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以前の投稿でイギリスの教育制度についてご紹介しましたが、今回はもう少し掘り下げて説明します。
イギリスの教育制度は、日本と異なり、地域(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)によって若干異なります。ただし、基本的な構造は似ています。
1. 教育の流れ
イングランドを例にとると、以下のような流れになります。
- 初等教育(Primary Education)
- 年齢:4~11歳(Year 1~6)
- Key Stage 1(5~7歳)、Key Stage 2(7~11歳)
- 科目:英語、数学、理科、歴史、地理、宗教、体育など
- 中等教育(Secondary Education)
- 年齢:11~16歳(Year 7~11)
- Key Stage 3(11~14歳)、Key Stage 4(14~16歳)
- 16歳の時点でGCSEを受験(義務教育終了)
- ポスト16教育(Post-16 Education)
- 年齢:16~18歳(Year 12~13、Sixth Form)
- A-Level(アドバンスト・レベル)または職業資格(BTEC、T-Levelなど)
- 進学や就職のための重要な時期
- 高等教育(Higher Education)
- 18歳以上
- 大学(Undergraduate)や専門学校
- 学士課程(3~4年)、修士課程(1~2年)、博士課程(3年以上)
GCSE(General Certificate of Secondary Education)とは?
GCSEは、イギリスの中等教育(義務教育)の最終段階で受験する資格試験で、16歳(Year 11)の時に受験します。これが高校進学や将来の進路に大きな影響を与えます。
1. GCSEの概要
- 対象年齢:14~16歳(Year 10~11)
- 科目:主要科目+選択科目
- 試験方式:
- 筆記試験(最も一般的)
- 実技試験(音楽、芸術、スポーツなど)
- コースワーク(レポートやプロジェクト)
- 成績評価:
- 9~1の9段階(2017年以降)
- 9(最高)、8、7(A相当)、6、5(B相当)、4(C相当)、3、2、1(D~G相当)
- 4以上が合格(パス)とみなされる
- 9~1の9段階(2017年以降)
2. GCSEの必修科目
- 英語(English Language & English Literature)
- 数学(Mathematics)
- 理科(Science)
- 単一科学(Biology, Chemistry, Physics 各科目)
- 統合科学(Combined Science)
- 市民教育(Citizenship Education、学校による)
- 体育(PE:必修だが試験なし)
3. GCSEの選択科目
- 人文系:歴史(History)、地理(Geography)、宗教学(Religious Studies)
- 言語:フランス語(French)、ドイツ語(German)、スペイン語(Spanish)など
- 芸術・デザイン:美術(Art)、デザイン&テクノロジー(DT)、音楽(Music)
- 職業科目:ビジネス(Business Studies)、コンピューターサイエンス(Computer Science)、メディア(Media Studies)
GCSEの重要性
1. 進学に影響
- Sixth Form(A-Levelコース)やカレッジ進学の要件
- 科目によっては特定のGCSEの成績が必要(例:数学・理科の成績が良いとA-Levelの理系科目を学びやすい)
2. 就職・専門学校進学
- 16歳で就職する場合、GCSEの成績が履歴書に記載される
- 多くの職業訓練コース(Apprenticeship)で英語と数学のGCSE成績(4以上)が求められる
3. 大学進学
- A-Level選択に影響を与える
- 一部の大学では特定のGCSE成績(例:オックスフォード大学・ケンブリッジ大学は数学・英語で6以上が望ましい)
GCSE後の選択肢
GCSEの後、学生は進路を選択できます。
- A-Level(アドバンスト・レベル)
- 大学進学を目指す伝統的なルート
- 3~4科目を選択し、2年間学ぶ
- 最終試験で評価される
- BTEC(職業資格)
- 実践的な学習が多く、ビジネスやエンジニアリングなどの専門分野に特化
- 一部の大学進学も可能
- T-Level(テクニカルレベル)
- 2019年導入の新資格
- BTECに近いが、より大学・産業界と連携
- 就職またはアプレンティスシップ(Apprenticeship)
- 実務と学習を組み合わせた職業訓練
- 給与を得ながらスキルを習得
まとめ
イギリスの教育制度は、段階ごとに明確に分かれており、GCSEはその中で非常に重要な試験です。これによって進学・就職の道が決まり、A-Levelや専門学校への進路を左右します。
教育はお子様の未来を左右する重要な要素です。しっかりとイギリスの教育制度について学びましょう。
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