イギリスで12歳少年がTikTokチャレンジ「クローミング」で死亡|SNSの危険と親の責任

ロンドン郊外の暗い部屋で、ベッドの上のスマートフォンに映るTikTokロゴを見つめる12歳の少年を背中から描いたイラスト。床にはデオドラント缶が転がり、SNSの危険性を象徴している。

英国マンチェスター近郊ハイドに住む12歳の少年、オリバー・ゴーマン君が 2025年5月、自宅の寝室で意識を失った状態で発見され、その後死亡しました。 警察と検視の結果、死因はデオドラントスプレーに含まれるブタンガスの吸引によるものでした。

「クローミング」と呼ばれる危険なTikTokチャレンジ

捜査当局によると、オリバー君はSNS上で流行していた「クローミング(chroming)」という危険なチャレンジを 真似た可能性が高いとされています。これは、エアゾールスプレー缶に含まれるガスを吸い込み、 一時的な高揚感を得ようとする行為です。

クローミングは海外で数年前から問題視されており、 その危険性が報道されるたびに禁止や警告の呼びかけが行われていますが、 動画投稿アプリで繰り返し拡散され、若者たちの間で模倣行為が後を絶ちません。

母親の証言と学校の対応

オリバー君の母親は、「旅行から戻った際、部屋に入ると息子が動かなくなっていた」と証言しています。 手にはデオドラントスプレーが握られたままで、救急隊が駆けつけたときにはすでに意識を失っていました。 通っていた学校も状況を調査しましたが、特定のいじめやトラブルは確認されなかったといいます。

事故としての結論と再発防止の動き

検視官はこの死亡を「不慮の事故(misadventure)」と結論づけました。 一方で、同様の事件を防ぐために、エアゾール製品の販売方法や表示、未成年者へのアクセス制限など、 政府や企業に改善を求める動きも出ています。

SNS上では、こうした危険な「チャレンジ動画」を削除する取り組みも進んでいますが、 投稿後に拡散してしまうケースが多く、根本的な解決には至っていません。

保護者と教育現場に求められる対応

こうした事件は、SNSの中で「面白そう」「ちょっと試してみたい」といった軽い気持ちが 命に関わる行為に発展することを強く示しています。 保護者や教師は、子どもたちがインターネット上でどんな情報に触れているのか、 定期的に話し合い、危険な行為に関する知識を伝えることが欠かせません。

  • 家庭でSNSや動画アプリの使い方についてルールを決める。
  • 子どもが閲覧する動画の内容を時々確認する。
  • 「危険なチャレンジ」について具体的に話し、なぜ危険かを説明する。
  • 子どもが好奇心から行動してしまうリスクを理解する。

まとめ

オリバー君の悲劇は、SNS上の「チャレンジ文化」がもたらす危険を改めて浮き彫りにしました。 一見すると遊びや挑戦のように見える行為でも、わずか数秒の過ちが命を奪うことがあります。 SNSの利用は便利で楽しい一方で、そこには現実的なリスクが潜んでいるという認識が欠かせません。

そして何よりも――12歳の子どもにTikTokの閲覧を許していた親は、一体何を考えていたのでしょうか。
危険なコンテンツが氾濫する場所に無防備に子どもを放り込むなど、あまりにも無責任です。 あまりにも、呆れるほかありません。

英国生活サイト編集部のつぶやき

イギリスでは、子どもが携帯電話を持つのが当たり前の時代に突入しています。
ここでいう「携帯電話」とは、親との連絡を目的としたものではなく、主にSNSをチェックするためのものです。

子どもは、良くも悪くも純粋です。そのため、目にした情報が本物なのか、あるいはフェイクなのかを正確に判断することができません。だからこそ、悲しい事故が起きてしまうのです。

少し前に、日本国内の自殺者数が全体としては減少傾向にある一方で、10代の自殺者が増加しているというニュースを目にしました。 この記事で取り上げられているのは事故ですが、イギリスではSNSが原因となった自殺も実際に起きています。 日本でも、同じような理由で命を落としている人がいるのではないでしょうか。

いずれにせよ、スマートフォンは便利な道具である一方で、時には「殺人の道具」となり、自殺のきっかけにもなり得るという現実を、私たちはしっかりと認識していかなければなりません。

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