アメリカがイランへの攻撃を開始してから、すでに1週間以上が経過している。英国ではこの出来事に関する報道は行われているものの、その内容には一定の偏りが見られるように感じられる。
英国内の報道では、死亡者数については発表されるものの、イラン国内でどのような被害が発生しているのかという具体的な状況については、あまり深く触れられていない。
一方で、イスラエル国内で発生している被害については、ほぼ毎日のように詳細な報道が行われている。この対照的な報じ方に対して、疑問を抱く人も少なくないだろう。
「イラン入国ができない」という噂
最近、英国内ではある噂が広がっている。
それは、アメリカ側についている国の報道機関は、イランへ入国できない状態になっているのではないかというものだ。
もしこれが事実であるならば、英国の報道機関がイラン国内の状況を詳しく伝えられない理由の一つとして説明がつく。しかし、この点について公式に明確な説明がなされているわけではなく、あくまで噂の域を出ていない。
国内のイラン人コミュニティへの配慮
もう一つ考えられる理由として、英国国内の社会状況がある。
英国には、およそ15万人のイラン人が滞在しているといわれている。
もしイラン国内での被害状況を詳細に報道すれば、それが英国に住むイラン人コミュニティを刺激してしまう可能性がある。そうした事態を避けるため、あえて報道の内容を抑えているのではないか、という見方も存在する。
英国社会では、イスラエル人よりもイラン人の方が「野蛮で攻撃的である」というイメージを持つ人が一定数いるともいわれている。そのような先入観がある社会においては、報道の仕方が社会不安に影響することを懸念する声が出るのも無理はない。
報道の偏りは何を意味するのか
報道機関が偏った報道をすることには、単なる情報提供以上の意味がある。
それは、国民に対して「自分たちの国はどちら側に立っているのか」を、直接的ではなく、やんわりと伝える役割を果たしている可能性があるという点だ。
もちろん、ある人にとって偏って見える報道であっても、別の立場の人間から見れば、それは必ずしも偏っているとは感じられないこともある。
つまり、報道の評価は、見る側の立場や価値観によって大きく変わるということでもある。
BBCの発言の意味
英国の公営放送であるBBCは、「現在、イランでの報道ができない状態にある」と発言している。
しかし、この言葉の裏には別の事情があるのではないかとも考えられる。
たとえば「報道はできるが、ある理由があってできない」と具体的に説明してしまうと、それがイラン側の人々を刺激してしまう可能性がある。そうしたリスクを避けるため、あえて「報道ができない状態」とだけ説明しているのではないか、という見方もある。
実際には、他国の報道機関はイラン国内の被害状況を報じている。日本のメディアも同様であり、イランで起きている出来事について一定の情報を伝えている。
アメリカの姿勢への疑問
それにしても、アメリカという国の姿勢には疑問を感じざるを得ない。
自ら攻撃を開始しておきながら、相手には無条件降伏以外を受け入れないという姿勢を取っているように見えるからだ。
こうした状況に対して、アメリカ国民がどのように考えているのかは気になるところである。
にもかかわらず、アメリカ国内で大きな反乱や抗議運動が起きていないことを不思議に感じる人もいるだろう。
恐怖による沈黙という見方
一部では、仮に現在のアメリカで大規模な反乱を起こそうとすれば、警察や移民税関捜査局(ICE)によって鎮圧されてしまうのではないかという見方もある。
そうした恐怖があるため、人々は行動を起こすことができないのではないか、という意見も存在する。
さらに、トランプという強い権力を持つ指導者によって、アメリカという国が変わってしまったと感じている人もいる。
英国の状況も決して安心ではない
とはいえ、私が住んでいる英国の状況が良いかといえば、それもまた微妙である。
最近では、ロンドン市内やロンドン近郊で、イスラム系の移民が「イランのスパイ容疑」で逮捕されたというニュースが報じられている。
こうした出来事を見ると、「イスラム系である」というだけで警察に目をつけられてしまう可能性があるのではないかという不安も生まれる。
その点では、アメリカで移民を厳しく取り締まっているICEのやり方と、大きな違いはないようにも感じられる。
「悪の枢軸」という言葉の影響
イスラム国家に対する強い警戒感の背景には、過去の政治的な発言の影響もある。
アメリカの元大統領ジョージ・W・ブッシュが、同時多発テロ直後に使った「悪の枢軸(Axis of Evil)」というフレーズは、世界中の人々の記憶に強く残っている。
この言葉は、イスラム国家に対するイメージを大きく形づくり、その印象は今もなお世界中の人々の意識の中に残り続けていると言えるだろう。










Comments