませんでした。この違いはいったいなんなのでしょうか。サラ・エヴァラードさんという金髪で青い目をしたきれいな女性が殺害されたことが連日連夜放送され、新聞でも何日も一面を飾っています。過熱報道としか思えません。そうです、白人女性だったからここまで騒がれているのです。ジョンソン英首相も事件についてコメントをする始末です。メディアをはじめ多くの著名人は今後こういった事件が起きないように警察の数を増やすと言いだしました。イギリスは、これからもどんどん人種差別主義の色を強くしていくつもりでしょうか。