イギリスでも巻き起こるSNS論争|英国生活から考えるソーシャルネットワークの存在意義とテレビ離れ

ロンドンのビッグベンを背景にスマートフォンを見つめる4人の人々と『イギリスで考えるSNSの存在意義』の文字が入ったアイキャッチ画像
イギリスでも巻き起こるSNS論争|英国生活から考えるソーシャルネットワークの存在意義

イギリスでも巻き起こる「SNSは誰のためのもの?」論争|英国生活から見えるSNSの存在意義

イギリスでもひそかに巻き起こっている「SNSは誰のためのものか」論争。 今回は、英国生活サイトの視点から、SNSの存在意義について考えてみたいと思います。

そもそもSNSは何のために作られたのか

SNSとは何のために生まれたのでしょうか。 フェイスブックを作ったマーク・ザッカーバーグの最初の目的は、 ハーバード大学の学生同士で人気投票をオンラインで行えるようにすることでした。 しかし、その後「同じコミュニティ内で健全につながれる仕組みを作りたい」という思いに変化し、 いわば“同じ場所で生きる人々のためのソーシャルネットワーク”として始まったのです。

つまり、ソーシャルネットワークサービスとは本来、 「同じコミュニティ内での意思疎通を目的としたもの」でした。 それが時代の流れとともに万人がアクセスできるプラットフォームへと進化し、 現在の“世界共通の交流空間”になったのです。

本来の使い方に立ち返ると見えること

仮に、当時のザッカーバーグの考え方に沿ってSNSを使うとしたら、 それは「同じ学校」「同じ会社」「同じ町内」「同じマンション」など、 限られたコミュニティの中で使うことが正しい形なのかもしれません。 小さな共同体の中で、互いを理解し合うためのツール―― それが本来のSNSの姿だったはずです。

日本の「芸能人と一般人」論争に思うこと

日本では最近、「芸能人が『素人はSNSを使うべきではない』と発言した」という話題が世間を賑わせました。 では、もし一般人がSNSを使わなくなったらどうなるでしょうか。 困るのは、むしろ芸能人ではないでしょうか。

今、人々はテレビというメディアから離れつつあります。 もし一般人がSNSにアクセスしなくなったとしたら、 恐らく多くの芸能人――その99%は、誰にも知られない存在になってしまうでしょう。 SNSを本来の使い方に戻した場合、芸能人は芸能人同士で情報交換し、 同じ業界内で健全に対話する。 そうすれば、一般人からの誹謗中傷も減るかもしれません。 ……もっとも、「それではお金にならないから誰もやらない」のでしょうけれど。

イギリスで言われるSNSの危険性――特に未成年

イギリスでは、SNSの危険性がしばしば問題視されています。 特に未成年にとってはリスクが大きい。 SNS上での誹謗中傷を受けて落ち込み、自ら命を絶つケースや、 危険な“チャレンジ動画”に挑戦して命を落とす事件も後を絶ちません。

しかし一方で、SNSが社会を良い方向へ導くこともあります。 立場の弱い人たちが自分たちの声を世界に届けることで、 社会の不正を明るみに出したり、政治を動かしたりする力にもなってきました。 SNSは決して悪だけではなく、使い方次第で光にも闇にもなる――そんな存在です。

SNSが「芸能界の受け皿」となった現実

とはいえ、現実を見るとSNSは芸能人にとって“逃げ場”のような場所にもなっています。 テレビで問題を起こして活動の場を失った人たちが、 SNS上で新たな活動を始めるという流れは、もはや珍しくありません。 もしSNSが存在しなかったら、彼らは普通の生活を送る「一般人」に戻っていたかもしれません。

テレビ離れとこれからの世界

私の住むイギリスでも、人々がテレビを見なくなっています。 見るとしてもニュースや報道番組くらい。 若者だけでなく、30代・40代・50代の世代までもがテレビから離れ、 会話の話題といえばネットフリックスのドラマや映画のことばかり。 テレビという存在は、もはや“日常の中心”ではなくなりました。

こうした流れを見ていると、テレビはいつか完全に姿を消すのではないかと思えてきます。 テレビ全盛期に生きた世代には寂しいことかもしれませんが、 趣味や嗜好の似た人々がインターネット上のコミュニティでつながり、 それぞれの価値観の中で生きる―― それが現代における、より平和で健全な生き方なのかもしれません。

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