しかし、カスタマーサービスは決して“下手に出る”わけではない
「お客様は常に正しい(The customer is always right)」というフレーズは、日本だけでなくイギリスでも広く知られています。
ただし、イギリスにおけるこの考え方は、日本でしばしば見られる「顧客の要望には無条件で従う」「謝罪を最優先する」といった姿勢とは、かなりニュアンスが異なります。
「正しい」の意味は“尊重されるべき存在”
イギリスでの「お客様は正しい」とは、感情や立場が尊重されるべき存在という意味合いが強い表現です。
つまり、
- 話をきちんと聞く
- 不満や不便を真剣に受け止める
- 合理的な範囲で解決策を提示する
という姿勢は重視されますが、
顧客の主張が事実やルールを超えて正当化されるわけではありません。
カスタマーサービスは対等なコミュニケーション
イギリスの接客で特徴的なのは、スタッフと顧客が基本的に対等な立場で会話する点です。
- 店員は過剰にへりくだらない
- 謝罪も必要な場面でのみ、簡潔に行う
- ルールや契約条件ははっきり伝える
たとえば返品ポリシーに反する要求があれば、
「申し訳ありませんが、それはできません」と穏やかだが明確に断るのが普通です。
「ノー」と言うことは失礼ではない
日本では、断ること自体が失礼と感じられる場面も少なくありません。
一方イギリスでは、
- ルールに基づいた説明
- 理由を添えた明確な対応
があれば、「ノー」と言うことは誠実な対応と受け取られます。
むしろ、曖昧な態度やその場しのぎの約束のほうが、後々のトラブルにつながると考えられています。
感情よりも“合理性”を重視
クレーム対応においても、イギリスでは感情的なやり取りを避ける文化があります。
- 声を荒らげる顧客に対しても冷静に対応
- 事実関係と選択肢を整理して提示
- できること/できないことを区別する
そのため、「お客様なのだから特別扱いしてほしい」という要求は、必ずしも通りません。
まとめ:敬意は払うが、媚びない
イギリスのカスタマーサービスを一言で表すなら、
敬意は最大限に払うが、下手には出ない
という姿勢です。
「お客様は100%正しい」という考えは存在しますが、
それは顧客の人格や声を尊重するという意味であり、
顧客が常に要求を通せるという意味ではありません。
このバランス感覚こそが、イギリスのカスタマーサービス文化の大きな特徴と言えるでしょう。








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