イギリスにおいて宝くじ(ロトリー)は、単なる運試しではない。人生を一変させる可能性を秘めた国民的エンターテインメントとして、深く社会に根付いている。その最大の理由のひとつが、当選金額のスケールの大きさだ。
数十億円も現実になる「ジャックポット」
イギリスの宝くじでは、週に数回行われる抽選で、数百万〜数千万ポンド規模の当選金が生まれる。
特に注目されるのが、最高額が跳ね上がる回だ。場合によっては1億ポンド(日本円で約200億円前後)を超えることもあり、「国中がざわつく」ほどの話題となる。
この金額は、
- 仕事を即座に辞める
- ロンドン中心部に不動産を購入する
- 世界一周や慈善活動に人生を捧げる
といった、非現実的だった選択肢を一気に現実へ引き寄せる力を持つ。
「当たったらどうする?」が日常会話になる国
イギリスでは、宝くじの購入はごく自然な行動だ。コンビニや新聞店でミルクや新聞と一緒に買われ、職場では
「今回はいくらまで行ってる?」
「もし当たったら、もうここには来ないよ」
といった軽口が飛び交う。
この背景には、少額(数ポンド)で数億円の夢を見られるという圧倒的なコストパフォーマンスがある。負けても数ポンド、当たれば人生が変わる。この非対称性が、人々の想像力を刺激し続ける。
宝くじ=社会を良くする行為
イギリスのロトリーは、National Lotteryとして運営されており、当選金だけでなく社会還元も大きな魅力だ。
売上の相当部分は、
- オリンピック選手の育成
- 地域スポーツ施設
- 芸術・文化プロジェクト
- 教育・福祉
などに使われてきた。
そのため多くの人が、「自分は外れても、誰かの役に立つ」と納得してチケットを買う。欲望と公共性が共存する仕組みが、ロトリーを健全な国民娯楽にしている。
高額当選者の“その後”もドラマになる
数千万〜数億円ではなく、数十億円を手にした当選者の物語は、必ずニュースになる。しかし興味深いのは、イギリスでは多くの当選者が派手な生活を控え、匿名や慎ましい暮らしを選ぶ点だ。
突然の大金は祝福であると同時に試練でもある——その認識が社会全体に共有されており、当選者に過度な羨望や敵意を向けない空気がある。
おわりに:金額が大きいからこそ、夢も大きい
イギリス人が宝くじに情熱を注ぐ理由は明快だ。
「数ポンドで、数億円から数百億円の人生を想像できる」
その非日常的な魅力に加え、社会貢献という正当性が、人々の背中を優しく押す。
ロトリーのチケット一枚は、単なる紙切れではない。
それは、現実を少しだけ忘れ、未来を大胆に思い描くための“許可証”なのだ。










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