ロンドン賃貸市場「完全終了」の予感は本当か?

ロンドン賃貸市場の崩壊を示唆するイメージ。TO LET看板、ビッグベン、下落グラフ、崩れるポンド記号と頭を抱える男性が配置されたサムネイル画像。

2026年、ロンドンの賃貸市場に対して「もう限界ではないか」「市場が終わったのでは」という声が目立ち始めています。
家賃高騰、供給不足、規制強化、投資家撤退——。確かに環境は大きく変わっています。

しかし本当に“完全終了”なのでしょうか。
本記事では、ロンドン賃貸市場の現状と構造的問題、そして今後の展望を整理します。


📉 高騰フェーズの終焉

パンデミック後、ロンドンの賃貸市場は歴史的な高騰を記録しました。特に2022〜2024年は、空室率の低下と急速な需要回復により、家賃は急騰。

しかし2025年後半以降、流れは変わります。

  • 家賃上昇率が明確に鈍化
  • 一部の高級エリアでは横ばい〜微減
  • テナントの交渉力がわずかに回復

これは「崩壊」ではなく、過熱相場の冷却と見る方が妥当です。


🏗️ 慢性的な供給不足という根本問題

ロンドンは長年、住宅建設目標を達成できていません。人口増加に対して供給が追いついていない構造は依然として続いています。

加えて、

  • 高金利による住宅ローン負担増
  • バイ・トゥ・レット投資家の撤退
  • エネルギー効率規制強化
  • 賃貸保護法改正によるオーナー側リスク増加

こうした要因により、賃貸物件数そのものが減少傾向にあります。

つまり市場は「需要崩壊」ではなく、供給制約型の停滞に近いのです。


💷 家賃は本当に下がっているのか?

結論から言えば、

絶対水準は依然として高いまま。

ロンドンの平均家賃は依然として英国最高水準です。
下落が見られるのは、主に超高級セグメントや一部の中心地。

一般的な1ベッド、2ベッド物件に関しては、高止まりしているケースが多いのが実情です。


🤯 「完全終了」という感覚の正体

ではなぜ「終わった」という空気が出るのでしょうか。

主な理由は:

  • 急騰が止まったことによる心理的反動
  • オーナーの利益率低下
  • 税制・規制変更による投資妙味減少
  • 入居者の家計圧迫限界

つまり、全員が苦しい状態なのです。

テナントは高すぎて限界、
オーナーはコスト増で余裕なし。

この“膠着状態”が「市場終了」という感覚を生んでいます。


🔮 今後どうなる?

短期的には:

  • 急落は起きにくい
  • 緩やかな上昇または横ばい
  • 投資家の新規参入は限定的

中長期的には:

  • 供給不足が続けば再び上昇圧力
  • 規制強化次第では民間賃貸市場縮小
  • Build-to-Rent(大規模開発型賃貸)へのシフト加速

「崩壊」ではなく、構造転換期と捉えるのが現実的です。


📝 結論:終わったのではなく、別物になりつつある

ロンドン賃貸市場は“完全終了”ではありません。

しかし、

✔ これまでのような右肩上がり神話は終わった
✔ 投資家にとっては難易度が上がった
✔ テナントにとっても依然厳しい

つまり、

「高騰バブルの終了」であって「市場の死」ではない。

市場は再均衡に向かっています。

ロンドンという都市の経済力・人口流入・国際需要を考えれば、賃貸市場が消える可能性は極めて低いでしょう。

ただし、今後はより選別が進み、
立地・グレード・規制対応力が明暗を分ける時代に入ったと言えます。

Comments

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA


最近1カ月の投稿

イギリスは今でも“見た目で判断する国”なのか?

イギリスは今でも見た目で人を判断する文化があるのか?ロンドンのレストランやバーにドレスコードは存在するのか?子どもが入れない店は本当にあるのか?現代ロンドンのリアルな事情を、階級意識・服装マナー・入店制限の観点からわかりやすく解説します。

イギリスで従業員を解雇するのは本当に難しいのか

英国では本当に従業員の解雇は難しいのか?AI導入による人員削減を背景に、Employment Rights Act 1996やACASガイドラインに基づく正当理由・手続き・冗長解雇(Redundancy)の要件、企業が踏むべき具体的ステップと不当解雇リスクを分かりやすく解説する。

ロンドンで今、賃貸契約更新は最悪のタイミング

ロンドンの賃貸市場は2026年5月1日の法改正前で“駆け込み値上げ”が加速中。なぜ今が最悪のタイミングなのか、Renters’ Rights Actの変更点と、退去リスクを踏まえた現実的な値上げ交渉戦略を解説。

イギリスの電気自動車(EV)普及と充電インフラの現状

英国およびロンドンにおける電気自動車(EV)の普及率と公共充電インフラの現状を解説。ロンドンのEV保有割合、充電器設置数、自宅・路上・急速充電のコスト差を比較し、最新動向と課題をわかりやすくまとめます。