軽犯罪が映す、その街の本当の姿
イギリスの町を歩いていて、その地域の「空気」を一瞬で感じ取る方法がある。
それは建物の美しさでも、店の数でも、地価でもない。
鼻でわかる。
マリファナの匂いが漂っているかどうかだ。
対照的なロンドンの二つの地域
■ チェルシー(Chelsea)
Chelsea は、ロンドンでも屈指の高級住宅街として知られている。
キングス・ロードには洗練されたブティックが並び、街路は整い、治安も比較的安定している。
ここで路上に立ち、鼻を澄ませても、マリファナの匂いが常に漂っているという状況は、ほとんどない。
■ クロイドン(Croydon)
一方、Croydon に足を運ぶと、駅周辺や繁華街で鼻をつくマリファナの匂いを感じることがある。
もちろん、地域全体が危険だと言うつもりはない。
だが、「常に匂いが漂っている」という状態は、単なる偶然ではない。
イギリスにおけるマリファナの法的位置づけ
マリファナはイギリスでは依然として違法である。
いくら「寛容に見える」場面があったとしても、法的には犯罪だ。
① 初犯・少量の場合
- 警告(Warning)
- 現場罰金(通常90ポンド)
- 逮捕・事情聴取
※記録が残る可能性あり
② 重大・繰り返しの場合
- 最大5年の懲役
- 無制限の罰金
- またはその両方
さらに、販売や供給は重罪扱いとなる。
- 供給罪:最大14年の懲役
- 栽培も重罪
日本と比べれば体感的な「厳しさ」は違うかもしれない。
しかし、違法は違法である。
なぜ匂いが指標になるのか
ここで重要なのは、法律の話そのものではない。
問題は、
なぜ違法行為が、これほど公然と行われているのか?
という点だ。
警察は無能なのか?
答えは、そう単純ではない。
警察のリソースは有限である。
殺人、強盗、銃犯罪、組織犯罪、重大暴力――
より深刻な犯罪が頻発していれば、そちらが優先される。
つまり、
軽犯罪が常態化しているということは、
それを取り締まる余力がないほど、重犯罪が起きている可能性を示している。
これが裏返しの構造だ。
「いい町」とは何か
「いい町」とは、高級住宅街であることを意味しない。
- 軽犯罪が放置されていない
- 小さな違法行為が常態化していない
- 公共空間の秩序が保たれている
- 警察が“余裕”を持って機能している
それらが揃っている場所だ。
逆に言えば、
- 違法行為が当たり前
- 路上で堂々と薬物が使用される
- 誰も驚かない
そうした地域では、水面下でさらに重い犯罪が進行している可能性を疑うべきである。
結論
マリファナの匂いは単なる薬物の問題ではない。
それは、
その地域の統治力、警察力、社会秩序の温度計である。
軽犯罪が放置される町は、
より深刻な問題を抱えている可能性が高い。
だからこそ――
町を歩くとき、
鼻は意外に正直なセンサーになる。
それは偏見ではなく、
「秩序のサイン」を読み取る一つの方法なのだ。










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