イングランド銀行が公定歩合を2.25%に引き上げたことによって今後起こりえること

公定歩合の上昇はインフレを鈍化させる?

公定歩合の引き上げは、単純にお金を借りたときの金利が上がることに直結します。
英国人はとにかく借金が大好きな人種で、何か買い物をするとき手持ちのお金には手をつけずクレジットカードなどで支払いします。
手元のポートフォリオが目減りすることを嫌う、まさに企業経営者の考えが英国では一般家庭にも浸透しているのです。
今までは低金利で借金できたものが、今後はそれなりの金利を支払わなければいけなくなるのです。
中央銀行のイングランド銀行は、消費者には直接お金を貸すことはありません。
イングランド銀行がお金を貸すのは各銀行、そして、各銀行を通して消費者にお金が貸し出される仕組みは日本も同じですよね。
ということは、イングランド銀行が利上げをしたということは、各銀行の金利はそれよりも高くなければいけません。
現時点で公定歩合は2.25%なので各銀行は消費者にお金を貸し出すときおそらく最低でも倍の5%の金利をつけて貸し出すことになります。
では、消費者の心理として今までは気軽に借金して買い物を楽しんでいたのに、金利が上がることで物を買うという欲求がかなりの割合で落ちます。
つまり、人が物を買わなくなります。
皆さんもご存じのように物価というのは需要と供給で決まってきますので需要(買いたいという欲求)が減少するイコール、物の値段が下がるということにつながり、インフレが鈍化するのではないかというのが、英国政府とイングランド銀行の見通しです。

インフレからデフレにはならないのか?

さて、前項で金利上昇が物価上昇を鈍化させるという話をしたのですが、インフレからデフレ(物価の下落)になるのかという疑問が出てきますが、残念ながらデフレになるのはまだまだ先の話です。
というのも、今回の急激なインフレのきっかけは皆さんもご存じ「ウクライナ戦争」です。
ガス、原油の高騰が、各企業のコスト高につながり、物価を押し上げてしまったのです。
ということは、この戦争が終わらない限り物価の下落は起こりにくいということになります。
英国も日本と同じで食料品の約46%を輸入に頼っています。
日照時間が短い国なのでしょうがないと言えばしょうがないのですが、戦争などでその道が絶たれると連動して弱くなってしまいます。
ということで、公定歩合が上がっただけではデフレになる可能性はかなり低いのではないでしょうか。

住宅ローンの金利があがることで、住宅の販売価格は急落するのか?

各銀行は住宅ローンの金利を2年間の固定金利6%に、5年間の固定金利を5.8%にすると発表しましたが、住宅の販売価格は下落するのでしょうか。
これは私見ですが、住宅の価格は下がらないと思います。
なぜかと言いますと、前項でも言いましたように、価格というのは需要と供給のバランスで決まってきます。
住宅ローンの金利が高くなったから今は家を買わないという選択をする人は出てくるかと思いますが、ローンの金利が高くなったから家を買わないで済む人はいいですが、家を買わなければいけない人が英国にはたくさん存在します。
そういった人たちは住宅ローンの金利が高くなろうが、欲しい家が見つかれば買うのです。
住宅ローン金利の引き上げは、今の右肩上がりの相場を一瞬崩すことになることは考えられます。
でも、いずれ多くの人は住宅ローンの金利が今後下がることはないことに気づくでしょう。
住宅ローンの金利は2000年~2008年は4-6%で推移していました、2008年にリーマンショックがあり、それを皮切りにどんどん下がり、コロナパンデミックがさらに金利の下げに拍車をかけ、2021年の後半には、1.2%まで下がりました。(参考文献
英国政府というか先進諸国の多くは景気が悪くなったら金利を下げるということを繰り返し行ってきたが、景気回復につながりませんでした。
つまり、今後景気が悪くなっても金利を下げることはもうないのではないかとみています。
遅かれ早かれ人々が5%、6%の金利に慣れてしまいます。
そうなってから本当の好景気が訪れるのではないかと私は予測しています。

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