
イギリス北部の都市リーズ(Leeds)にあるホルベック(Holbeck)地区は、 英国内で唯一「売春行為を一部容認した試験区域」として注目を集めました。 これは警察と市議会が導入した「Managed Approach(管理売春区域)」と呼ばれる制度で、 BBC が 2016 年にドキュメンタリー番組を放送したことで広く知られるようになりました。
ホルベック地区とは?
ホルベックはリーズ市中心部の南西に位置し、かつては工業地帯として発展した地域です。 しかし、再開発の遅れと貧困の拡大により、2010年代には売春やドラッグ犯罪が深刻化。 その対策として2014年に、警察と自治体が「安全な環境下での管理売春」を目的に Managed Approach を導入しました。
Managed Approach(管理売春区域)とは
「Managed Approach」とは、夜間(午後7時〜午前7時)の間のみ、 警察が指定した区域内で売春行為を行っても起訴されないという特例運用のことです。 この制度は暴力・搾取・人身売買の抑止、セックスワーカーの安全確保を目的として導入されました。
当初は警察・医療・福祉団体が連携し、 性感染症検査や被害相談サービスも提供されていましたが、 住民からの苦情や治安悪化の声が相次ぎ、2020年以降見直しが進みました。
BBCドキュメンタリーでの報道(2016年)
BBC は2016年に 「Inside Leeds’ legal red light district」 という特集番組を放送しました。 番組ではホルベックの夜間の様子、現地のセックスワーカーの声、警察や住民への取材を通じて、 「売春合法化の是非」を多角的に検証しています。
一方で、一部の住民からは「ドラッグ使用・暴力・ごみ問題が増えた」との懸念も示され、 試験的運用の限界が浮き彫りになりました。
現在のホルベック地区と治安状況(2025年時点)
リーズ市議会と West Yorkshire Police(ウェストヨークシャー警察) は、2020年以降 Managed Approach の段階的縮小を実施。 2022年には事実上の終了が発表され、現在は通常の法執行が行われています。
それでもホルベック周辺では、ドラッグ使用、車上荒らし、路上売春などの報告が続いており、 夜間はパトロールが強化されています。 日中は比較的安全ですが、夜間の一人歩きや写真撮影は避けることが推奨されています。
夜間に注意すべきエリアと特徴
- Holbeck Lane(ホルベック・レーン):人通りが少なく、過去に事件の報告あり。
- Domestic Street〜Top Moor Side周辺:路上売春・ドラッグ関連の報告が多い。
- Bridge Road付近:暗く、夜間は交通量も少ない。
治安対策として、警察は夜間パトロールと監視カメラの増設を行っています。
旅行者・留学生が気をつけるポイント
- 午後7時以降はホルベック地区を避ける。
- Leeds駅南西エリアへ徒歩での移動は控える。
- 帰宅時はタクシーまたはUberなどの公式配車アプリを利用。
- 現地大学・エージェント・警察の最新安全情報を確認。
- 緊急時は999(警察・救急・消防)へ通報。
よくある質問(FAQ)
ホルベックの売春許可ゾーンは今も存在しますか?
2022年に事実上廃止されています。ただし、違法行為が完全になくなったわけではなく、 警察が警戒を継続しています。
観光でホルベックを訪れても大丈夫ですか?
日中は問題ありませんが、夜間は安全上おすすめできません。 一部の通りでは違法ドラッグ取引や勧誘行為が報告されています。
BBCのドキュメンタリーは視聴できますか?
BBC News公式サイトで「Inside Leeds’ legal red light district」を検索すると、 番組記事および映像の一部を閲覧できます。
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