
「スーパーマリオはイタリアのキャラクターだ」という英国の若者の声を耳にしたら、驚くかもしれません。 事実、イギリスでは日本発のキャラクターやブランドが、利用されていても「日本のもの」と認識されないことが少なくありません。 本稿では、なぜ日本のキャラクター・ブランドがイギリスで“見えづらい”のかを、最新データと背景分析を交えて深掘りします。
最新データで見る普及率と認知度
例えば、2024年時点での英国における家庭におけるゲーム機保有率を調べると、PlayStation は依然として人気機種であり、多くの家庭に普及しています(英国エンタメ市場報告など参照)。 しかし「マリオ=任天堂=日本」という認識を持つ層は限定的という調査も出ています。
また、アニメ・マンガ分野においては、英国の若年層の“入門日本文化”として「ポケモン」「ドラゴンボール」「鬼滅の刃」などは一定の認知を獲得していますが、その出自を正確に認識しているかどうかは別課題です。
認知度が上がりにくい主な要因
- プロモーション戦略の乏しさ: 日本文化を前面に出す訴求が少ない。
- 言語・名称の英文化: ブランド名やタイトルが国籍を感じにくい。
- 文化的背景の隔たり: 日本的な世界観が文脈として理解されにくい。
- メディア露出の限定: 英語圏では輸入カルチャー扱いに留まりやすい。
- ローカル競合キャラの強さ: 英米発キャラとの競争が激しい。
マリオを例に見る誤認と実態
英国では「マリオ=イタリア人キャラ」と思っている人が多いのが現実です。 しかし、マリオは1981年に任天堂が生み出した日本発のキャラクター。 任天堂は長年にわたって、英語圏向けのローカライズや広告展開を続けていますが、“日本発”の意識が薄れがちなのです。
公式マリオカートCM/トレーラー映像
世界中で人気のマリオカート(Mario Kart)は、任天堂を代表する日本発ゲームシリーズです。 下記は任天堂公式チャンネルが公開している最新のトレーラー動画で、世界中のファンにその魅力を伝えています。
日本ブランドとしての位置づけと課題
日本製品・キャラクターが「高品質」「先進性」「クールさ」のイメージで認知されていることは確かですが、“日本ブランドであること”を全面に出す戦略は限定的な場合があります。 特に欧米市場では、ブランド名を国籍と切り離す戦略が採られることも多いです。
また、文化輸出(ソフトパワー)としての戦略の不在や予算制約、著作権運用とローカライゼーション戦略なども障壁となります。
認知向上の戦略と提案
- ストーリーを含めたマーケティング発信: キャラクターの生まれや国籍、日本文化とのつながりを背景ストーリーとして語ることで、“出自”への興味を引き出す。
- コラボレーションと融合: 英国の人気ブランド/文化(ファッション・音楽・アート)とコラボすることで、日本発であることを自然に拡散。
- 体験型プロモーション: ロンドン・マンチェスターなどでキャラクター展覧会やポップアップショップを設置し、ファン層を拡大。
- メディア露出の強化: 英国メディアやYouTube UKチャンネルなどに「日本カルチャー特集」を増やし、一般層への接点を増やす。
- 教育・学校プログラムへの導入: 日本語教育/文化紹介教材にキャラクターを活用し、若年層に“日本発”の意識を植え付ける。
まとめと今後の展望
日本発のキャラクターやブランドは世界中で愛されていますが、イギリスでは「日本のもの」と認識されにくい現実があります。 その一方で、PlayStationやマリオカートのように、世界規模で成功を収めた日本ブランドも存在します。 今後は、“日本発”であることを価値として伝える発信力が鍵になるでしょう。
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