— リストラ加速とAI時代の雇用再編 —
2025年12月までの3カ月平均で、イギリスの失業率は5.2%に上昇した。これは約5年ぶりの高水準であり、労働市場が明確に悪化局面に入ったことを示している。
単なる「景気減速」では片づけられない。
今、英国で起きているのはリストラの加速と雇用構造の転換だ。
■ 表面化し始めたリストラの波
2025年後半から、
- 金融
- メディア
- テック
- 小売
- 公共関連サービス
など複数分野で人員削減の発表が相次いでいる。
特徴は2つある。
① 静かな削減(自然減+採用停止)
企業は「大量解雇」よりも、
- 新規採用の凍結
- 契約更新停止
- 早期退職募集
を通じて人員を減らしている。
② 組織再編型リストラ
AI導入や業務デジタル化に伴い、
部署そのものを統廃合する動きが進んでいる。
つまり今回の悪化は、
景気後退型の一時的リストラ
ではなく
生産性重視型の恒常的再編
の色合いが強い。
■ 真因①:企業コストの急上昇
英国企業はここ数年で、
- エネルギー価格高騰
- 金利上昇
- 人件費増
- 税・社会負担増
という多重圧力を受けてきた。
利益率を守るには固定費削減しかない。
その最も大きな対象が「人件費」である。
リストラはその帰結だ。
■ 真因②:金融引き締めの副作用
イングランド銀行の高金利政策は、インフレ抑制には効果を持ったが、企業投資を冷やした。
投資が止まる
↓
成長が止まる
↓
雇用が止まる
↓
余剰人員が出る
この流れが2025年後半から顕著になっている。
■ 真因③:AIは“直接原因”ではなく“加速装置”
AIによって、
- 事務職
- 管理補助
- 初級ホワイトカラー業務
の効率が劇的に向上した。
企業側から見れば、
「今後はこの人数で足りる」
という判断がしやすくなった。
AIは解雇の引き金というより、
リストラ判断を合理化するツール
として機能している可能性が高い。
■ 若年層に集中する打撃
18〜24歳の若年層失業率の上昇は象徴的だ。
これまで“入口”だった
- アシスタント職
- サポート職
- 事務補助
が縮小している。
つまり、仕事が完全に消えているのではなく、
低付加価値ポジションが削られている
ことが問題の本質だ。
■ 結論:今回の失業率上昇は「構造型」
5.2%という数字の背後には、
- 高金利による需要抑制
- 企業コスト防衛
- AIによる業務効率化
- それに伴う組織再編型リストラ
が重なっている。
AIだけが原因ではない。
だが、AIがなければここまで迅速な再編は進まなかった可能性は高い。
今回の失業率上昇は、
景気循環による一時的悪化
ではなく
雇用構造の質的変化の始まり
である可能性がある。










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