正義とは?警察の不祥事が後を絶たない英国

「警察とは、犯罪を防止し、町から悪を排除するため罪を犯したものを逮捕し、町に平和をもたらす国民にとって一番身近なスーパーヒーロー的な存在であるべき。」
というのは私の個人的な意見です。
そもそも英国民は、そこまで警察に対して期待してはいません。
しかし、今、警察の相次ぐ不祥事の発覚により国民が警察に対して不信感というか嫌悪感を抱き始めています。

一般企業とは違い、警察という組織は国が運営する機関で唯一暴力による犯罪抑止を認められています。
もちろん無抵抗の人間に対しての暴力は認められませんが、その与えられた権力を持ち続けることにより、人間はどんどん腐っていってしまうのです。
そこで今回は、最近発覚した英国警察の不祥事についてお話いたします。

サラ・エドワードさん殺人事件

2021年3月3日の夕刻、サラ・エドワードさん(33歳)が友人宅からの帰宅途中にクラプハムコモンという地元では有名な公園の近くで何者かによって誘拐されました。
懸命なる警察の捜索もむなしく、7日後の3月10日にケント州アシュフォード近くの森林で衣服などは身に着けておらず、焼け焦げた状態で遺体となって発見されました。
警察の犯人捜しは難航するかと思われましたが、市営バスのCCTVカメラにサラさんと一緒に立ち話をしている非番中の警察官ウエイン・コウゼンズが写っていたのが決定的な証拠となり逮捕されました。
コウゼンズ容疑者は非番中にも関わらず、自分が警察だと身分証などを見せサラさんに手錠をかけたうえで自分の車に無理やり乗せ、レイプした後、首をしめて殺害しました。
コウゼンズ容疑者は、誘拐と殺人の罪により2021年9月30日に終身刑を宣告され、現在も刑務所に収監されています。

ウエイン・コウゼンズ容疑者

連続強姦魔デイビッド・キャリック

キャリックは英国軍に短期間務めた後、2001年に警察官になりました。
キャリックの警察官としてのキャリアは当初から問題ばかりでした。
2002年にDVの疑いがあるとして、キャリックに対して内部捜査がされていたり、同僚の警察官がキャリックに対して、勤務態度が悪いと市民からのクレームも多数報告されていました。
2003~2020年の17年間でマッチングアプリで知り合った複数の女性を強姦、監禁を繰り返していました。
被害者女性の全員がキャリックが警察官だったことで安心して会おうと思ったと供述しています。
キャリックは女性に対して相手の行動をコントロールしようという欲がとても強く、相手の着る服、相手の食べるもの、相手の寝る場所までも指定していたと言われています。
2021年10月にキャリックに強姦された女性が事件を表ざたにして逮捕され、もちろん警察官としての職を失うことになりました。
キャリックは無罪を主張しましたが、被害者女性がが次々に名乗り出て、複数の証拠も見つかり、2022年の12月に実に24件の強姦罪を含む合計43件の罪で実刑判決となりました。
最初の判決後、警察署内から複数の女性警察官がキャリックの性的暴行を受けたとい被害を申し出てさらに罪が重くなり、最終的に終身刑(最低30年と239日間)の実刑判決を受けました。

デイビッド・キャリック容疑者

警察という特殊な組織による隠ぺい

組織が大きくなればなるほど問題が表ざたになることを嫌う傾向にあるのは、どこの国も同じです。
特に警察という国家が運営する組織に関しては、問題が起きたら内々で処理してもみ消すというのが日常的に起きています。
警察官も人間です。
間違いを犯すというのは誰しもに起こりえることです。
ただ、犯罪を抑止、犯罪を排除するのが仕事の警察官が犯罪に手を染めるということは絶対にあってはならないことです。
人間が腐って組織を腐らせたのか、組織が腐っていたからそこで働く人間が腐ってしまったのか、という議論は、「卵と鶏どっちが先か?」と同じで答えは誰にもわかりません。
犯罪に巻きこまれたときに頼るべき警察が信頼できないとなった場合に、私たちは誰に’助けを求めたらいいのでしょうか。
やはり、自分の身は自分で守るしかないのでしょうか。

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