はじめに
がんの種類には国ごとの大きな偏りがある。イギリスでは多く見られる一方、日本では比較的少ないがんが存在する。
この違いは、医療水準の差ではなく、生活習慣・体格・文化・環境の違いを色濃く反映している。
イギリスで多く、日本で少ない主ながん
1. 乳がん
乳がんはイギリスで最も多いがんであり、女性のがん罹患の中心を占めている。一方、日本でも増加しているものの、罹患率は欧米より低い水準にとどまっている。
背景にある要因
- 高脂肪・高カロリー食
- 肥満率の高さ
- 出産年齢の上昇、出産回数の少なさ
- アルコール摂取量
脂肪組織は女性ホルモンに影響を与えるため、肥満は乳がんリスクを高める重要な因子とされる。
2. 前立腺がん
前立腺がんはイギリスでは男性で最も多いがんの一つである。日本でも患者数は増えているが、年齢調整罹患率では依然として低い。
背景にある要因
- 動物性脂肪の多い食事
- 肥満・運動不足
- PSA検査の普及による発見数の増加
特に欧米では、検診によって早期に見つかる症例が多く、「多い=重症が多い」とは限らない点も重要である。
3. 悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、イギリスでは比較的よく見られるが、日本ではまれながんである。
背景にある要因
- 白人に多い皮膚タイプ
- 紫外線への感受性の違い
- 日光浴・日焼け文化
日本人では発生自体が少ないが、足の裏や爪などにできやすく、見逃されやすい点が特徴だ。
4. 若年層の大腸がん
イギリスでは、50歳未満の若年層における大腸がんの増加が問題視されている。日本では主に高齢者に多く、若年層では比較的少ない。
背景にある要因
- 加工肉・赤身肉の多量摂取
- 食物繊維不足
- 運動不足
- 肥満
これは「欧米型食生活」の典型的な影響と考えられている。
なぜ国でここまで違いが出るのか
イギリス型がんと日本型がんの違いは、次の要素の組み合わせで説明される。
- 食生活(脂肪・肉・加工食品)
- 肥満率
- 紫外線環境と人種的背景
- 検診制度(発見されやすさ)
- 長期的な生活習慣の積み重ね
つまり、がんは突然その国で生まれるものではなく、何十年もの生活の結果として現れる。
日本では少ないが、今後増える可能性
食生活の欧米化と肥満率の上昇により、日本でも
- 乳がん
- 前立腺がん
- 大腸がん
は今後さらに増えると予測されている。日本は「日本型がん」と「イギリス型がん」が同時に存在する時代に入りつつある。
まとめ
- ✔ イギリスでは乳がん・前立腺がん・悪性黒色腫が多い
- ✔ 日本では相対的に少ないが、増加傾向のものもある
- ✔ 違いの本質は医療ではなく、生活習慣と環境
がんの国差を知ることは、未来の自分の健康リスクを知ることでもある。










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