999番と緊急通報の実態
日本では、警察は「110番」、消防や救急は「119番」と明確に分かれている。一方で、イギリスには日本の110番に相当する番号は存在しない。では、イギリスではどのように警察へ通報し、実際どれほどが「本当の緊急」なのだろうか。
イギリスの警察・緊急通報番号の仕組み
イギリスでは、緊急通報の番号は以下のように整理されている。
- 999
警察・救急・消防などすべてにつながる緊急通報番号。
命の危険、犯罪の進行中、重大事故などの場合に使われる。 - 112
欧州共通の緊急番号。イギリス国内では999と同じ仕組みに接続される。 - 101
警察への非緊急連絡用番号。
事件・事故の後日の報告、軽微なトラブルの相談、情報提供などが対象。
つまり、**「日本の110番」に最も近い役割を担うのは999(または112)**だが、警察専用ではなく、すべての緊急サービスに共通している点が大きな違いである。
999番にかかってくる通話の現実
イギリスでは999番への通話件数が非常に多く、その大半が実は緊急ではないという事実が、警察や救急当局によって繰り返し指摘されている。
本当に緊急なのは何割か?
警察が公開している各地の統計や発表を総合すると、
- 999への通話のうち、本当に緊急と判断されるのはおよそ1~2割程度
- 残りの8~9割は、緊急性が低い、または緊急番号を使うべきでない内容
とされるケースが多い。
ここでいう「緊急でない通話」には、次のようなものが含まれる。
- 犯罪だが今まさに起きているわけではない事案
- 騒音や近隣トラブルなど、差し迫った危険がない相談
- 医療相談や生活上の困りごと
- スマートフォンの誤操作による無言通報
通報者本人は「念のため」「判断がつかないから」と考えてかけている場合も多いが、結果として999回線を圧迫している。
なぜ非緊急通報が多いのか
① 判断の難しさ
一般市民が「これは命に関わる緊急かどうか」を即座に判断するのは簡単ではない。そのため、迷った末に999を選んでしまうケースが多い。
② 番号の認知不足
101(警察の非緊急)や、医療相談用の別番号の存在を知らず、「困ったら999」という感覚でかけてしまう人も少なくない。
③ 「すぐ来てくれる」期待
999にかけた方が早く対応してもらえるだろう、という心理も背景にある。
非緊急通報がもたらす問題
999は、常に命の危険があるかもしれない前提で対応される番号だ。そのため、緊急でない通話が増えると、
- 本当に危険な通報への対応が遅れる
- オペレーターや警察・救急隊の負担が増える
- 出動の優先順位判断が難しくなる
といった深刻な影響が出る。
このためイギリスでは、「緊急でない場合は101を使う」という啓発が継続的に行われている。
まとめ
- イギリスに日本の110番は存在しない
- 警察を含む緊急通報は 999(または112) が担う
- 999通話のうち、本当に緊急なのは全体の1~2割程度とされる
- 多くは非緊急で、本来は 101 を使うべき内容
- 正しい番号の使い分けが、命を守ることにつながる
緊急番号は「誰かの命を救う最後の回線」でもある。
その仕組みを知ること自体が、社会の安全を支える一歩と言えるだろう。










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