今だからこそ、リアルな“人の声”を信じる――“ウェブ離れ”がイギリス人の心に巻き起こす変化について

こんにちは。ネットとリアル、情報と信頼、そして今、世界中に広がりつつある「ウェブ離れ」という潮流について改めて考えてみようと思います。中でも、イギリスで最近注目されるのが「グーグルレビューよりも人からのおすすめを信じる」という傾向。その背景には私たちが今まさに対面している“本格的なウェブ離れ”があるように感じています。


1. なぜ今、イギリスで“ウェブ離れ”?

◉ レビュー疲れと“信頼の再評価”

かつてオンラインレビューは、新しいカフェやレストラン、ホテルなどを探すときの羅針盤でした。しかしレビュー数が膨大になり、しかも「5点満点の星」をめぐる商業的な駆け引きが激化──。レビューの信憑性が怪しくなり、多くの人が「本当に参考になるのはどういう情報だろう?」と、立ち止まり始めています。

◉ ノスタルジーとリアル体験への回帰

SNSや検索エンジンに疲れたイギリス人たちは、ふと昔ながらの「口コミ」の力を再評価。家族や友人、同僚から直接受けたおすすめ、街角でのちょっとした立ち話…そんなリアルなやり取りこそ、“本当に使える情報”ではないか、という思いが広がっているようです。


2. その変化はなぜ、今、起きているのか?

① デジタル疲労と“情報過多”時代の反動

スマホやSNSによって常に情報が押し寄せる中、人間の情報処理能力には限界があります。GoogleやYelpなどでのレビューを読む時間も、レビューを信じる不安も、積み重なるとストレスに。結果として、よりシンプルで少数の信頼できる情報源に戻ろうとする心理が働いています。

② レビューの操作と“信頼の崩壊”

レビューがやらせだった、過剰なステルスマーケティングがあったというニュースを目にしたとき、人々の不信感は決定的になります。イギリスでも、レビューサイトにおける不正レビュー摘発や誤情報への警鐘がSNSやニュースで広まり、「もうネットの時代ではないかもしれない」という声が増えているようです。

③ リアルなつながりと“共感”への渇望

ポストコロナの世界で、人と人が対面で繋がる機会の価値は再認識されています。レストランでの会話、ショップで店員さんとおしゃべりする時間は、単なる情報伝達ではなく「共感」を生む場です。情報だけでなく、「誰からその情報を得たか」が重要になってきているのです。


3. “人の声”が選ばれるとき、何が新しいのか?

✅ 情報の質と“文脈”が重視される

個人の経験に基づくおすすめは、単なる評価点ではなく、その背景、体験の詳細、些細なエピソードを含みます。この“文脈”こそが、ネット上の断片的レビューにはない深みを生んでいます。たとえば「このカップケーキが美味しかった理由」や「この店員さんの気遣い」に共感できる情報が力を持ち始めているのです。

✅ 口コミは信頼の証、そして“人間味”の再発見

「YouTuber のおすすめだから試してみた」から一歩進んで、「ママ友が絶賛してたから行ってみた」というように、より身近な存在からの推薦が際立っています。そこには、ステマや広告臭とは無縁の“リアルさ”が感じられます。


4. 具体的変化:イギリス社会の“ウェブ離れ”現場

🏡 地元カフェや個人経営店の活況

イギリス各地で、個人経営のカフェやブティックが盛り返している背景には、「ネット検索よりも“地元の口コミ”を重視する」という文化があります。ローカル掲示板やフェイスブックのコミュニティグループで、「ここの紅茶が絶品」「この店の雰囲気が最高」といった投稿がリアルにシェアされ、来客を増やしています。

🧭 旅行市場での“ガイド推薦”的台頭

トリップアドバイザーやネット旅行レビューではなく、「知人の旅経験」に基づく推薦を信じて旅をする人が増加。特に田舎やニッチな旅先では、ネットでは探せない「地元住民のおすすめ」が重要になってきました。

👥 同調圧力の代わりになる「信頼圏」

ネットでは“いいね稼ぎ”や“バズ狙い”の傾向がありますが、リアルなネットワークでは、信頼関係に基づく自然な共感が重要です。そこでは「この人が良いと言うなら」と素直に試してみる心理が働き、それが再び“人の声”の強みになっています。


5. その潮流は他国にも波及するか

🌍 「デジタル過多」からのリセット志向は普遍的

イギリス先行の印象はありますが、SNS疲れ・レビュー疲れはグローバルに広がっています。日本でも近年増えている「信用できる人の声」「リアルな体験の共有」は、イギリス発の流れの一部と見ることができます。

🧳 ただし、国民性や文化によって差も

日本では「口コミ文化」はもともと根強く、レビュー離れは緩やかかもしれません。一方、アメリカや中国ではネット依存が更に進んでおり、移行の速度や規模は国ごとに異なるかもしれません。それでも、「リアル vs ネット」の軸で再検討される時代には変わりないでしょう。


6. まとめ:「ウェブ離れ」は新たな“信頼の再定義”

  • ネットへの信頼は揺らいでいる:大量レビュー・口コミ誘導・アルゴリズム偏向…デジタル市場の裏側に不信が広がっている
  • 「人の声」が見直されている:リアルなつながり、文脈、共感を伴う口コミこそが信頼の源泉に
  • 今後の個人経済は“信頼経済”へ:ビジネスは、ネット評価ではなく“真摯な人間同士のやり取り”を経て広がる流れに適応する必要がある

おわりに:今、あなたは誰からの声を信じますか?

このブログ記事を書きながら、私は自分自身の行動を思い返しました。SNSや検索結果を開く前に、まずは「この人に聞いてみよう」と思うようになりました。それは少しアナログな選択かもしれませんが、今だからこそ大切にしたい“本物のつながり”の再発見です。

本格的なウェブ離れというと大げさかもしれません。でも、少なくとも今私たちは「大規模な“信頼”はネット上では獲得できないかもしれない」と本能的に感じており、その直感はおそらく、多くの人に通底していることでしょう。

今後も、ウェブとリアルのバランスを見つめ直しながら、より“自分らしい情報との向き合い方”を探していきたいですね。

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