
ロンドンの冬の夕方、しんと冷えた空気の中を歩いて、灯りのともったパブにたどり着く。木の扉を開けると、にぎやかな笑い声、ビールの泡、磨かれた真鍮のカウンター。そんな空間で、もしあなたが初めてイギリスのパブに足を踏み入れるとしたら——最初の一杯、何を頼みますか?
「何にする?」
この一言が、想像以上に気になる。特に、相手がイギリス人男性で、少しでも好印象を持たれたい相手であればなおさらです。
■ パイントグラスでビールを飲む女性は、どう見られる?
イギリスでは、パイントグラスでビールを飲むことは「普通」です。性別を問わず。
つまり、女性がパイントグラスを持っているからといって、それだけで「お酒が強そう」「がさつそう」と思われることは基本的にありません。むしろ、「一緒にパブに行って自然に過ごせるタイプ」として、親しみやすく、フレンドリーで飾らない印象を与えることのほうが多いのです。
一部の保守的な男性の中には、「女性らしくない」と思う人がゼロではないかもしれません。でもそれは少数派。現代のイギリス社会では、ジェンダーにとらわれない飲み方はごく一般的であり、「あ、この人とは一緒に飲める」と嬉しそうに思う男性のほうが圧倒的に多いのです。
■ 「カクテルある?」は面倒な女のサイン?
さて、問題はここから。
あなたが「え、私カクテルがいいんだけど……」と戸惑ったとき。カクテルを置いていない伝統的なパブもまだまだ存在します。特にビールにこだわるローカルなパブでは、「カクテル? ここはそういう店じゃないよ」と店員に微妙な顔をされることもしばしば。
これが重なると、一緒にいるイギリス人男性から見ても「ちょっと面倒くさいかも」と思われる可能性があるのは否定できません。
イギリスのパブでは、「その場に馴染もうとする姿勢」や「柔軟さ」が好印象につながるのです。
だからこそ、「じゃあ、同じのにするよ」とサラッとビールを頼む女性は、一気に距離を縮められる可能性大。
ポイントは、ビールが好きかどうかじゃなくて、「場を共有する姿勢」なんです。
■ 初めてのパブでは、まず同じビールを。2杯目からがあなたの時間
最初の一杯で悩んで、場の空気を固くしてしまうよりは、「じゃあ、同じのください」と相手と同じパイントを頼んでしまうほうが、はるかにスマート。
たとえ全部飲めなくても、「ちょっとずつ楽しむよ」でOK。飲みきることが目的じゃありません。“一緒に乾杯すること”が最優先なのです。
そして、2杯目からはあなたのターン。
「次はジントニックにしようかな」とか、「サイダーに変えるね」と自分の好きなドリンクを頼めばいい。むしろ、そうやって「ビールもいけるし、他のお酒も楽しむ人」として、バランスの取れた印象を与えられるでしょう。
ちなみにイギリスには、アルコール度数が低めで甘口の「フルーティーサイダー」や「ピムス」など、飲みやすくおしゃれなドリンクもたくさんあります。そういう選択肢は2杯目以降にぴったりです。
■ 「パブに行ける女」は、イギリス人男性にとって魅力的
そもそも、パブというのは「特別な場所」ではなく、「日常的な社交の場」です。気張らず、自然体で会話を楽しみ、ビール片手にリラックスできる相手は、イギリス人男性にとってかなり魅力的。
もちろん、お酒が飲めないなら無理をする必要はありません。でも、少しでも楽しもうという姿勢があれば、それだけで十分に好感を持たれます。
逆に、終始「何があるの?」「甘いのある?」「これ苦手〜」などと場に合わない注文ばかりだと、「一緒にいて気を使うな」と思われるリスクもあります。
■ 最後に:自分らしく、でもちょっと寄り添ってみる
無理してパイントを飲む必要はありません。でも、もし迷っているなら——
「同じのください」から始めてみる。
それだけで、きっとその場の空気がスッとほどけて、会話が自然に弾むはず。
そして何よりも大事なのは、自分の飲み方を楽しむこと。
お酒は社交の潤滑油であって、評価されるための道具じゃない。だからこそ、自分らしさと相手への思いやりのバランスがあれば、それはパブでもどこでも、あなたを魅力的に見せてくれるはずです。
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