借金が当たり前の国イギリスで離婚につながりやすい理由とは?家計不安と夫婦関係の現実

借金が当たり前の国イギリスで、夫婦関係が壊れやすくなる背景とは

イギリスで生活していると、日本との大きな違いのひとつに気づきます。
それは、借金に対する感覚の軽さです。

もちろん、借金そのものを好んでいる人ばかりという意味ではありません。
しかし少なくとも日本よりは、ローン、クレジットカード、分割払い、オーバードラフト、車のファイナンスなどを使いながら生活を組み立てることに、強い抵抗感を持たない人がかなり多い社会です。実際、FCAは消費者信用が多くの人の生活の大きな一部だと述べ、2025年には消費者信用貸付が約8%成長しているとしています。

この「借金が生活に組み込まれている社会構造」は、景気や物価高の問題だけでなく、夫婦関係にも大きな影響を与えます。
そしてその積み重ねが、離婚につながりやすい空気を作っているように見えます。

イギリスでは「借金を持ちながら普通に暮らす」が珍しくない

日本では、借金にはどこか後ろめたさがあります。
住宅ローンは別としても、クレジットカードのリボ払いや生活費のための借り入れに対しては、まだ警戒感が強い人が多いでしょう。

一方、イギリスでは借金はもっと日常的です。
給料日前の資金繰り、車の購入、家具家電、旅行、学費、生活費の補填まで、さまざまな場面で「とりあえず信用を使う」という発想が入り込みやすい。
しかも、それが本人の中では異常ではなく、むしろ普通の選択として受け止められていることが多いのです。

その結果、表面上は普通に暮らしていても、実際には家計がかなり脆い家庭が少なくありません。
FCAの2024年調査では、英国の成人の10人に1人は現金貯蓄がゼロ、さらに21%は緊急時に使える現金が1,000ポンド未満で、4人に1人が低い金融耐性しか持たないとされています。

つまり、見た目は普通でも、ひとつ何か起きれば一気に家計が崩れる夫婦がかなり多いということです。

夫婦げんかの原因は、結局お金に戻ってくる

夫婦関係が壊れる原因として、性格の不一致、価値観の違い、育児方針のズレなどがよく挙げられます。
けれど現実には、その多くの問題の下にお金の不安が横たわっています。

お金に余裕があるときは、多少の不満は流せます。
しかし、請求書が増え、カードの支払いが重なり、家賃や住宅ローン、光熱費、食費の圧迫が強くなると、人は急に攻撃的になります。

相手の小さな言動が許せなくなる。
約束を守らないことに腹が立つ。
無駄遣いに見える行動が我慢できない。
「どうして私ばかり」「どうしてあなたは分かってくれない」という感情が強くなる。

つまり、借金社会では、夫婦げんかが性格の問題だけで終わらず、生活防衛の問題に直結しやすいのです。

借金が当たり前だと、責任感まで軽くなることがある

さらに厄介なのは、借金が当たり前の社会では、借金だけでなく責任の感覚そのものが薄くなる人がいることです。

毎月の返済がある。
でもまた借りればいい。
今月足りなくても次で調整すればいい。
支払いが厳しくなったら相談すればいい。
だめなら整理すればいい。

もちろん全員ではありません。
しかし、こうした感覚が広く存在する社会では、結婚生活に必要な「将来を見据えて我慢する」「相手のために計画的に動く」という感覚が弱くなりやすい。

その結果、夫婦で困難に向き合うというより、
嫌になったら離れる
重くなったら逃げる
という発想に流れやすくなります。

離婚は本来とても重い決断のはずです。
それでも、借金や契約や支払いに対して心理的ハードルが低い社会では、結婚そのものに対する粘り強さまで弱くなってしまうことがあります。

物価高で、もともと危うかった夫婦関係が一気に崩れる

近年のイギリスでは、物価高、家賃高騰、住宅ローン負担、生活コストの上昇が長く続き、家計への圧力が強まりました。
FCAも、金利がやや落ち着いても家計は依然として圧迫されているとしています。

こうした状況では、もともと少し危うかった夫婦関係が、一気に崩れやすくなります。

たとえば、

  • 夫婦のどちらかが浪費傾向にある
  • カード利用残高を隠している
  • 貯金がないのに外食や旅行の水準を落とせない
  • 将来設計がなく、その場しのぎで生活している
  • 片方だけが節約し、もう片方が危機感を持たない

こうした問題が、物価高の局面では一気に表面化します。

今までは何となく回っていた。
でももう回らない。
この段階に入ると、夫婦は初めて「相手のお金に対する価値観の本性」を知るのです。

イギリスでは“自立”が強く、我慢して結婚を続ける発想が弱い人もいる

イギリス社会では、日本よりも個人主義が強く、
「我慢してでも関係を維持する」
という発想が弱い人も少なくありません。

日本では、子どものため、世間体のため、生活のために、関係が悪くても婚姻を維持する夫婦が一定数います。
しかしイギリスでは、関係が壊れたと判断すれば、比較的早い段階で別れる決断をする人も多い。

そこに借金や家計不安が加わると、なおさらです。

お金の問題が続く。
相手に不信感が募る。
将来が見えない。
それなら早く別れたほうがいい。

そう考える人が増えるのは、ある意味では自然です。
特に、もともと結婚に対して「絶対に守るべき制度」という感覚が薄い場合、経済ストレスは離婚の引き金になりやすいのです。

離婚率そのものより、“離婚に進みやすい空気”が強まっている

ここで大事なのは、離婚件数や離婚率の数字だけを見ることではありません。
公式統計では、2023年の離婚率は2022年から上がりましたが、長期では1990年代のピークより低い水準です。ONS自身も、2022年と2023年の数字には2022年4月の新しい離婚制度の影響があるとしています。

それでも、現場感覚としては、
「結婚生活を守り切るより、無理なら別れる」
という空気が以前より強くなっているように見えるのです。

その背景には、

  • 借金を抱えながら暮らすことへの慣れ
  • 貯蓄の少なさ
  • 生活コスト上昇による慢性的なストレス
  • 個人主義の強さ
  • 将来より今を優先しやすい家計感覚

が重なっています。

つまり、離婚率という一点だけでなく、離婚につながりやすい土壌そのものが広がっていると考えたほうが、現実には近いのではないでしょうか。

まとめ:借金が当たり前の社会では、結婚の土台そのものが揺らぎやすい

借金が当たり前の国イギリスでは、お金の問題が特別ではなく、日常の一部になっています。
しかしそのことは、夫婦関係にとって決して小さな問題ではありません。

借金が当たり前。
貯金が少ない。
生活費が高い。
そして、関係が壊れたら我慢せず離れる。

こうした条件がそろえば、結婚生活はどうしても不安定になりやすくなります。
表面上は性格の不一致に見えても、その裏には家計不安、責任感のズレ、将来設計の欠如が隠れていることが多いのです。

イギリスの夫婦関係を見ていると、離婚は単なる感情の問題ではありません。
借金が当たり前の社会構造そのものが、結婚を長続きしにくくしている。
そう考えると、この国で夫婦関係を維持する難しさがよく見えてきます。

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