
ニュースの見出しって、たまに悪意あるのかと思うほど紛らわしい。
「イーストボーンで不発弾、160世帯に避難指示」
って書いてあるのをスマホで見たとき、ついにイランがイギリスを攻撃したかと思った。いやマジで。
だって「不発弾」って、何その不穏な響き。「避難指示」とかついてきたら、そりゃ誰だって「攻撃された!?」って思うじゃないか。で、本文読んでみたら、第二次世界大戦時代のものらしい。不発弾っていうより、「もう80年近く地中で寝てた子」じゃないの。そんなご長寿爆弾を、なんで今さら見つけて大騒ぎしてんの。
しかも場所が「イーストボーン」。海辺の静かなリゾート地、イギリスでも「退職後に住みたい町」ランキング常連。そんな穏やかな土地で「不発弾騒ぎ」。しかも160世帯避難。いや、大ごとじゃん。でもこれ、別に今に始まった話じゃなくて、イギリスでは定期的にこの手の爆弾が見つかってる。
イギリスは定期的に“話題”を提供してくれる
なんていうか、イギリスってほんと、話題に事欠かない国だなとつくづく思う。
・鉄道は毎週のようにストライキ
・首相はいつも窮地か辞任間近
・王室はネタの宝庫
・物価は上がる一方なのに、庶民はやけに明るい
そして今回みたいに、「不発弾で160世帯避難」とかいう、映画のワンシーンみたいな出来事まで発生する。なんなんだよ、この国。
私にとってイギリスは、「遠い親戚のちょっとクセ強めな叔父さん」みたいな存在。常に何かやらかしてる。でもなんとなく目が離せない。ニュースアプリで「UK」とつくと、ついクリックしてしまう自分がいる。
イランと聞いてしまったのは私だけではないはず
で、今回の「不発弾」騒動なんだけど、見出しが本当に悪い。「イーストボーンで爆弾発見、160世帯に避難指示」なんて見たら、そりゃもう「戦争始まった?」と思うじゃん。時期が時期だし、中東情勢も不安定だし、「ついにロンドン空爆?」って脳内ではすぐに拡大解釈されていく。
「イーストボーン」がパッと出てこなかったせいで、「イラン」だと空目したのは私だけじゃないと思いたい。スマホの通知で「イ」しか見えてなかったら、「イラン」と思っても無理はない。しかも続きが「爆弾」「避難」って、もう確定演出レベル。SNSでも「イランが攻撃?」と勘違いした人が結構いたようで、妙に安心した。
爆弾とともに生きる英国人の胆力
でも、冷静に考えてみると、イギリスって「不発弾と共に生きてる国」なんですよね。第二次世界大戦中、ドイツ軍の空襲(ブリッツ)でロンドンをはじめ、各都市が徹底的に爆撃された。なので、今でもたまに建築工事とかで「地中から爆弾が見つかる」なんて話がある。年に数回はニュースになる。
そして毎回、同じようなプロセスが踏まれる。
爆弾発見 → 周辺避難 → 爆弾処理班が来る → 安全に撤去 or 爆破 → 無事終了 → 周辺住民がインタビューで「びっくりしたけど、まあこういうこともあるわよね」って答える
この落ち着きっぷり。日本だったら「爆弾が見つかりました!」なんてニュース、1週間ぐらいワイドショーで特集組まれそうなのに。イギリス人、慣れすぎてない?
日本人だったら絶対パニックになると思う
想像してみてほしい。たとえば鎌倉の住宅街で「不発弾が見つかりました、住民160世帯に避難指示」ってなったら、日本の報道はどうなるか。
・速報テロップが出る
・現場からの生中継が始まる
・近隣住民が「こんなこと初めてで…」と語る
・SNSは「もう終わりだ」と阿鼻叫喚
・専門家が爆弾の構造について図解し出す
・最終的に「平和ボケ」についての議論が巻き起こる
一方、イギリスはどうかというと、「ええ、またか」くらいの温度感。BBCとかSky Newsも、報道するけど妙に事務的。民間人のインタビューも「避難してる間にティータイムしてたわ」とか、そんな感じ。爆弾に対する距離感がおかしい。
“話題になる力”が違う国
結局、何が言いたいかというと、イギリスという国は何もかもが「話題になる力」を持ってるということ。
この「不発弾」もそうだし、選挙もそう。なんなら紅茶をめぐる論争ですら話題になる。
たとえば、
・「紅茶に先にミルクを入れるか、お湯を入れるか」問題
・「ベイクドビーンズは朝食に必要か」論争
・「フライデーナイトはやっぱりチップスにビネガーかける派? それとも塩だけ派?」
この手のことが、なぜか国民的話題になるのがイギリス。
それが「不発弾」であろうと、「トイレットペーパーが切れた」ことであろうと、イギリスはちゃんとニュースにして、ちゃんと話題にする。これが文化ってやつなのかもしれない。
まとめ:見出しは正確に、でも面白さは失わずに
今回のイーストボーン不発弾事件(と言っていいのか分からないが)で、私はニュースの見出しの影響力について改めて考えさせられた。確かに、「イーストボーンで第二次大戦時の不発弾が見つかる。160世帯が避難」は事実だけど、そう書かれてたら、たぶん誰もクリックしなかった。
でも「イーストボーン」「爆弾」「避難指示」といったキーワードが並ぶと、脳が勝手に現代の戦争と結びつけてしまう。そしてイランの名がチラつく。現代人の悲しい性だ。
とはいえ、私がこのニュースにちょっとニヤリとしたのは、「ああ、イギリスらしいな」と思ったから。地中から出てきた不発弾すら、ユーモアとともに受け入れるこの国の懐の深さに、ちょっとだけ感動すら覚える。
…とはいえ、やっぱり見出しにはもう少し気を使ってほしい。
今の時代、「爆弾」「避難」ってだけで、こっちは勝手に世界大戦が始まったかと思っちゃうんだから。
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