英国は年末から年始にかけストの嵐

ストは誰が始めた?

郵便局員、救急救命士、看護師、医者、駅員、電車の運転士と英国ではとにかくストがトレンドです。
ストって日本ではあまり聞かないですよね。
ストライキというのが正式な名前で、英語ではStrikeの野球のストライクと同じ単語です。
英語のStrikeの意味を調べてみると、「労働組合を筆頭に雇用者が働くことを拒否し、雇用主に要求を突き付けること」となっています。
何を要求しているかというと、もちろんお金です。
賃金上げんかい!ということなのですが、日本の賃金が30年間上がっていないのに、ストが起きていないのはなぜなのか???
私なりに分析させてもらいますと、日本人って仕事放棄することで周りの人にどれだけ迷惑をかけるのかを考える民族です。
とてもいいことだと思います。
自分が今日の労働を拒否することにより、誰かがとても困ったり、もしかしたら死んでしまうかもしれない、だから仕事は休まず一生懸命働くという、まさに雇用者の鏡です。
ただ、一生懸命働いているのに賃金が上がらないということにたまに文句を言ってもいいのではないでしょうか。
仕事終わりに同僚と居酒屋に行って、給料が安いことを嘆きあうよりは生産的なような気がします。
日本国民は権力という恐怖に抑えられていて、雇用者は雇用者らしくしていろという風潮があまりに強すぎるのです。
小さいころから権力という恐怖の下で育ってきた私たちの世代には、ストを起こすなんて頭のおかしい人間の行う野蛮な行為だというイメージがついてしまったのです。
ストは、正義なのか悪なのかというと、間違いなく正義でしょう。
ストが悪だった場合、ストに参加した人たちは警察に逮捕されることになりますが、ストで逮捕された人は未だかつていません。(英国では)

ストに対して英国民はどう思っているのか?

12月初旬から年が明けた現在でも、ニュースでは毎日のようにストに関しての報道をしています。
今日は、電車がすべて動いていないから会社に行けないとか、今日はバスが動いていないから学校にいけないなど…
公共の交通機関が止まってしまうのは、それに代わるウーバーやタクシーがあるので、まだ許容範囲です。
では郵便局員が、ストで手紙や小包の配達をしないというのはどうでしょうか。
日本だったら大問題になりそうですね。
ちなみに英国では、1年間に配達される手紙、小包の数ですが、20~40億個と言われています。多いのか少ないのかよくわかりませんが、郵便が届かないから死んでしまったなんてひとはさすがにいないでしょう。
英国民は、公共交通機関の停止、郵便物が届かないことにはあまり憤りを感じているひとは少なくとも私のまわりではいません。

ストが原因で死ぬ人が増加???

公共交通機関の停止、郵便物の停止に関しては先ほども申し上げましたように許容範囲ですが、医療システムの停止はいかがなものなのでしょうか。
ストによって医者、看護師、救急救命士が仕事を放棄するという事態にまで発展してしまった英国では、しかも、新型コロナウィルスの感染者が増加、インフルエンザの感染者が増加しているこの冬の時期に、医療システムが止まってしまうことは、まさに死活問題です。
実際に、英国では、医療関係者のストが始まってから、週に500人もの救われるはずの命が救われず、帰らぬ人となってしまっているのです。
原因は、救急コールセンターに電話をかけても、救急車が来てくれないのです。
とあるケースでは、救急コールセンターに電話をかけてから、救急車が到着するまでなんと36時間かかったという悲惨なニュースもありました。

医療関係者の雇用主は誰なのか?

英国ではNHS(National Health Service)というところがすべてを牛耳っています。
日本で言うところの厚生労働省に当たるとは思いますが、医療システムの仕組みが違うのでまったく同じとは言えません。
とにかく、NHSという省庁があって、役人がたくさん働いている場所です。
そのNHSはどこからお金をもらっているかというと、もちろん国からです。
医療費が無料の英国では、国民から支払われた税金からNHSに毎年予算として分配されるお金を医療関係者の給料となっているのです。
つまりは、医療関係者の賃金を上げるためには、国会に参加している与党と野党が話し合い、そしてNHSに対する予算を上げるという決定をしないことには何も始まらないのです。
英首相のスナク氏はこの予算の引き上げにあまり前向きではないので、医療関係者のストは今後も続くことになりそうです。

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