国際結婚が日本人同士の結婚より離婚しやすい大きな理由は「会話の成立性」にある
国際結婚は華やかに見える一方で、日本人同士の結婚にはない難しさを抱えています。
その中でも、離婚率を押し上げる大きな要因のひとつが、私は「会話の成立性」だと感じています。
一般的には、文化の違い、価値観の違い、宗教観、家族観などが理由として語られがちです。もちろんそれらも無関係ではありません。
しかし実際には、その手前にある「本音をどこまで相手に伝えられているか」「相手の本当の意味をどこまで理解できているか」という問題が、国際結婚では極めて大きいのです。
最初はむしろ、その不完全な会話が魅力に見えることもあります。
たどたどしい言葉、簡単なやり取り、誤解すらもかわいらしく感じる時期があるからです。
新婚期間には何でも許せる空気があり、それは日本人同士でも国際結婚でも同じです。
ただ、国際結婚の場合、この「うまく伝わっていない状態」が、実はかなり危ういまま放置されていることが多いのです。
最初は“通じているようで通じていない”
国際結婚では、結婚当初、日本人側の語学力が十分ではないことが少なくありません。
英語で生活はできる、会話もできる、意思疎通もしているつもり。
けれど実際には、自分の本当の気持ちの30%も伝わっていないということがよくあります。
嬉しい、悲しい、納得できない、不満がある、傷ついた。
そういった繊細な感情ほど、外国語では表現しにくいものです。
表面的なやり取りは成立していても、内面の深い部分はほとんど共有されていない。
それでも結婚まで進んでしまう国際結婚は、かなり多いのではないでしょうか。
つまり、コミュニケーションが十分に取れていなくても、勢いで結婚してしまうのです。
これは20代に多い現象と思われがちですが、世界的に結婚年齢が上がっている今、30代でも同じことは起きています。
年齢を重ねているから慎重とは限らず、恋愛の勢いや、相手への理想化の中で、そのまま結婚へ進んでしまうカップルは少なくありません。
年月とともに言語力が上がることが、逆に危機を招く
国際結婚の難しさは、結婚した直後よりも、数年後に本格化することが多いと感じます。
なぜなら、年月が経つにつれて、日本人側の言語力は確実に上がるからです。
語彙が増え、表現力が豊かになり、相手の言っていることもより正確に理解できるようになります。
最初は30%しか伝えられなかった本音が、5年も経てば60%くらいまで伝えられるようになることもあるでしょう。
そして同時に、相手の本音をくみ取る力、いわゆるリスニングスキルも上がっていきます。
以前なら聞き流していた一言の意味、冗談に見せかけた本音、何気ない言い回しの裏にある本性まで、だんだん見えてくるのです。
ここで問題が起きます。
言葉ができるようになることは本来よいことのはずなのに、
実際にはそれによって、今まで見えなかった相手の性格や価値観の問題がはっきり見えるようになるのです。
“かわいかったすれ違い”が、やがて“耐えがたい現実”になる
最初のうちは、うまく話せないことも、誤解があることも、恋愛の一部として処理できます。
しかし、言語力が上がると、相手の発言を正確に受け取れるようになり、失言もそのまま刺さるようになります。
表現力が上がるということは、相手をより深く知ることでもあります。
そしてそれは同時に、相手の本性がばれてしまうことでもあるのです。
たとえばイギリス人の場合、皮肉を言うことが多い、文句が多い、細かいことを気にする、妙にせこい、約束を軽く考える。
最初は文化の違いだと思って流していたことが、数年経って言葉が分かるようになると、単なる文化差ではなく、その人自身の性格の問題として見えてきます。
「約束は破るためにある」とでも言いたくなるような態度が繰り返される。
小さな嫌味や不満が積み重なる。
その結果、5年ほど経った頃から、関係にすれ違いが生まれ始めるのです。
これは逆方向にも言えることです。
相手側もまた、日本人側の言葉の力が上がるにつれて、今まで見えていなかった性格や欠点を理解するようになります。
つまり、お互いの本性が、時間差であらわになるのです。
問題が相手側にあるとき、日本人は我慢しやすい
さらに国際結婚では、問題が起きたときの我慢の仕方にも差があります。
相手側に問題がある場合、多くの日本人はかなり我慢します。
「文化が違うから」「自分の英語が足りないのかもしれない」「自分が理解すべきなのかもしれない」と考え、自分を抑えてしまうことが多いからです。
ところが、自分側に何か問題があった場合、相手は必ずしも同じように我慢してくれるとは限りません。
むしろ、いっさい我慢せず、すぐに離婚という選択をする人も少なくない。
イギリス人の中には、とくにその傾向が強いと感じるケースがあります。
こちらは耐えてきた。
歩み寄ろうとしてきた。
言葉も努力してきた。
それでも、相手は少しでも気に入らなければ離婚を切り出す。
この温度差が、国際結婚の破綻を決定的にするのです。
国際結婚は“会話ができること”と“本当に通じ合うこと”が別問題
国際結婚では、「会話ができる」だけでは足りません。
日常会話ができることと、深い感情や価値観を共有できることは、まったく別の話です。
むしろ怖いのは、
ある程度話せるからこそ、分かり合えていると錯覚したまま結婚してしまうことです。
最初は言葉が不十分でも愛情で埋められる。
でも年月が経てば、愛情だけでは埋められない部分が見えてきます。
言語力が上がることで、ようやく現実が見え始め、相手の本性、自分の本音、相性の悪さが露わになる。
そしてそこで初めて、結婚そのものが危機に瀕するのです。
まとめ:国際結婚の離婚リスクは、時間とともに“本当の会話”が始まることで高まる
国際結婚が日本人同士の結婚より離婚しやすい大きな理由は、単なる文化の違いではなく、会話の成立性の低さにあると私は思います。
結婚当初は、本当の意味ではまだ深く通じ合っていない。
それでも勢いで結婚してしまう。
そして年月とともに言語力も理解力も上がり、今まで見えていなかった相手の本性や、自分との根本的なズレが見えるようになる。
そのとき、結婚は初めて本当の意味で試されるのです。
最初の不完全な会話は、かわいらしくもあり、恋愛を盛り上げる要素にもなります。
しかしその曖昧さは、長い結婚生活においては危うさにもなり得ます。
国際結婚では、愛情だけでなく、時間の経過とともに深まる言語理解が、逆に離婚の引き金になることがある。
そこに、この結婚の難しさがあるのではないでしょうか。










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